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八条学園騒動記

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第七百三十四話 猛獣以上の災厄その十二

「外道の極みだ」
「そしてそうしたことをさせるなら」
「最悪の災厄だ」
「その国家にとって」
「猛獣よりもな」
「そして災害よりも」
「酷いものとなる」
 こう上等兵に話した。
「まさにな」
「左様ですね」
「それを行うなら」
 それならというのだ。
「そうなる」
「そしてサハラはですね」
「そうした災厄がだ」
「見られましたね」
「二十一世紀前半までのアフリカによく出た」
 一九六〇年の諸国家の独立からすぐからのことだ。
「そうした独裁者達がな」
「サハラではよく出ましたね」
「千年の間にな」
「暴君もですね」
「戦乱に陥るとだ」 
 サハラの様にというのだ。
「そうした独裁者や暴君も多くだ」
「出ますね」
「そうなる」
 まさにというのだ。
「そしてだ」
「災厄となりますか」
「その国にとってな、乱世では暴君もよく出る」
 大尉はこうも話した。
「中国の五胡十六国時代、南北朝時代の様にな」
「暴君がよく出るのですね」
「異常なな、サハラのそうした独裁者や暴君には異常者も多かった」
 そうだったというのだ。
「私利私欲を貪り贅沢と蓄財に励み」
「国民の生活を顧みず」
「粛清そして快楽の為の殺戮を行う」
「快楽ですか」
「そうだ、快楽殺人者でもある」
 そうしたというのだ。
「独裁者や暴君がだ」
「サハラでは出ましたね」
「こうした輩も何処でもいてだ」
「酸鼻な事件を引き起こしますね」
「中には人間ですらなくなった」
 そこまで至ったというのだ。
「サイコ殺人鬼もいるな」
「何処でも聞きますね」
「そうした輩が権力者になることもな」
 これもというのだ。
「サハラではな」
「あったのですね」
「戦乱の中にあったからな」
 だからだというのだ。
「時としてな、戦乱は人の心を荒ませてだ」
「そうさせて」
「そしてだ」
「狂気もですね」
「持たせる」
「その国に」
「だから五胡十六国時代の中国には暴君が多く出てだ」
 そうしてというのだ。
「三十年戦争の神聖ローマ帝国でもな」
「多くの血生臭い話がありますが」
「傭兵達が行ったな」
「傭兵達もですか」
「狂気に陥っていてな」
 それでというのだ。
「そうした行いをだ」
「繰り返しましたか」
「そうだった」
 こう上等兵に話した。
「多くの狂気に囚われた傭兵達がな」
「そうでしたか」
「そしてだ」 
 そのうえでというのだ。
「これまでのサハラもだ」
「それは同じでしたね」
「そういうことだ」
「そうなのですね」
「戦乱はそれ自体が大きな災厄だが」
「その地域もそこにいる人の人心を乱し」
「そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「そうした独裁者や暴君も出るのだ」
「そういうことですね」
「こうしたことも覚えておくことだ」
「わかりました」
 上等兵は確かな声で答えた。
「猛獣は確かに危険であり災いですが」
「暴君と比べるとな」
「遥かにましですね」
「そのことをな」
「覚えておきます」
「その様にな、ではこのままな」
 大尉は上等兵に話した。
「まだ少しだ」
「有袋類達を観ていきますか」
「コアラもでな」
「このままですね」
「観ていこう」
「わかりました」
 上等兵は頷いて応えた、そうしてそのまま有袋類達を観ていくのだった。


猛獣以上の災厄   完


                2023・10・2 
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