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イベリス

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最終話 素敵な想い出その六

「これからもずっとね」
「お前は浮気する性分じゃないしな」
「道夫さんもね」
 夫の名前も出して話した。
「そうだしね」
「そうだな、彼もそんな人じゃないな」
「ギャンブルとかお金のかかることも財テクもしないで」
「コツコツ働いて生きてるんだな」
「そうよ、お金あってもそれなりでいいし」
「必要なだけか」
「多少お酒飲む位で後は読書に音楽鑑賞にゲームで」
 咲は今の自分の趣味も話した。
「お散歩とね、二人でそんな趣味でね」
「暮らしてるか」
「それでお金は共働きで」
「必要なだけ持っていてか」
「特にね」
 これといってというのだ。
「困ってないし」
「このままいくんだな」
「そうよ、ずっとね」
「それがいいな、じゃあな」
「今から寝るわね」
「ゆっくり寝ろよ」
 娘に微笑んで言った、その優しい微笑みを受けてだった。
 咲は今の自分の家族がいる部屋に入ってそのうえで川の字になって布団で寝た、翌朝は夫と娘それに両親と共に食事を摂ったが。
 その時にだ、夫は咲に笑って話した。
「同じ味付けだね」
「私と?」
「うん、美味しいよ」
「そうなのね、味付け同じなのね」
「昨晩も思ってけれど」
 その時もというのだ。
「同じだね、快く食べられるよ」
「うん、美味しいね」
 娘の花も言った。
「お味噌汁も卵焼きも」
「花もお祖母ちゃんのお料理好きなのね」
「お母さんと同じ味だからね」
「そうなのね」
「お味噌汁も卵焼きもね。それにね」
「それに?」
「納豆や梅干しがあるのも」
 朝食の場にというのだ。
「同じね」
「どちらも身体にいいでしょ」
「お母さんいつも言ってるね」
「だからね」
「お母さんも納豆や梅干し出すのね」
「朝はね、何でも好き嫌いなく食べたら」
 娘にこうも言った。
「元気で頭もよくなるのよ」
「そうなのね」
「だからね」
 それでというのだ。
「お祖父ちゃんお祖母ちゃんのお家でもね」
「納豆も梅干しも食べるのね」
「そうしましょう」
「それじゃあね」
「何でも好き嫌いなく食べてるんだな」
 父は孫娘を見て笑顔で言った。
「食育頑張ってるんだな」
「そうなの、ただね」
 咲はここで微妙な顔になって父に話した。
「マトンの匂いが苦手で」
「羊のか」
「妙に茸が好きなの」
「マトンは苦手か」
「それ以外は別に何でもないわ」
「僕はマトン好きなんですが」
 夫が微妙な顔で話した。 
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