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魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)

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【はじめに】この作品をお読みいただく前に。
 【その1】この作品の基本的な設定について。
    (原作との関連性など)

 
 さて、先に述べたとおり、この作品にはオリジナルの設定も相当に多いのですが、基本的には公式の設定に準拠しています。
 もう少し具体的に言うと、TVアニメ4作品(無印、A’s、StrikerS、Vivid)の設定を中心に、それらに付随するコミックスやサウンドステージの設定を重視しています。
(以下、これらの作品群を総称して「正編」と呼称します。)
 また、劇場版の「第1作・第2作」の設定も、部分的には採用します。
 一方、TVアニメ「Vivid Strike!」と劇場版の「第3作・第4作」に関しては、作品としての方向性や世界観が「正編」とはいささか違い過ぎるので、基本的には「無かったこと」にさせていただきます。
(つまり、「原作」ではあっても、「正編」では無い、という扱いになります。)
【Forceの扱いについては、また「プロローグ 第5章」で改めて述べます。】

 なお、小説版というモノもあるそうですが、私はもう三十年以上も前から小説を読まなくなってしまっているので、こちらも読んでおりません。おそらく、小説版ならではの独自設定なども多々あるのでしょうけれども、正直に言って、Wikipedia に書かれている程度のことしか、私には解りません。
 結果として、小説版の独自設定はほとんど無視させていただくことになります。()しからず御了承ください。
 また、「リリカルなのはシリーズ」そのものが、元々「とあるゲーム」のスピンオフ作品だという話ですが、私には昔からゲームをする趣味も無いので、これまたWikipedia に書かれている程度のことしか解りません。
 それでも、解る範囲内のことは参照したつもりです。至らぬ点も多々あるかとは思いますが、どうぞ御容赦ください。
(以下、この「とあるゲーム」のことは、「原作」とは区別して「前世」と呼称します。)

 以上の点を踏まえた上で、この作品とTVアニメ4作品との「設定上の重大な相違点」を列挙すると、おおむね次のようになります。

1.無印……アニメでは、〈アルハザード〉が「伝説上の存在」という扱いになっていましたが、この作品では、当然のことながら、これを「かつて実在していたことだけは確実な世界」として取り扱います。

 また、アニメの方では、高町三兄妹の「実際の血縁関係」について、特に説明が無かったように思いますが、この作品では「前世」の設定をそのまま流用することにします。つまり、なのはから見ると、兄・恭也は実際には「異母兄」で、姉・美由希も実際には「父方の従姉(いとこ)」です。
【そもそも、桃子との年齢差を考えれば、恭也も美由希も、桃子の実子ではあり得ません。14歳や16歳で出産というのは……もちろん、生物学的には可能なのでしょうが……やはり、今の日本では「社会的にアウト」でしょう。
 それに、(正直なところ、私には難易度がよく解らないのですが)おそらく、パティシエの資格というのも、「育児の片手間」に取得できるほど簡単なものではないだろうと思います。】

 なお、「前世」からの設定流用は、基本的には、上記の件と「御神(みかみ)真刀流・小太刀(こだち)二刀術」の件だけなので、この作品に登場する美由希は「普通に料理上手」です。
(物語の都合上、彼女には「喫茶翠屋」を継いでもらわなければなりませんので。)

2.A’s……この作品では、「ギル・グレアム提督」という人物は『最初からいなかった』という設定にします。つまり、〈闇の書事件〉に関しては、劇場版寄りの設定を採用し、「闇の書の闇」に対しても、最初から〈ナハトヴァール〉という固有名称を用いることにします。
 結果として、『生粋(きっすい)の地球人で、管理局の「魔導師」をしているのは、本当に、なのはとはやての二人だけだ』ということになります。(←重要)

 また、「ギル・グレアムの使い魔、リーゼアリアとリーゼロッテに代わって、幼いクロノを育成する役」は、()きクライドの義理の叔父である「ニドルス・ラッカード艦長」(後に、提督)と、その使い魔「ジェルディス」というオリジナルのキャラクターに務めてもらうことにします。
 この二人は、StrikerSの時点ではすでに死亡している、という設定なのですが、この作品には、ニドルスの代わりに、その一人娘である「リゼル・ラッカード」が「(めい)脇役」として登場します。
 つまり、彼女は「亡きクライドの、少し(とし)の離れた従妹(いとこ)」に当たる人物で、クロノから見ると、12歳年上の「イトコオバ」ということになります。
【ニドルスについては、「プロローグ 第1章」の中に「キャラ設定1」という形でまとめておきましたので、そちらを御参照ください。】

