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ドリトル先生とラーメン

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第三幕その十一

「もういいけれどね」
「その考えは美徳ですが」 
 無欲であって満足を知っていることはとです、トミーもやれやれとなりながら先生に対して言いました。
「ですが」
「それでもなんだ」
「はい、幸せに際限はなくて」
「僕もなんだ」
「これまで以上にです」
 まさにというのです。
「幸せになれますよ」
「そうなんだ」
「確実に」
「今以上の幸せってあるのかな」
 先生は首を傾げさせて思いました。
「果たして」
「僕達がいて素敵なお家があってお仕事があってですね」
「美味しいものを食べられて好きなだけ学問が食べられるんだよ」
 これだけ揃っているからだというのです。
「もうね」
「最高にですね」
「幸せだけれどね」
「ここで奥さんとか」
「だから僕にはね」
「無縁ですね」
「そちらはね」
 明るく笑って言うのでした。
「何しろ恋愛はね」
「無縁ですね」
「それが僕だからね」
 だからだというのです。
「もうね」
「そちらのことはですね」
「ないよ」
 絶対にというのです。
「本当にね」
「そうなんですね」
「そうだよ、結婚しなくても」
 奥さんがいなくてもというのです。
「僕は最高にね」
「幸せなんですね」
「そうだよ」
 またトミーに言いました。
「もうね」
「だからですか」
「これ以上の幸せなんて」 
 それこそというのです。
「絶対にね」
「ないんですね」
「満足しているしね」
 今の状況にというのです。
「本当にね」
「そうですか」
「うん、このままね」
 さらに言う先生でした。
「皆と一緒にね」
「楽しく暮らされますか」
「お仕事と学問を続けながらね」
「先生今お金もあるしね」
 王子はこのことを言いました。
「大学の教授さんだから」
「安定した収入も得られる様になったよ」
「そうだよね」
「そのこともあるしね」
「幸せなんだね」
「うん、とてもね」 
 ここでも笑顔で言うのでした。
「僕は」
「それで満足なんだね」
「日本に来てね」 
 そうしてというのです。
「僕は最高に幸せになったよ」
「日本に来てよかったね」
「もうずっとこの国に住みたいよ」
 こうまで思っているというのです。
「本当にね」
「それは何よりだけれど」
 それでもと言う王子でした。
「ちょっとね」
「駄目なんだ」
「先生がすぐに満足して」
 そうしてというのです。
「最高に幸せだって言うのはね」
「よくないのかな」
「この場合はね」
「わからないんだけれど」
「それがわからないのがね」 
 まさにというのです。
「本当にね」
「駄目なんだ」
「そうだよ」
 こう言うのでした。
「僕達皆がそう思っているよ」
「その通りよ先生」
「僕達いつも言ってるけれど」
「今が最高じゃないよ」
「まだこれからもだよ」
「幸せはあるよ」
「そうなのかな」
 やっぱりわかっていない先生でした。
「僕はまだなんだ」
「幸せになれるよ」
「これからもね」
「さらにね」
「そうだよ」
 こう皆で言うのでした。
「これからもね」
「幸せになっていく様にしよう」
「今以上にね」
「今が最高と思わないで」
「そのうえでね」
「あるのかな」
 今以上の幸せがとです。
「果たして」
「あるからね」
「安心してね」
「全く、いつもそう言うから」
「先生はもどかしいわ」
「僕達にしても」
 皆はそんな先生にやれやれです、ですがその目はとても暖かくてです。
 先生の傍にいるのでした、そして先生を今以上に幸せにしようと思うのでした。 
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