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X ーthe another storyー

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第四十二話 虚無その五

「皆待っていますよ」
「・・・・・・・・・」
 当然返事はない、だが。
 封真は彼の顔が微笑んでいるのを確認した、そのことに救いを見て橋の上を歩いてその場を後にした。
 昴流は神威と共に仲間達のところに戻って言った。
「終わったよ」
「お疲れさんでした」
 空汰は優しい声で応えた。
「ほんまに」
「うん、けれどね」
 昴流は空汰に応えてこうも言った。
「疲れたから少しね」
「休まれますか」
「そうしていいかな」
「そうですよね、本当にお疲れ様でした」
 護刃も朝しい声であった。
「ゆっくりと休まれて下さい」
「また戻って来るから」
 昴流は護刃にも言葉を返した。
「今はね」
「休んで下さい」
「そうさせてもらうよ」
「では行きましょう」
 征一狼は昴流にそっと寄り添って声をかけた。
「僕達の場所に」
「はい、そちらに」
「戻って来てくれてよかったです」
「昴流さんが私達のところにいてくれるなら」
 火煉も声をかけた。
「これ以上嬉しいことはないわ」
「では僕は」
「天の龍のままでいてくれてね」
 それでというのだ。
「有り難いわ。お友達だから」
「友達がいなくなることがどれだけ辛いことか」
 嵐は地の龍の者達がいる方を見て言った。
「今感じている人達がいますね」
「そうだね」
 昴流は嵐の今の言葉にも頷いた。
「きっと」
「それじゃあ」
「僕は生きているから」
「私達はまだですね」
「いいだろうね」
「そうだな、誰かをなくすことは辛い」 
 神威も彼等の方を見て言った。
「今回昴流さんが戻ってくれてな」
「その分なんだね」
「俺達は幸せだ」  
 神威のこの言葉を残してだった。
 天の龍達は彼等の場所に戻った、そしてその頃地の龍達は。
 星史郎が戻ったのを見てだ、悲嘆に暮れた。
「遂にな」
「はい、一人去りました」
 遊人は草薙に応えた、二人共その顔は悲嘆に満ちている。
「永遠に」
「戦いだからな」
 草薙はこうも言った。
「こうなることはな」
「どうしてもありますね」
「しかもな」
「星史郎さんは最初からこうなるつもりでしたね」
 哪吒も言ってきた。
「そうでしたね」
「そうね」
 颯姫も今は俯ている、そのうえでの言葉だ。
「そしてそのことは」
「僕達も感じていました」
「もっと強く止めるべきだったわね」
「そうですね」
「ああ、本当にな」
 草薙も俯いて言った。
「そうすべきだったな」
「はい、こんなにです」
 遊人は唇をかみしめた様な顔で述べた。 
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