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魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)

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【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
 【第5章】エクリプス事件の年のあれこれ。
   【第5節】キャラ設定5: アンナとリグロマ。

 
前書き
 この二人は、この作品の「本筋」とは全く関係が無いサブキャラなのですが、説明の都合上、ここでやや詳しく紹介しておきます。 

 

 まず、「リリカルなのはStrikerS サウンドステージM4」には、『小児(こども)たちに格闘技の基礎を教えていたザフィーラが、男の子から「組み手をしよう」とせがまれても、「アンナのミット打ちがまだだ」と返して、男の子に順番を守らせる』という描写があるのですが、その「アンナ」が、この「アンナ・ク・ファーリエ」です。
【私は『八神道場の出身者がミウラ一人だけでは、ちょっと寂しいなあ』と思い、メガミマガジンの付録から無理矢理にモブキャラを一人、引っ張って来ました。(笑)】

 独自設定ですが、アンナはその時点(新暦77年8月)で8歳。つまり、ヴィヴィオやコロナやリオと同い年です。
 八神道場の方針として『公式試合に出場して良いのは、ある程度まで体が出来てから(具体的には初等科を卒業してから)』ということになっていたのですが……彼女が初等科を卒業する直前の81年2月、「エクリプスに関する一連の事件」が動き始めたことにより、はやては不本意ながらも八神道場を(開設から、わずか4年と8か月で)正式に閉鎖します。
 そこで、アンナは「ミウラ先輩」と同様に、ナカジマジムへ移籍。81年の第29回大会から88年の第36回大会まで(12歳の時から19歳の時まで)8年連続でIMCSに出場しました。

「ク・ファーリエ」は明らかに(キャロの「ル・ルシエ」と同様に)パルドネア系の苗字なのですが、アンナの祖先がミッドに来たのは、もう何世代も前のことなので、アンナ自身はもう〈管6パルドネア〉について、特に強い関心はありません。
 彼女は、首都圏で大きな病院を経営する裕福な医師(二代目の院長)の長女で、幼少期には何の苦労もせずに育ちました。八神道場で格闘技になどハマりさえしなければ、学校でもずっと、単なる「恵まれた体格のお嬢様」で(とお)っていたことでしょう。
(学校は、St.ヒルデ魔法学院とはまた別の魔法学校です。79年には、カレルとリエラもその学校の初等科に入学し、アンナの「三つ下の後輩」になっていますが、その時点ではまだ互いに面識はありません。)

 彼女は純粋な格闘型の選手でしたが、容姿と体格に恵まれているだけで、魔力量も特に多い方ではなく、当初は特殊なスキルなど何ひとつ持ってはいませんでした。
 悪く言えば、まだ「自分らしさ」と呼べるモノが欠片(かけら)もありませんでしたが、良く言えば、まだ「悪い癖」というモノが何ひとつ身に()みついていません。
【これぞ、ザフィーラの指導の賜物(たまもの)です!】

 アインハルトはそこに目を付けて、じっくりと時間をかけて彼女に「覇王流」を一から教え始めました。そして、アンナは驚くほど素直に、その教えを吸収していきます。
 もちろん、アンナは「特別な才能は無い、普通の人間」なので、その上達ぶりも(アインハルトのような「特別な人間」の目から見れば)とてもゆっくりとしたものではありましたが、同時に、それは(八神道場で「体の基礎」が出来ていただけに)とても着実で「()るぎない(あゆ)み」でした。
 IMCSでも、最初の三年間は(組み合わせ順の悪さも手伝って)あまりパッとしない成績でしたが、それでも、アンナは中等科を卒業する頃には、アインハルトも「太鼓判」を押すほどの実力者となり、実際に、それ以降の五年間は連続して都市本戦にまで勝ち進みました。
(その具体的な成績に関しては、また次章以降の本文中で述べます。)


 一方、ミカヤ・シェベルは、80年の末に19歳でIMCSの選手を引退した後、81年の初頭からは「顧問取締役」として、いよいよ本格的にナカジマジムの経営に参加しました。
【コミックスの最終巻によると、彼女は80年の春には、すでにナカジマジムの顧問取締役として働いていることになっているのですが……80年のうちは、彼女自身もまだ19歳で、IMCSの現役選手で、しかも、ナカジマジムの所属ではないはずなので、この作品では、一年ほど時期をずらして考えておくことにします。】

 しかし、どう考えても、今、このジムには「正規のスタッフ」が足りていません。
 ノーヴェ会長が「見ず知らずの他人」を雇い入れることに対して非常に慎重な態度を取り続けていたため、そういう状況になってしまっていたのですが……実際のところ、給与や納税といった問題を考えると、いつまでも非正規雇用で「戦闘機人姉妹などの、ノーヴェの個人的な知り合い」に臨時のコーチなどを頼み続けている訳にもいきません。
 そこで、81年の2月に八神道場からアンナが移籍して来て、いよいよ選手の数が増えたのと同じ頃、ミカヤ(20歳)は「かつての名選手」リグロマ・ゼオラーム(24歳)の厳しい現状を知って、迷わず彼女に声をかけたのでした。

