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人生コンティニューしたらスクールアイドルを守るチートゲーマーになった

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79話 邪なるMarduk(太陽)

 
前書き
◯78話での変化


☆仮面ライダーエグゼイド ムテキゲーマー ラースフォーム

※ムテキゲーマー(大幅調整後)に同じ



ムテキゲーマー変身状態でムテキガシャットの起動スイッチを押すことで変身可能となる強化形態。ムテキゲーマーのボディがさらに輝きを増し、その体には稲妻が駆け巡っている。

稲妻のようではあるが、その正体は超高エネルギーのレーザー光線であり、それを自在に操ることができる。これによって雷を槍のように固形化し、投げることが可能である。

その雷霆の威力は天地を揺るがすほどであり、雷が落ちると普通の人間の視力を奪ったり鼓膜を破ってしまい、さらには電波障害なども意図的に引き起こすことができる。直に地上に落ちれば核兵器をゆうに超える威力を持っている。また軽めの電撃による神経障害を引き起こせる。

極め付けは雷霆が強すぎた場合、《《ワームホールを生み出せる》》。

その雷はまさしく神の雷というにふさわしい。変身者の想像力次第で、より強力になるテクニカルなフォームである。

その他全スペックを《《体感時間》》1秒で2倍づつ増えてゆく。増加したスペックはそのまま通常のムテキゲーマーにおいても下がることはない。



 

 



「ロード・オブ・クロウ?」
「あぁ、あの黒い翼の連中はそう自らを呼んでいる4人組だ。」
「ここからは僕が話そう。」


俺は共に廃屋に撤退した小原家先祖の小原王太郎にアークについて説明される————そう、おそらく俺はラースフォームの雷によって生じた時空の歪みに飲まれてタイムスリップしてしまった。

実際、黒澤父が話していたアークの事情は大方当たっていた。

補足するならば、アークを作った小原家先祖———フェニキア人でありカナン人である彼らは、その人工知能搭載型巨大戦艦のアークに乗って世界中を旅し、やがてこの内浦を第二の故郷として住むようになった。

以前まで外来の小原家は黒澤家に排斥され、小競り合いや本格的な戦闘もあったが———それぞれ当主であるライダーが自我を持ち始めたアークゼロに殺され、状況が一変する。

そこに世界の救済のため諸国を放浪していたクウガも参戦し、今に至る。

さてそれをもって40代目クウガ(名無し)の話を聞いてゆこう。


「奴らの力は1人1人が僕より遥かに強大な力を秘めている……僕が無茶をしてようやく1人止められる。」
「何……!?」


アルティメットクウガがフルパワーで挑んで1人足止めできる程度とは———


「ロード・オブ・クロウはナムロドに仕える四柱。ちょうど大日如来を中心とした五智如来のようにね。」
「ナムロド……ナムロドとは何者だ?」
「小原家…いや、世界中の神話は1つに繋がっている。その神話に登場する神———全世界で至上神と崇められる邪悪な神だ。」
「王太郎の言う通り、奴は皆の心を支えた太陽の女神 アマテルという存在を肉体を封印した。それを哀れに思った『至高の存在』は彼女の精神の抜けた遺体を転生させ、光の神ルーへと変えた。やがてルーは初代クウガに力と使命を与え、暴虐の神ナムロドの精神と肉体を分離させた————」
「分離……」
「そして精神体となったナムロドは自らの脳を含めた体を、我らの船に祀られた神鏡に宿らせ、小原家に知識とお告げ、時に武器を作り出してくれた————これがアークの正体だ。」


なるほど……呪術的人工知能であるアークの正体は、神の肉体の改良された姿だったのか————ということは、奴に精神性がないのも合点がいく。


「僕はナムロドの野望を阻止するために戦っている。この2人はそれぞれ内浦の地を守るために———利害は一致している故だ。」
「なるほど……では、《《お前》》は何のために?」
「私…?」


