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神々の塔

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第五十三話 半ばを過ぎてその十一

「僕等星のモンもな」
「誰一人として引き分けとすら言わへんね」
「実際に戦ってな」
「殆どの子が怪我したし」
「連中の強さ見せられたんや」
 それ故にというのだ。
「言える筈ないわ」
「そうやね」
「それで僕等もこうしてや」
「負けを認めて」
「塔に入ってるんや」
「踏破して力を得る為に」
「まさにその為のな」
 こう言ってまたウォッカを飲んだ。
「戦や」
「今うち等がしてるんわ」
「そや、ほなな」
「半分越えたし」
「後の半分もな」
 それもというのだ。
「やっていこうな」
「そうなるね、やっぱり」
「もう半分いった」
 芥川は強い声で言った。
「あっという間やったやろ、これまで」
「確かにな」
 リーは串焼きを食べつつ応えた。
「それはな」
「そやったな」
「もう気付いたらや」
 それならというのだ。
「もうな」
「半分もやな」
「上ることや」
「そういうことやな」
「頂上までもや」
「気付いたらやな」
「着いてるわ」
 こうも言った。
「ほんまな」
「そうなってるな」
「そや、こうしたことは長いと思うとな」
「しんどいな」
「そして失敗もや」 
「するな」
「そやけど短いと思ったら」
 その時はというのだ。
「もうな」
「しんどくなくてな」
「そしてな」
 そのうえでというのだ。
「成功するわ」
「そうなるな」
「気持ちも大事や」
 これもというのだ。
「要するに前向きにや」
「考えることやな」
「打てるもんやったら打ってみいとかな」
「野球のピッチャーやと」
「そうや、ほんまな」
「前向きにやな」
「考えてこそな」
 そうであってこそというのだ。
「ことも成る、色々準備も用心もしておくことやが」
「前向きに考える」
「そうであってこそや、それでな」
「あと半分をやな」
「進むんや、それで今はな」
 芥川はさらに言った。
「ウォッカを飲んでな」
「美味しいもんも食べるな」
「そうしよな」
 そのウォッカ、ロックのそれを飲みながら言った。やはりウォッカは強いが芥川はロックなら飲めた。
「こうしてな」
「そうやな、それで寝るな」
「そうしよな、ただな」
「ああ、このままやとな」
「僕等全員翌朝は二日酔いやな」
「綾乃ちゃん以外はな」
「うち二日酔いになったことないねん」
 綾乃はそのウォッカをストレートで飲みつつ応えた。
「ほんまに」
「一度もやな」
「どんなお酒をどれだけ飲んでも」
 それでもというのだ。
「ほんまにやねん」
「二日酔いになったことないか」
「そうやねん」
「綾乃ちゃんは特別やな」
 まさにと言うのだった。
「そこは」
「お酒が強いことは」
「そや、ただ綾乃ちゃん以外のモンはな」
「二日酔いになって」
「明日もサウナに入るな」 
 笑って言うのだった。
「宿屋の浴場のな」
「そこでお酒抜くんやね」
「そうなるわ、それでそっちもな」
(楽しむんやね」
「そうするわ」
「まあうちも入るし」
 綾乃は二日酔いはしないがそれでもと述べた。
「明日の朝も」
「サウナや」
「そうなるね」
 最後はこうした話をしてだった、一行は今はウォッカを堪能した。そして翌朝実際にサウナに入ったのだった。


第五十三話   完


                   2023・12・8 
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