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色々と間違ってる異世界サムライ

作者:モッチー7
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第6話:ノノ、ダンジョンと踏破するが……

月鍔ギンコperspective

今日もるんたったのだんじょんとやらにおるのだが……
人の姿をした犬!?
ノノ殿言う通り、この世界には、某が見た事も無い怪物……『マモノ』が数知れずいる様だ。
仏さまはなぜ、このような世界を知っていたのだろう?
「同じ獣人なのに、何でコボルトはこんなに野蛮なんだか……」
ジュウジン?
どう言う者なのだ?そのジュウジンと言うのは?
「そう言えば」
「ん?」
「セツナ殿も変わった耳をしておられますな」
「今更!?と言うか、何だその初めて見るみたいな反応は!?」
と言われましても、本当に初めて見たのですから仕方がないのです。
取り敢えず、某がこことは違う世界から来た事をお話したのですが、
「ここじゃない別の世界から来た?」
「いかにも!」
と、ここでセツナ殿が長く考え事をしております。
「……もしや……やはり……」
……何がやはりなのでしょうか?
「……なあ、その直前に誰と出会った?」
「誰と、とは?」
「決まっている!そいつがお前をここへ飛ばしたんだ!」
セツナ殿の気迫に少し気圧されましたが、それについて某が答えられる事は少なく、
「ただ、仏さまにお祈りをしておっただけで……」
と言って、某はふと思った。
「やはり……仏さまが某の願いを―――」
「何を願った!?」
「……悪鬼羅刹が蔓延る地獄の世へ―――」
「やっぱり!」
え?
セツナ殿の中では何かが合点がいった様ですが、某には何の事だか解りません。
ノノ殿に訊ねようにも……ノノ殿はだんじょんの中にある箱を開け続ける事に夢中で聞いてくれません。

セツナperspective

ツキツバと言う女戦士が言うホトケ様がどの様な者かを聴けば聞く程、私のウンコセインに関する疑念は確信に変わる。
「つまり、ソノホトケ様に祈ったらこうなったと?」
「……信じるのですな」
ツキツバは、私が別世界の事を信じている事を疑っている様だ。
ま、道理としては間違っていない。
普通に考えれば、夢か病気かを疑うのが自然だ。私だって、ウンコセインがこの世に存在しなかったら、「長い夢でも観てたんじゃねえのか?」と言ってしまうだろう。
だが、私はウンコセインを疑い嫌い殺したいと願った。
だからこそ、ホトケ様はツキツバをウンコセインがいる世界に使わせたと思う。

で、ウンコセインを斃す為にツキツバがここに来たのではないかとツキツバに伝えると、
「いや、それは無い」
「何でヨ!?」
「ノノ殿の言う事との違いが多過ぎる故」
「ノノ、私のレベル上限を改善してくれた恩人の事か?」
「そうだ。ノノ殿は、ゆうしゃセインと共にマオウを倒したいとの事だ。が、セツナ殿が言ってる事はそんなノノ殿の望みを絶つ事なのでは?」
そう言われ、私は私が見たウンコセインを思い出していた。