俺は話を静観していた、千歌に似た———千陽というシャーマンに問いかける。すると彼女は微笑して、視線を俺に向ける。


「私は石英君と王太郎君たちのために、神様に祈って——声を伝えるだけだから。」
「何をおっしゃいますか千陽様!!千陽様の神託がなければ我々は……いや、内浦は無に還っていたでしょう。それに……」
「それに……?」


俺は黒澤石英に尋ねると、普段は重いであろう口を開く。


「千陽様は神託を伝える以外にもっと素晴らしい力がある———人々を癒し、悪意に塗れた人間も、善意に変え……世界を平安へと導く『舞踊』を踊りなさる。」
「舞踊か……」
「今夜避難した村民に披露される———お主も見るといい。」
「是非、そうさせてもらおう。」
「おい、千陽様を村民達の避難場所に御運びせよ。」
「「「はい!」」」


廃屋の外に隠れていたのか、女性の声が複数聞こえたのちにその扉がスッと開けられる。

入ってきたのは————それぞれ果南、曜、善子に似た…おそらく先祖。


「千陽様を村にお運びしろ。」
「はーい!」
「千陽ちゃん行こ行こ〜」
「うん!」


渡辺先祖は千陽に寄り添い、そのまま3人と共にこの廃屋から去る。


「全くあやつらは…千陽様の貴重さがわかっておるのか———」
「仕方ない黒澤。俺たちとて千陽様と戯れていたんだ。そうそう対応を変えるのも酷だろう。」
「————————」


違和感……といってしまえば楽だが、やはり千歌のご先祖様に尊敬を表すのは何か間違っている気がする。しかしこれが巫女の宿命であろうか……



—————現代—————



場所は富士樹海。白木覗は定期的に行うパトロールに………しかし。


「なっ……!」


今まで守ってきた石板———自分がナムロドを封印した場所は無惨な姿へと変貌していた。

石板は砕かれ、中の玄室にある石棺は開けられていた————封印は解かれたのだ。


「一体誰が……」
「ナムロド様を完全に封印なんてできないわよ。」
「!?!?」


冷たくも恍惚とした声が覗にかけられる。無論、その声に瞬時に体が反応する。現れたのはシニヨンを左側にした群青の長髪を持つ少女である。


「貴様……《《リリス》》だな?」
「その名前で呼んでくれるとはね…昔はセイレーンとか、クババなんて呼ばれたりしたんだけど———私の名前は歩実。ナムロド様にお仕えする秘書であり、この身を捧げた奴隷……そして、《《あのお方をこの身》》で孕ませていただいた……世界で一番幸せな女です♡」
「あ……?」
「そんな崇高なお方を封印するなんて…人間の考えることは本当に卑しい!」
「キモい言葉を連発するお前には言われたくないな。」


リリス……かつてイヴの前に作られた最初の女性。のちに神の怒りに触れ、悪魔へと変貌したとされる————


「大烏の連中がそう呼んでいた———ナムロドを復活させたのは貴様だな……?」
「ピンポーン!」
「なら————ここでお前を倒す。」
「無理よ。」
「何?」
「私は仮にも憎き神に肉体を与えられた存在……《《誰が神様か》》わかるでしょ?」
「ぐっ……余計なことを———」


覗が早々に攻撃を諦める理由……それは彼女が不死身というレベルを超えているからだ。


「残念だけどお前みたいな人間離れした闇人間には興味ないわ。」
「————一体何が目的だ……?」
「言ったでしょ?欲が芽生えた私を楽園から追放した神への復讐……そしてそんな憎き神が愛する人間への復讐。誰にも邪魔させないわ……!」
「待て!!」


しかしその女は消えていた。


歩実と名乗る彼女の神への反逆の戦いは—————そしてその決着も果てしなく遠くにあるものなのかもしれない。




————————※————————




ここは内浦……恐らく浦の星学院付近だ。

さて、ここにはアークによって生命を脅かされた村民達が避難してきている。アークはここまで多くの民を虐殺している————正確には《《養分》》にしていると言うべきか。

ナムロドの依代であるアークは力を溜め込んでいる。もしアークを依代にされてしまったら……その前にアークを———否、もっと上を倒す。


その老若男女が集う避難所、そこに大きな円形の舞台が用意され篝火が双方に用意される。













シャンシャン!!