 リグロマは決して美人ではありませんが、卓越した(こん)の使い手でした。
 彼女は、IMCSには69年の第17回大会から76年の第24回大会まで、8年連続で(12歳の時から19歳の時まで)出場しました。
 最高成績は都市本戦での準優勝です。
 かつてない最良のコンディションで臨んだ74年の第22回大会では、まず地区予選の準決勝で、ミカヤ選手(13歳)の「都市本戦への連続出場」を阻止し、決勝戦では「絶好調の」バオラン選手(14歳)をも(くだ)して都市本戦へ出場しました。
 そして、リグロマ(17歳)はそのままの勢いで都市本戦の決勝戦にまで勝ち進みましたが、そこで前年度の準優勝者プロステア選手(18歳)と対戦し、惜しくも判定負けとなったのです。

【公式の設定とは少し食い違いますが、「ミカヤ・シェベルは12歳で第21回大会に初めて出場して以来、8年連続でIMCSに出場。そのうち6回は都市本戦にまで出場」という設定で行きます。つまり、「地区予選の段階でミカヤを負かしたことがあるのは、リグロマとミウラの二人だけ」という設定です。
 なお、73年の第21回大会では、ミカヤは(79年のミウラと同様に)初出場でいきなり都市本戦の二回戦まで勝ち進んでおり、当時は『これはまた、大変な新人(ルーキー)が現れたものだ』と大いに話題になっていました。】

 リグロマは、最終的には体をだいぶ痛めてしまった形で競技選手を引退しましたが、その際に、人間関係の破綻を主な原因として、今まで所属していたジムとも完全に縁を切りました。
 そして、翌77年、業界にはもう二度と戻らない覚悟で、一般人の男性と結婚。翌78年の春には早速、21歳で一女オルディナを産みましたが、80年の夏には、夫の不倫が原因で早くも離婚してしまいます。
 リグロマは失意のうちに、2歳になる娘を連れて実家に戻りました。
 場所は、「タナグミィ地方(広義の首都圏地方)」の北端部、北の大運河に面した「中核都市ノムルゼア」の旧市街です。

 彼女の実家はそれなりに裕福で、実母も継父も(たね)違いの弟妹も揃って温厚な人柄だったため、幼い娘を連れて出戻っても、さほど居心地が悪くはありませんでした。相当な額の慰謝料もあるので、『しばらくは働かなくても、生活には全く困らない』といった状況です。
 それでも、やはり、いい年をした大人(おとな)がいつまでも親の厚意に甘え続けていて良いはずはないでしょう。
(ただでさえ、継父とは血のつながりが全く無いのです。)

【なお、リグロマの実母は生粋(きっすい)のミッド人ですが、実父は生粋のデヴォルザム人でした。
 二人はミッドで出逢っていきなり恋に落ち、すぐに結婚して一女リグロマをもうけたのですが、夫の暴力が原因でまたすぐに離婚。リグロマがまだ物心もつかないうちに、彼女の実父は「離婚した元妻への悪質なストーカー行為」を繰り返したため、ついには「国外退去命令」を受けて本国に強制送還されてしまいました。
 リグロマの魔力は父親譲りのものですが、あまり「男を見る目」が無いのは、どうやら母親譲りのようです。
(なお、リグロマの母親の再婚は、本人の意思とはあまり関係が無く、「周囲の勧め」にそのまま従ったものでした。)】

 年が明けて、離婚から半年が経ち、自分なりにようやく気持ちが落ち着いて来ると、リグロマもぼちぼちと職を探し始めたのですが、いかんせん、魔導師になれるほどの魔力がある訳でも無く、今まで普通の会社で働いた経験も全く無いので、なかなか「自分にも(つと)まりそうな仕事」が見つかりません。
 そんな折り、ミカヤはふとした偶然から「かつての強敵(とも)」が今はそんな境遇に置かれていることを知って、迷わずリグロマをナカジマジムに誘ったのでした。
 リグロマは元々、この業界には戻らないつもりでいたので、ミカヤからの誘いに対しても、最初のうちは『乗るべきか、(いな)か』と悩んでいたのですが、何日かして、『やはり、自分にはこの道しか無いのだ』と決意を固めます。
 こうして、81年3月。3歳になった一人娘オルディナの世話を母親に頼み、リグロマはナカジマジムに就職しました。
 彼女自身は本来、格闘型の選手ではなかったのですが、それでも、格闘型の選手たちを相手に名トレーナーとして活躍し、同じ時期にナカジマジムに参加したマネージャーらとともに、ノーヴェやミカヤの負担を大幅に減らして行きます。
(これによって、81年からは、コロナも再び競技選手の方に専念できるようになりました。)