「やぁ、『白ノ牙(ホワイトファング)』なんだけど、割の良い仕事とかないかな?」
「良いんだぞ勇者を頼っても」
「僕は神に選ばれた勇者セインだ」

で、私の口から出る言葉は、やっぱりといったところだ。
「いや……私は……信用していない!」
「セツナ殿は、とことんノノ殿の逆を言うのですな」
ツキツバは呆れた様に言うが、諄い様だがこれがウンコセインに対する私の考えだ。
「それに、ノノって子、あのウンコセインに直接出遭った事はあるのか?」
「その事については何も聞いておりませんが、少なくとも、某はセイン殿とは御逢いしておりませぬ」
我ながら本当に諄い様だが、私はあえて貯める様な事を言う。
「なら、実際に遭ってから改めて判断してくれ。ノノをウンコセインに預けるか否か」
ツキツバは少し考えたが、ふと何かを思い出したかの様に言った。
「でも、セイン殿はどの道ノノ殿を頼らざるおえない身です」
「何でそんな……」
あー!
レベル上限40倍!
経験値倍加!
「ツキツバ!ツキツバ!絶対に言うなよ!『ノノなら、レベル上限が物凄く少なくてもウンコセインの役に立てる』だけは」
が、ツキツバの返答は冷たい。
「それはどうでしょう?たとえ某やセツナ殿が口を噤んでも、ノノ殿自身やセイン殿が気付けは、セイン殿は某達の望み云々関わらずにノノ殿を頼る事になりましょう」
「駄目だ!それだけは―――」
「それに……だんじょんの方もいよいよ大詰めの様です」
ツキツバの目線に目をやると、部屋の中央にはぼんやりと青く光るクリスタルが浮いていて、僅かだが回転している様に見えた。
え?
あれ?
私はさっき、

ゴブリンライダー。
レスラーオーク。
レイス。
ミノタウロス。

を見た筈だ。
もしかして、レベル300ってそんなに凄い事だった……
あー!
私のレベルが200になってる!

ノノ・メイタperspective

僕は……このダンジョンでの本来の目的を果たす前に、ダンジョン踏破の証である核石に到達してしまった。
収納数100のマジックストレージなどのレアアイテムは手に入れた……
収納数100のマジックストレージなんか、世界中の行商人達が一斉に殺し合いを始める程のレアアイテムだけど……
でも……
「もう終わったって言わないでぇーーーーー!」
ま、まあ、ツキツバさんは確かにレベル300だし、セツナさんもレベル200になった……よほどのレアモンスターじゃないとお話にならないのだろう……
けどなぁ!僕はまだレベル3なんだよ!まだレベル3のクセにレベル上限達成者だぞ!
ぼ……僕のお荷物感が……半端ない……

とここで、セツナさんから提案があるらしく、
「ノノ、君が核石に触ったらどうだ」
……僕は取り敢えず拗ねてみる。
「このダンジョンにいるモンスターは、ツキツバさんとセツナさんがやっつけたじゃないですかー」
「拗ねるな拗ねるな。核石なら、お前の願いを叶えるかもよ?」
「ぜひ触ります」
核石が僕のレベル上限を改善するかもしれないと言われ、僕は迷わず核石に触れた。

《ルンタッタ迷宮の踏破おめでとうございます。それではクリア報酬をお受け取り下さい》
《報酬:ファーストクリア特典として偽装の指輪×2が贈られます》
《報酬:ダンジョンが贈られます》

え?……
……これだけ!?
続いて、ツキツバさんとセツナさんも核石に触れ、2人共ダンジョンだけ貰った。
「ま、まあ……ドンマイだ!ダンジョンはここだけじゃないし、私も付き合うよ。ツキツバって奴も強い敵に逢いたいらしいし」
……そうだね……拗ねてる場合じゃない。
こうなったら、世界中の全てのダンジョンを走破してでもレベル上限を激増させる方法を見つけてやる!
そして、その暁には、僕は勇者セイン様が率いる白ノ牙(ホワイトファング)に加わるのだぁー!

門番perspective

俺はルンタッタにあるダンジョンの入口を警備する衛兵だ。
が……レベル上限が3しかない少年とレベル上限がちょっと前まで7だった狼系獣人がダンジョンに入ってしまった。
俺の職務怠慢と言えば聞こえが良いが、あの2人の行いはハッキリ言って自殺行為だ。
レベルが既に300な上に経験値貯蓄と言うレアスキルを持ってる変わった衣装の少女が同伴だと言うので、一応最序盤のみと釘を刺した上で挑戦を許可したが……
お前ら、察して早く逃げろよ!
自殺志願者なのか!?そう言いたい気分である。