神楽鈴を鳴らす千陽————篝火に照らされる六芒星の中央に立たれる。















舞う……舞う……舞う。












巫女が舞う。

















神女が踊る—————俺は《《Aqours9人の面影を彼女1人に見た》》。

















彼女は神楽らしからぬアクロバティックな動きで宙を舞う……その度に俺の心は無限に広がる感覚に襲われた。普通の舞を見ているのではないことは言うまでもない。





心に平穏がもたらされる……皆を癒し、魅了し、細胞を回復させる。









まさに神と繋がる舞…………そういう他なかった。






———————※———————




≪スティングカバンシュート!≫

≪フィニッシュタイム! フルメタルブレイク!!≫


ジカンデスピアから発生するビームと毒矢が互いに拮抗し、互いの炎を打ち消してしまう。


「全く……キリがない。早く本来の力が戻ってほしいものだ————だけど。」
「はぁ……はぁ…滅!僕もう疲れた!!」
「迅、我々はまだ1時間しか戦っていない。アークの指示があるまで我々は戦い続ける。」
「しぶといロボット達だ……!」


次の攻撃は秒読み………そこに、強烈な《《日光》》が飛んでくる。

忽ち滅と迅は目を覆う——————そして現れたは、日光と月影の剣の二刀を持つグレートクローズ。


「祝、大丈夫か!?」
「竜介君?……入院したと我が魔王から聞いたが———」
「退院した!!」
「あ、あぁ…」
「とにかく行くぞ!!」


光に怯む2人の腹部に闇黒剣で一閃を描く。飛び道具中心の滅・迅に反撃を許さず、日と月の剣が何度も2人の体を切り裂くように交差する。


「これで終わりだ!!」


≪必殺リード!≫

≪ジャアククローズドラゴン! 習得一閃!≫


紫炎を纏った東洋竜が2人を襲う————すると、まだ許容ダメージ内であるのに2人の変身が解除されてしまう。そしてその勢いで闇で拘束する。


「何だこれは……!?」
「何で……フォースライザーが使えない!」
「お前らのベルトは———この剣が封印した!!」
「祝、竜介先生!」


決着はついたところで、声をかけたダークキバとアルティメットクウガが2人の元にやってくる。魁は早速グレートクローズに顎で指示を出し、手に持った光剛剣日光を動けない滅に向けさせる


「さて……アークの居場所を吐いてもらおうか?」
「ふん…人工知能による理想郷実現のためなら命は惜しくない———アークの居場所は吐かん。」
「ならば——貴様のメモリーを抜き取り、居場所を突き止める。」
「————魁、お前そんなことできんのか?」
「————多分。」
「ならば『その必要はありません。』


爆煙が一行の目と鼻の先で上がり、一気に戦闘態勢へと入る。




現れたのは————黒いローブをその身に纏う謎の男。





「戦士の諸君!———ご機嫌よう。」
「何だお前!?」


グレートクローズが投げかけた問いに謎の男は険のない雰囲気で答える————そのフードに隠された《《茶褐色の顔と髪》》を晒し。


「我が名はナムロド……この世界の新たな唯一神となった男だ!」
「ナムロド……?」
「嘘つけ!!ナムロドは竜介先生に封じられたはずだ!!」
「えぇ……ですがあの時封印は弱まったのは確実です。そこを突かれたようですね。」
「何他人事みたいに言ってんだ……」


呆れる虎太郎をよそにナムロドは闇黒剣による拘束から、滅と迅を解き放つ。


「貴様…なぜ俺たちを助ける?」
「あなた達滅亡迅雷.netは《《世界を滅ぼす鍵》》となるべく作られた存在……私はアークの生みの親ですから。」
「え…?」
「ここは引きなさい。」


