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犬の頭は馬鹿に出来ない

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第二章

「こいつが被災地に行ってな」
「カレー食べてね」
「あれこれ邪魔してた奴だ」
「この人ね」
「相当叩かれてるがな」
 その行為がだ。
「しかしな」
「それでもね」
「全く反省していない」
 それこそというのだ。
「本当にな」
「とんでもない人でね」
「この政党も支持者もな」
「デマも流してるし」
「最低な奴等だ」
 兎に角だった。
 文太は忌々し気に言うばかりだった、そして。
 ケージにいたふわりが目に入ったがふわりもテレビを観ていた、そのうえで何か不機嫌そうに座っていた。
 そのふわりを観てだ、文太は百合子に彼女のことを話した。
「犬は馬鹿じゃない、そしてふわりは特にな」
「頭がいいわね」
「トイプードルは頭がよくてな」
 そうした種類の犬でというのだ。
「ふわりは特にな」
「頭がいいわね」
「だからな、今こいつを観て不機嫌そうにしている」
「そうね」
 百合子もふわりを見た、すると今もそうしていた。
「この人観て」
「わかるんだ、どんな奴かな」
「その人を観て」
「そうだ、こいつが碌でもない奴だってな」
「そう思うと犬も立派ね」
「ああ、それでこいつがどんな奴かわからない奴はな」
 その政党の者や支持者達はというのだ。
「どんな程度かな」
「わかるわね」
「犬は色はわからない」
 そうした目の構造であるのだ、見えている世界は白黒英語でいるモノクロであるのだ。
「しかしな」
「その人がちゃんとわかるわね」
「しかし色はわかってもな」
「その人がわからない」
「どっちがいいかなんてな」
「言うまでもないわね、じゃあこんな人これ以上観ても仕方ないし」
 百合子はテレビのリモコンを手にして夫に話した。
「別の番組観ましょう」
「それがいいな」
「ええ、別の番組観ましょう」
「そうしような」
「ワン」
 文太だけでなくふわりもここで鳴いた、するとだった。
 夫婦はふわりが文太と同じ意見でそうしようと鳴いたとわかった、それで彼女を見て笑顔になった。
 そのうえで別の番組を観た、その番組は実に面白い番組で夫婦も素直に楽しめた。そしてそれを観るふわりは座って尻尾を振っていた。


犬の頭は馬鹿に出来ない   完


                  2024・1・23 
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