だが、そんな俺の心配は杞憂だった。
1日目は無事に戻って来て……
2日目も無事に戻って来た。
が、少年の方は完全に愕然としていた。
「これで解っただろ?これは……」
そう言いながら俺は彼らを鑑定した。
そして……驚いた!
「と!?……踏破したのか!?」
ファーストクリア特典!?
ダンジョンを貰った!?
普通喜ぶところだろ!なのに、何故この世の終わりの様に愕然としている!?
例の獣人が察したのか、俺が質問する前に質問の答えを言った。
「アイツが最初に核石に触ったんだが、結局、レベル最大値は……」
あ、なるほど……
ど……ドンマイだ。
「宝箱も粗方開けたんだけどな」
「粗方だと!?」
あれ?このダンジョンって?
俺は、変わった衣装を着た少女の方を向きながら戦慄した。
「レベル300……恐るべし」
だが、俺はある種の安堵がよぎった。
「つまり、このダンジョンの価値が下がったって事だな?」
その途端、例の少年に睨まれた。
「うお!?」
怖い!物凄く怖い!
この子、本当にレベル上限3か!?
「価値?そんなのありませんでしたよ。はははは」
口では笑っているが、顔と目が笑っていない!
「そうか……無いのか……なら、俺の肩の荷が下りたよ」
すると変わった衣装の少女が語り掛けてくれた。
「肩の荷が下りた?それはどう言う意味ですかな?」
「これでもう、無謀な挑戦者……もとい、自殺志願者は、このダンジョンに寄り付きもせんだろう。後は、戦闘練習として利用される程度だ」
その点は、この俺の飾り気の無い本心だ。
何時の間にかルンタッタにダンジョンが出現して以降、ダンジョンに寄り付く冒険家がわんさかやって来て、ダンジョン中で死亡事故を多発させてくれた……
だからこそ、俺の様な鑑定スキルを持つ衛兵を入口に置いて入場制限する事を余儀なくされたんだ。
ハッキリ言って……迷惑だったよ。

が、この3人は未踏破を謳っていたルンタッタのダンジョンを攻略しただけでは物足りないのか、
「『他に未踏破ダンジョンは無いか?』だと!?」
求道者かお前ら!?
他のダンジョンを求める理由を聞いてみると、

変わった衣装の少女は誉高き戦死を目指し、
狼系獣人は280に増えた自身のレベル上限の効果を確認する為、
レベル上限3の少年は勇者セイン率いる白ノ牙(ホワイトファング)に加入すべく、レベル上限を激増させる為、

どれも変わっていた……
とは言え、レベル200とレベル300ならばと思ってしまった俺は、つい口を滑らせてしまう。
「アイナークの近くに未探索の地下遺跡があった筈だが、領主であるロアーヌ伯爵の許可が必要だ」
その途端、この世の終わりの様な愕然を行っていた少年が食い付いて来た。
「アイナークの未探索遺跡ですね!?」
「あ……ああ……」
一方、少女の方は首を傾げていた。
「そのあいなーくとは何なのです?」
「え?ロアーヌ伯爵が統治する街だが」
この女……どうも可笑しい。
この齢で既にレベル300。着ている衣装も此処では見慣れない。多くの冒険家が立ち寄ったルンタッタだぞ!?
まさか……異次元のどこかから来た……
「ダハハハハハ!それは流石に無いわな!」
「?」

そして……
俺は、アイナークに向かう3人の背中を見送った。 
 

 
後書き
今週は……色々とありまして、掲載が遅れました。
申し訳ありません。

内容は、ルンタッタにあるダンジョン攻略の後半戦です。
で、結局……ノノ・メイタのレベル最大値は一向に増えないと言うオチで終わる(笑)。

ま、

経験値倍加・全体【Lv50】
スキル経験値倍加・全体【Lv50】
レベル上限40倍・他者【Lv50】

が有るから、ノノのレベルが3のままでも十分白ノ牙(ホワイトファング)で役に立つからドンマイ!

……と、思いきや、セツナはあのウンコセインへの猜疑心が非常に強く、ノノをどうにか言いくるめてウンコセインから離そうと考えている様です……

さて……どうなる事か?

ただ、月鍔ギンコが求める『誉高き戦死』は今回もお預けです(笑)。 
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