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八条学園騒動記

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第七百三十一話 密林の生きもの達その一

                密林の生きもの達
 ジャングルの生きもの達のコーナーの中にバクを観てだ、上等兵は言った。
「マレーバクとアメリカバクでは」
「同じ種類でもな」
「全く違いますね」
「色がな」
 大尉は共に二種類のバクを観比べている上等兵に応えた。
「それでだな」
「マレーバクは白黒で」
「アメリカバクは茶色で白い斑点がある」
「シルエットは同じでも」
 それでもというのだ。
「どうにもです」
「違う種類の生きものにさえな」
「観えます」
「私もだ、尚だ」
 ここで大尉はこう話した。
「この生きものの写真を枕元に入れて寝るとな」
「何かありますか」
「悪夢を観ないと言われている」
「連合では」
「特に日本でな」
 今自分達がいるこの国でというのだ。
「言われている」
「そうなのですか」
「これは獏という妖怪がいてな」
「獏ですか」
「日本語での発音が同じだからだ」
 それ故にというのだ。
「言われだしてな」
「連合全体で定着しましたか」
「そうなった話だ」
「そうですか」
「実際はどうか知らない」
 バクの写真を枕元に入れて寝ると悪夢を見ずに済むことはというのだ。
「だがな」
「そうした迷信というか言い伝えがあるのですね」
「そうなのだ」
「連合でも」
「迷信と今君は言ったが」 
 大尉は上等兵の今の言葉を指摘した。
「これは何処でもあるな」
「どの国でも」
「迷信というかまじないというか」
「そうしたものは」
「よくあり実際にそうなる場合もな」
「ありますか」
「日本の喰い合わせは違うがな」
 これはというのだ。
「鰻と梅干、天麩羅と西瓜を一緒に食べてもな」
「何もないですか」
「このことは私も試してみた」
 実際にというのだ。
「そうしたが」
「そんなことがあったのですか」
「どちらもな、外出した時にな」 
 その時にというのだ、
「居酒屋に行った時があってな」
「その時にですか」
「鰻のかば焼きに天麩羅それに突けものを注文してな」
「そこに梅干しもあったのですね」
「そしてデザートに西瓜を注文してな」 
 そうもしてというのだ。
「全て食べた、尚酒は日本酒だった」
「そちらですか」
「どれも楽しんだが」
「その後で、ですか」
「何もなかった」
 そうだったというのだ。 
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