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X ーthe another storyー

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第四十六話 結想その十三

 だが丁は沈んだ声で言っていた。
「彼は生きていても」
「それでもですか」
「安心は出来ないですか」
「はい」
 傍に控える緋炎と蒼氷に答えた。
「決して」
「戦いはまだ続いている」
「だからですか」
「運命は変わっている部分もありますが」
 それでもというのだ。
「幸せな結末に至るかどうかは」
「姫様が望む様な」
「それはですか」
「わかりません」 
 そうだというのだ。
「まだ、ですから」
「安心せず」
「そうしてですか」
「これからも戦って欲しいですか」
「天の龍の方々には」
「今戦えるのは四人」
 その数のことも話した。
「地の龍は三人ですが」
「まだですね」
「油断は出来ないですね」
「最後の一人になろうとも」
 地の龍がというのだ。
「彼等にも剣があります」
「二振りの剣のうちの」
「地の龍の神威のものがですね」
「それは何時でもです」
 それこそというのだ。
「庚が持っていますので」
「地の龍の神威に渡せる」
「そうですね」
「剣を持った地の龍の神威と戦えるのは一人」 
 唯、というのだ」
「剣を持ったです」
「天の龍の神威」
「あの方だけですね」
「剣は今わらわが持っていますが」
 天の龍の神威のそれはというのだ。
「それを彼に渡すのは」
「今ではない」
「然るべき時ですね」
「そして戦ってもらいますが」
 それでもというのだ。
「力は互角」
「まさに」
「そうですね」
「互角同士の戦いなら」
 そうであるならというのだ。
「どうなるかわかりません」
「どちらが勝つか」
「決して」
「ですから」
 それ故にというのだ。
「今の状況でもです」
「安心は出来ませんか」
「戦いが終わるまで」
「わらわは最後まで務めを果たします」 
 夢見のそれをとだ、丁は言った。
「そしてです」
「天の龍の方々を導かれますね」
「そうされますね」
「これからも」
「天の龍の勝利の為に」
「わらわは」
 ここでこうも言ったのだった。
「そうします、ですが」
「ですが?」
「何かありますか」
「いえ」
 二人に自分の言葉を打ち消して述べた。 
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