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馬と言っても競馬じゃない

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第一章

                馬と言っても競馬じゃない
 源田初彦は公務員で真面目で知られている、卵形の顔で黒髪を短くして真ん中で分け小さめの細い目と薄い唇を持ち背は一七三程で痩せている。
 真面目で趣味はゲームだ、酒は好きだが煙草もギャンブルもしない。
 その彼が急に馬の名前を言いだしてだ、妻で主婦の英梨黒髪を長く伸ばし一六七あるはっきりしたメリハリの利いた顔立ちに見事なスタイルの彼女はいぶかしんだ。
「馬って」
「馬がどうしたんだよ」
「いや、あなた競馬してるの?」
 自宅で夫にまさかという顔で尋ねた。
「ギャンブルを」
「ギャンブル?あんなの金の無駄遣いだろ」
 夫は妻に真顔で答えた。
「何がいいんだよ」
「けれど最近競馬の馬の名前言ってるでしょ」 
 妻は冷静にこのことを指摘した。
「そうでしょ」
「ナリタブライアンとかか」
「言ってるでしょ」
「ああ」
 夫はこのことは否定しなかった。
「言ってるよ」
「競馬してないならどうして言うのよ」
 夕食の時に尋ねた。
「一体」
「それはな」
「それは?」
「ゲームだよ」
 これのことだというのだ。
「それやってるんだよ」
「ゲーム?というと」 
 妻は夫の話を聞いてまずは目を瞬かせた、そのうえで言った。
「ええと、競馬のゲーム?」
「そうだよ」
 夫は笑顔でその通りだと答えた。
「それやってるんだ、今」
「レースとか育成とか」
「いや、女の子だよ」
「女の子!?」
 夫のその言葉にまた目を瞬かせた。 
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