 なお、A’sの最終回では、なのはのセリフの中に『地球から見ると、ミッドよりも〈本局〉の方が「かなり」近い』という意味にも受け取れそうなセリフがありましたが、この作品では、『ミッドと〈本局〉はとても近く、地球から見ると、〈本局〉の方が「わずかに」近い』という設定にしておきます。
(そうでないと、StrikerSの最終盤で、クロノ提督の率いる艦隊が、あれほど早くミッドの上空に到着できたことの説明がつかないからです。)

3.StrikerS……公式の設定では、管理局の組織内における「伝説の三提督」の位置づけが、今ひとつ判然としないのですが、この作品では、「伝説の三提督」というのはあくまでも俗称で、正式な称号は〈三元老〉であり、この三人は管理局における『象徴的な(普段は実権の無い)トップである』という設定で行きます。
 一方、「最高評議会」の三人組に関しては、『(三元老やレジアス・ゲイズなど、ごく一部の人間を除いて)誰もが、彼等のことを「歴史上の存在」だと思っており、管理局員らも、みな(主人公たちをも含めて)「彼等が、脳髄と脊髄だけの姿になって、今もなお生存している」などとは全く考えていなかった』という設定にします。
【その方が、「管理局の闇」がより深くなるので!(笑)】

(以下、最高評議会の三人組のことを「三脳髄」と呼称します。)

 次に、StrikerSでは、ミッドの青空によく「巨大な惑星の姿」が描かれていましたが、もし本当に、あの描写のとおりの位置に、あの描写のとおりの大きさの惑星が「物理的に」実在しているのだとすると、どう考えても、「惑星ミッドチルダ」の公転軌道が重力的に安定しません。
 また、(かり)にあれが「投影像」であったとしても、投影する意味が解りません。
 そこで、この作品では、あの設定は丸ごと「無かったこと」にさせていただきます。

 それから、作中の会話では、スバルが「御先祖様」という用語を使っており、その言い方だと、まるで『ナカジマ家の祖先がミッドに来たのは、もう何世代も前のことだ』と言っているかのようにも聞こえてしまうのですが、この作品では、『新暦15年(昭和26年)に、とある事件があり、その結果として何十人もの日本人が一斉にミッドに移民して来たのだが、その中には、後にゲンヤたちの両親となる「新婚の」ナカジマ夫妻(当時、ともに18歳)も含まれていた』という設定で行きます。
(ゲンヤは第四子で、兄が一人、姉が二人、弟が一人、います。)
【なお、この作品では、彼等の出生地に関しても独自の設定を用意させていただきました。何もかも「エルセア地方」では、ちょっと芸が無いような気がしましたので。】

 また、StrikerSのアニメ版の設定資料では「ヴァイス陸曹は第4管理世界カルナログの出身」となっていますが、一方、劇場版の設定資料では「リンディ提督は第4世界ファストラウムの出身」となっており、「世界の名称」が互いに異なっています。
 一部には、『第4管理世界と第4世界は別物だ』という解釈もあるようですが、この作品では、両者の(あいだ)を取って(?)『ヴァイスは第4管理世界ファストラウムの「首都」カルナログの出身である』という設定にしておきます。
【とか言いつつ、この作品に、ヴァイスやラグナは登場しないんですけどネ。(苦笑)】

 なお、リンディ提督の方は『首都カルナログの衛星都市ハリスヴァルの、そのまた郊外の出身である』という設定で行きます。
【リンディについては、「プロローグ 第2章」の中に「キャラ設定2」という形でまとめておきましたので、そちらを御参照ください。】

4.Vivid……アニメの方には、「設定上の重大な相違点」というほどのモノは特にありません。
(なお、覇王流の成立年代の問題に関しては、また後で述べます。)
 それよりも問題なのは、「コミックスの、まだアニメ化されていない部分」なのですが……その話は、ちょっと後回しにして、先に〈冥王〉イクスヴェリアの話を済ませておきましょう。


 実のところ、この作品では「StrikerS サウンドステージX」のストーリーと設定を相当に重視しております。
(以下、これを「SSX」と略記します。)
 この「SSX」に登場するのは、ほとんど「StrikerSで新たに登場したキャラクターたち」ばかりで、唯一の例外がマリエル技官です。
(つまり、この「SSX」には、なのはもフェイトも、はやても守護騎士たちも、ユーノやアルフやクロノやリンディたちも、全く登場しません。)

