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X ーthe another storyー

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第四十六話 結想その十一

「難波の方にね」
「有名な蟹料理の店があるな」
「そうよね」
「かに道楽だったな」
 神威はその店の名前も言った。
「そうだったな」
「動く看板よね」
「大きなな」
「あのお店もあるから」
「空汰はな」
 管財生まれでそこで育った彼はというのだ。
「山、高野山にいてもな」
「好きね」
「そう思うしな」
「尚更いいわね」
「それならな」
 神威は微笑んで話した。
「あいつにもな」
「持って行ってあげてね」
「食ってもらおう」
「そうしようね」
「最後の雑炊もな」
 こちらもというのだ。
「本当にな」
「食べてもらいましょう」
「全部食えばな」
「尚更栄養があって」
「身体にいいからな」
 それ故にというのだ。
「あいつにもな」
「雑炊までね」
「食ってもらおう」
「それじゃあね」
「勿論昴流さんにも持って行ってな」
 彼のところにもというのだ。
「そしてな」
「そのうえでよね」
「そうだ」
 実際にというのだ。
「楽しんでもらう、ただ火煉さんは」
「入院中だから」
「退院してからな」
 それからというのだ。
「また作ってな」
「食べてもらうのね」
「そうしよう」
 彼女のことも話した。
「皆がだ」
「美味しいものを食べないとね」
「駄目だ」
「そうよね。何かね」
 小鳥はここで微笑んでこうも言った。
「そんなこと言える神威ちゃんがね」
「俺がか」
「凄くいいわ」
 微笑んだまま言うのだった。
「一緒にいて」
「そうなのか」
「これが本来の神威ちゃんなのよ」
 小鳥はこうも言った。
「思いやりがあって優しい」
「そうなのか」
「だからね」
 そうした彼だからだというのだ。
「私もお兄ちゃんも天の龍の人達も」
「一緒にいてくれるか」
「そうよ」
 こう答えた。
「本当にね」
「有り難いな、だが」
「だが?」
「俺はな」 
 神威は自分から言った。 
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