 なお、「プロローグ 第5章」よりも、少し先の話になりますが……。
 新暦82年の夏、リグロマ(25歳)は、見学でジムに来ていた「一卵性双生児のファルガリムザ姉妹」プラスニィとクラスティ(10歳)の才能を目ざとく見出(みいだ)すと、彼女らの両親に直談判(じかだんぱん)をして彼女らをジムに入会させた上で、特別枠を組んで、この双子を自分と同じ「(こん)の使い手」として育成し始めます。
 そして、83年の末に、アインハルトとミウラとリオ、三人もの「花形選手」が一斉に引退してしまうと、業界では「ナカジマジムの今後を危ぶむ声」も上がりましたが、翌84年には、リグロマはいよいよこの双子姉妹をIMCSの第32回大会に出場させて、そんな声を一気に吹き飛ばしました。

【ちなみに、「キャラ設定2」でも述べたとおり、82年から83年にかけては、当時はまだ「だいぶ線の細い体」をしていたカレル・ハラオウンも、もう少し体を頑丈なモノにするため、同じ学校の先輩であるアンナも所属するナカジマジムに(かよ)わされていたのですが、どうやら、同い年のプラスニィやクラスティにも全く(かな)わなかった経験があるようです。(苦笑)】

 また、リグロマは84年の3月には、丸三年間も実家に(あず)けっ(ぱな)しにしていた一人娘のオルディナを、ようやく自分の手元に引き取りました。
(後日、オルディナは「6歳児の集団検診」でリグロマ以上の魔力の持ち主であることが判明しました。)
 そして、リグロマは翌85年の10月には、「理由(わけ)あって引退したノーヴェ」の(あと)を継いで、ナカジマジムの「二代目会長」となったのでした。
【この頃のノーヴェについては、「背景設定7」にまとめておきましたので、そちらを御参照ください。】


 また、さらに先の話になってしまいますが……。
 アンナの七歳(ななつ)年下の妹ジュゼルは、姉の後を追うようにして、88年の第36回大会には12歳でIMCSに初出場しました。
 また、さらに二歳(ふたつ)年下のオルディナも同じように、90年の第38回大会には12歳でIMCSに初出場します。
 そして、双子のファルガリムザ姉妹が91年の第39回大会を最後に19歳で競技選手を引退した後、新暦92年からは、また新人選手たちも加わって、ジュゼル(16歳)とオルディナ(14歳)は二人してナカジマジムを再び盛り上げて行くことになります。
(なお、ファルガリムザ姉妹は競技選手を引退した後、そのまま「プロの世界」へ進み、92年には「テミストス興行」に入社して、テラニスの後輩になりました。)

 一方、アンナは88年の暮れに、その年から選手となった妹のジュゼルと入れ替わるようにしてIMCSの選手を引退した後も、そのままナカジマジムに残り、(その実績と美貌ゆえに)コーチ兼「広告塔」として活躍を続けていました。

 また、同88年の夏からは、当時15歳で「スバルと同棲中」のラディスリィ・パモレスカ少年も、体を鍛え直すためにナカジマジムに(かよ)っていました。
 そして、翌89年、ラディスリィはリグロマに才能を見出されて、まずは一般の「インストラクター資格」を取り、90年の春には、「一般会員向けの指導員」として改めてナカジマジムに就職。スバルの庇護(ひご)(もと)から、ようやく独り立ちしたのでした。

 その後、ジュゼルは95年の第43回大会を最後に、19歳でIMCSの選手を引退し、オルディナもまた、97年の第45回大会を最後に、19歳でIMCSの選手を引退しました。

 そして、97年の春、オルディナの引退に半年あまり先駆けて、リグロマ(40歳)が「一身上の都合」と称し、唐突に会長職を引退してしまうと、92年の「秘密出産」によって、すでに一女の母となっていたアンナ(28歳)がその(あと)を継ぎ、ナカジマジムの「三代目会長」となります。
 その後、リグロマは(ノーヴェと同様に)二度とIMCSの表舞台にその姿を現すことはありませんでした。
【後に、リグロマはミッドチルダから完全に姿を消してしまうことになるのですが、それは、また全く別の物語です。】

 また、オルディナも、アンナやジュゼルと同様に、選手引退後もジムに残って後進の育成に努めることにしていたのですが、母リグロマからの勧めに従って、翌98年の春には、20歳で早々とインストラクターのラディスリィ・パモレスカ(25歳)と結婚し、その後は、とても幸福な家庭を築きました。
【一方、アンナは、ジュゼルやオルディナとは全く対照的に、その後もなかなかに「波乱に富んだ人生」を歩むことになるのですが、それもまた全く別の物語です。】


 
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