そう言ってナムロドは2人を何処かへと転送させてしまう。


「テメェ!」
「はぁっ!!」


グレートクローズが襲い掛かろうとするのを察知したナムロドは掌を正面に向け、邪悪な衝撃波を放ち、グレートクローズを押し返す。


「さて……あなた達は準備運動の相手になっていただきましょうか。」
「何……?」
「金色のガシャット!?」


≪オムニツリー!≫


ナムロドは黄金のガシャットを起動し、共にバグルドライバーXのAボタンを押す。するとそのガシャットは金色のオーラを伴いながら宙を舞い、神秘的な樹を映し出す。


≪ガシャット!≫


「変身…!」


≪バグルアップ!≫


≪OPEN THE BIBLE!≫

≪THE ONLY GREATEST GOD!≫

≪KAMENRIDER MARDUK!!≫

≪THE LEGEND has just begun……!≫


邪悪と黄金のライダー………仮面ライダーマルドゥク。

邪悪な神が放つその威圧感はその場にいる4人に、恐怖と警戒を否応なしに植え付ける。


「「「「はぁっ〜!!」」」」


ダークキバとウォズはそれぞれザンバットソードとジカンデスピアを振り下ろすが、それをマルドゥクは剣先を摘んで放り出す。

後続のアルティメットクウガの高エネルギーを纏う拳がマルドゥクの邪金の鎧に飛んでくるも、子どものパンチのように胸で受け止められる。

続けてグレートクローズが日と月の剣を振るうが、完全に読み切ってその一閃を躱す————と同時に、クウガの腹に自身が受け止めたのと《《同じような拳》》をお見舞いする。しかし威力は桁違いのようで、樹々を薙ぎ倒して森の奥へと飛ばされる。


「今のは……!」
「あれが私を殺しかけたクウガ……今や私の敵ではない!」
「相手の能力を模倣できるのか…厄介な能力だな!」


ダークキバは一か八かで、紋章を出現させマルドゥクにぶつけようとする……が。




≪ポーズ!≫





今までの戦闘が嘘のような静寂が訪れる—————1つ、《《Bボタンだけを》》軽く押しただけで……だ。


時が止まった。これ以上の説明は不要である。




「神のアンテナを持ってすれば不意打ちなどほぼ無意味……ひれ伏せ愚民。」


≪ガッチャーン……≫


バグルドライバーX(カイ)をビームガンモードへと切り替え、必殺を用意するBボタンを押す。


≪キメワザ!≫

≪CRITICAL TYRANNY!≫



深金色の光弾がダークキバ……さらに扇型に広がった射程範囲内にいたウォズも巻き添えを喰らう。




≪リスタート!≫





「「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」





ウォズの装甲は火花を散らし、散って行く。そしてあろうことかその必殺をモロに喰らったダークキバもまた……


『何!?』
「変身解除……どういうことだ!?」
「ほう……《《辺り一帯を消し飛ばした》》つもりでしたが———キバの鎧も進化しているようですね。」
『どうやら今のはギガトン級の威力だったようだな……俺たちが防ぎきっただけでもありがたく思え。』


余韻に浸っているマルドゥクの背後。グレートクローズは日と月の剣をクロスさせ、エネルギーを溜め込み、X字の斬撃を飛ばす———この攻撃は引力を伴い、ミニブラックホールを発生させることで相手を次元の彼方へと封印できる……が。


「はぁっ!」
「!?」


膨大な邪気に触れてしまい、その斬撃はボロボロに崩れてしまう。


「嘘だろ……」
「ふふふ……ではフィナーレにこの一撃を与えましょう!」


マルドゥクは空高くへと浮き、赤黒い巨大な光弾を手のひらに転がす————それを地面に向かって与える。


「虎太郎ォォォォ!!」
「!」


≪最高発光!!≫

≪月影居合!≫

≪グレートドラゴニックフィニッシュ!!≫


アルティメットクウガの物質操作と日光と月影による斥力を伴った虹色の障壁を形成する。普通に考えれば攻撃など通すはずもない障壁だが………


「「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」


光弾は見事障壁を突き破り、クウガとグレートクローズの変身を解除させる。2人のダメージは尋常ではなく、立ちかねているほどだ。


「はぁ…はぁ…」
「身を挺して人間を守るとは……いつの時代も仮面の戦士は勤勉で———そして愚かだw」
「この町の……人間を守る。輝きを護るのは俺たちAqours☆HEROESの使命だ!」


