イベリス
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第百二十四話 相手の好みその四
「大抵金曜はいるな」
「そうなんですね」
「うちの店にも大抵金曜はな」
この曜日の時はというのだ。
「制服で見回りに来てるからな」
「だからですか」
「金曜はまずな」
「交番におられるんですね」
「だからあっちに行ってな」
そうしてというのだ。
「物陰にでも案内してな」
「交番裏とかですね」
「それでそこでな」
「告白すればいいですか」
「ああ、それでな」
マスターは咲に場所のアドバイスをしてさらに話した。
「告白する時緊張して怖くてな」
「さっきもお話しましたね」
「その時は掌に人って文字を書いてな」
「あっ、よく言われますね」
咲も言われてはっとなった、この話は彼女にしても聞いていてそれで知っていることで頷きながら言えた。
「それは」
「飲む動作したらな」
「緊張しないですね」
「歌でもありましたね」
「そうだったか?」
「はい、聞いたことがあります」
「歌にもなってるんだな」
「そうですね、それじゃあ」
咲はあらためて言った。
「私もです」
「その時極端に緊張したらか」
「そうします」
「それならそうしたらいいさ」
マスターもそれならと答えた。
「嬢ちゃんもな」
「そうして告白することですね」
「そうしたよ」
「はい、絶対に」
「それじゃああの人の欲しいものとかか」
「買ってです」
そうしてとだ、咲は答えた。
「それから交番に行って」
「金曜にだな」
「放課後でも」
時間のことも話した。
「金曜部活があってもお休みして」
「バイトはどうするんだい?」
「行く前に」
「ああ、バイト場所109のビルだったな」
「交番からも近いですから」
「バイト行く前に交番行ってもいいんだな」
「はい、ですから」
そうした地理的状況だからだというのだ。
「ですから」
「それでか」
「行きます」
バイト前にというのだ。
「そうします」
「わかったよ、じゃあそうしたところはな」
マスターはそれならと答えた。
「そこは嬢ちゃんが好きな様にな」
「すればいいですね」
「ああ、兎に角ここまできたらな」
「告白ですね」
「していいだろ」
こう言うのだった。
「本当にな」
「そうしていきますね」
「健闘を祈るぜ」
にかっと笑って咲に告げた。
「嬢ちゃんのな」
「そうですか」
「応援するからな」
今度ははっきりと言った。
「俺もな」
「有り難うございます」
「お礼はいいさ、大事なのはな」
それはというと。
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