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八条学園騒動記

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第七百三十四話 猛獣以上の災厄その七

「皇帝の権威も他宗教も認めない」
「異分子ですね」
「国家を脅かすな」
「皇帝の権威はローマそのもので」
「それを否定してだ」
 そしてというのだ。
「自分達の神のみを信じるならな」
「ローマとしては」
「決してだ」
「認められないですね」
「しかもローマは多くの宗教を認めていた」
 大尉はこのことも話した。
「宗教的寛容さもだ」
「ローマの柱でしたね」
「それも否定されるとな」
「尚更ですね」
「ローマとしてはだ」
「弾圧せざるを得ないですね」
「ローマの秩序を守る為にだ」
 まさにその為にというのだ。
「ローマはだ」
「キリスト教を弾圧した」
「そしてネロは最初ではなかった」
「彼以前からですね」
「キリスト教は不穏分子としてだ」
 ローマから見てだ。
「攻撃されていた、そしてだ」
「当時のローマから見れば」
「それは当然のことだったのだ」
「悪ではなかったですね」
「民も反対しなかった」
 ローマのというのだ。
「このことについてはな」
「ネロは正しい」
「そう思われていた」
 そうだったというのだ。
「そしてコロシアムで獣の餌にしたのもな」
「ネロが最初ではなかったですね」
「そうだった、ネロはコロシアムの催しもよく行ったが」
 大尉はこのことも話した。
「残虐だからではなくだ」
「民衆からの支持ですね」
「それを得る為だった」
「その為のイベントですね」
「それを催していたのだ」
 それに過ぎなかったというのだ。
「そうであったのだ」
「残虐でもですね」
「ネロはなかった」
「民衆の支持に応えていた」
「平民と奴隷に寛容で」
 そしてというのだ。
「ギリシア文化に傾倒していた」
「そうしたことがですね」
「上流階級貴族だな」
 ローマのというのだ。
「その保守派からだ」
「嫌われていた」
「奴隷をよく解放もしたしな」
 ネロはというのだ。
「これは善行だが」
 それでもというのだ。
「貴族の保守派から見るとな」
「好ましくない」
「そうしたものでな」
「彼等からですね」
「批判されたのだ」
 そうだったというのだ。
「そこにネロの弱点もあったしな」
「自分で軍を率いられない」
「その経験がなかったしな」
 皇帝になってからもというのだ。
「だからな」
「そこを衝かれましたね」
「ローマ皇帝としては致命傷だったからな」
「インペラトールとして」
「幾らローマの国家戦略を理解していてもな」
 ネロにはそれだけの能力があったことは事実だ、その為軍を優秀な軍人達に命じて動かすことはしている。 
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