怒声と共に神に向けるのは、刃———否。

《《才が送ってくれたシュシュ》》———梨子がAqoursのために買ってくれたモノだ。


なんと左拳につけたシュシュは傷ついていない————絆は絶対に切れない。どんなにぶつかっても……


「あぁ!竜介の言う通りだ!お前達がどんな力を手に入れようと……
「あなた達が身を挺して護る価値が人間にありますか?」


魁の話に割り込むマルドゥク……当たり前ではあるが、何か核心をついているであろう発言に一同は口を閉じてしまう。


「偉大な力の前では人類は無力。徒党を組むことでしか動けない弱者です————だったら偉大な力を持つ私に平伏すという形で徒党を組む方が人類に幸福を与えられる。」
「ふざけたことを……お前の目的は生贄だろうが!!」
「生贄を捧げるのは統治される者としては当然……それを望む人はこの世界にはたくさんいますよ————あなたが知らないだけ
「黙れ黙れ黙れ!!!」


魁は怒りのままにマルドゥクを手持ちのザンバットソードで斬ろうとする……


≪カラドボルグ!≫


イカした渋い音声と共に金色の三角剣が現れ、王の刃を完全に防ぐ。さらに膝をつくまでに刃越しに追い詰める。


「あなたも分かっているでしょう…?人間は愚かだ————愚かな人類を滅ぼす方が守るよりも楽しく力が湧いてくる……そう思いませんか?」
「お前と一緒にするな!!俺は……皆を導く王だ!!」
「そうですか……残念です。ではこのちんけな町と共に消滅しなさい。」
「俺は…俺は…俺は!!」


深緑のオーラが意識せず魁の全身から漏れ出す。邪金色のマルドゥクとは対照的な……そして揉み合っていた剣がついに離れる。


「はァァァァァ!!!」


信念の勝利というべきか……魁の刃は見事マルドゥクに一閃を描く。しかしギリギリでカラドボルグによって防がれ、変身解除はされなかった………


「はぁ…はぁ…」
「いい太刀筋です。しかし……ん?」


マルドゥクの装甲に電流が流れたかと思うと、突如として装甲が砂金のように消滅する—————


「なるほど……この《《鍵》》にはまだ変身を維持するだけのエネルギーが補填されていませんでしたか————まぁいいでしょう。この町の悪意を吸収して回復しましょうか……」
「ぐっ……」


相手が悪すぎる。

今まで鍛錬を積んで成長した……その矢先の相手がこの邪神である。変身していないとはいえ、圧倒的な力になんとか耐えた今の4人には戦うだけの体力が残されていない。

カラドボルグを持ったナムロドが襲いくる……が、すんでのところでその刃は止まる。


「なっ…!?」
「クウガ……?」


《《虎太郎ではない》》もう1人のアルティメットクウガ———その瞳は漆黒。漆黒のクウガが、左腕でそのカラドボルグを受け止めた。


「貴様……10年経った今も生きているなんて思いませんでしたよ———」
『さァ?運命ハ分からないモノだネ……!』
「ふふふ…このくたばり損ないが!!その左腕を見るとイライラする……!」


ナムロドの焦り……というよりか、怒りに近いか。

ナムロドは怒りながらも状況を冷静に判断し、雷の如く怒りを物凄い眼力として我々に飛ばして退散する。


『さテ……僕モ罷ろうカ。』
「待って!!」


滅多にない虎太郎の大声。その声にブラックアイクウガもゆっくりながら振り向く。

虎太郎は考える—————そして……親指を上げた。


彼もまたサムズアップで返す。


『……大きくなったな、虎太郎。』
「あぁ。この世界は俺たちAqours☆HEROESが護る……心配しなくていいよ。」
『そうだな……』


無機質な人間兵器に成り下がったはずのアルティメットクウガ……しかしその仮面の下に涙が垣間見えた気がした。

喜びの……涙。


それだけ残して何処かへ消えていった—————



















「また会おう………《《父さん》》。」



















一筋の涙を。 
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