 そのストーリーは、『新暦78年に起きた連続殺人事件を、執務官になったティアナが六課時代の仲間たちの協力を得て解決する。その過程で「海底遺跡」の中で(なが)い眠りに()いていた古代ベルカの〈冥王〉イクスヴェリアが目を覚ますが、その後、彼女は再び永い眠りに就いてしまう』というものです。
 そして、いきなりネタバレになって申し訳ありませんが、ティアナが自分で「臨時の補佐官」に選んだ「ルネッサ・マグナス」という名前の女性局員が、実は、この連続猟奇殺人事件(マリアージュ事件)の真犯人でした。
 この作品では、『この事件を解決した後、ティアナは「補佐官に対する管理責任」を理由に局から若干の処分を受けて、それから翌79年の春まで、一時的に重要な案件からは(はず)されていた。そして、その間はずっと書類仕事が中心になっていたため、Vividの序盤の「カルナージ編」では(フェイトともども)いささか体が(なま)っていたのだ』という「解釈」で行きます。

【また、この作品では、『この一件のせいで、管理局内でも執務官の「補佐官制度」が改正されることになった』という設定なのですが、その件に関しては、また「プロローグ 第3章」の中の「背景設定3」でまとめて御説明します。】

 なお、この「SSX」の終盤には、マリエル技官の『自然な形での目覚めは、もう今日が最後だと思う』とか、イクスヴェリア自身の『私が次に目を覚ますのは、十年後か、百年後か、もしかしたら、また千年先のことかも知れないけれど……』とか、キャロ(ナレーター役)の『そうして、イクスは、いつ目覚めるか分からない眠りに就きました』などといったセリフがあります。
 そこで、私は馬鹿正直に『ということは、冥王イクスヴェリアはもう最低でも十年ぐらいは目を覚まさないんだろうなあ』と思い込んでしまい、その思い込みを「前提」として、この作品を作りました。
 実のところ、ひとつには、この作品は『イクスヴェリアが軽く十年以上は眠り続けるものと仮定して、それ以降に目を覚ました時、彼女が「幸せに」生きていけるようにしようと思ったら、事前にどれだけの「お(ぜん)立て」が必要になるのか?』という観点から(言わば、結論から逆算して)作られた物語なのです。
(あくまでも、「ひとつには」ですが。)

 それなのに、Vividのコミックス第18巻では、作品の中では〈マリアージュ事件〉からまだ一年あまりしか時間が経っていないにもかかわらず、イクスヴェリアは驚くほどあっさりと目を覚ましてしまいました。
 あれだけ派手に振っておいて、実際にはそんなにも早く目を覚ましてしまうというのは、いくら何でも「目覚めない目覚めない詐欺」なんじゃないですかねえ?(困惑)
 それとも、『この「SSX」は、「正編」とは少し別の時間線の物語だ』というのが「公式の見解」なのでしょうか?
【後に述べるとおり、「ルーテシアが住んでいる世界」の問題などもあるので、確かに、そう考えた方が『筋は通る』のですが……。】

 さらに言えば、新暦80年を舞台としたスピンオフ作品「Vivid Strike!」では、イクスヴェリアが普通にヒーラーをやっていましたが……あれで、彼女は本当に幸せになれるのでしょうか?
 以下は、私の勝手な思い込みかも知れませんが……「不老不死の体」と「本人の意思とは無関係にマリアージュ(人間の死体を素材とする、人型(ひとがた)の兵器)を造り出してしまう能力」こそが、イクスヴェリアにとっての「不幸の原因」です。この二つの問題が「正式に」解消されない限り、根本的な状況は何も変わりません。
 だから、私は『彼女は「現在の状況のまま」ただ普通に目を覚ましただけでは、「一人の人間として」幸せにはなれないのではないか』と考えました。
 ……とは言ってみたものの、たかだか二次創作の作者ごときが原作者様に文句を垂れても仕方が無いので、ここは気持ちを切り替えて、仕切り直すとしましょう。


  ~『この物語は、「正編」とはまた少し別の時間線の物語。具体的には、マリアージュ事件の後、〈冥王イクスヴェリア〉がまた十七年あまりもの間、眠り続けた時間線の物語です』~


 八年前の「第一稿」の段階では、この物語を正編の続編(完結編)としても成立する内容にするつもりでいたのですが、こうなってしまった以上はもう仕方がありません。
『マテリアルたちが登場するPlay Station Portable用のゲーム2作品の内容が、「正編」とは少し別の時間線の(具体的には、「ナハトヴァールを倒した後も、リインフォース・アインスがまだ何か月かの間は生きていた」という時間線の)物語であるのと同じようなものだ』と御理解いただければ幸いです。

 そういう訳で、この作品では、TVアニメ「Vivid Strike!」の内容も丸ごと「無かったこと」にさせていただきました。当然ながら、フーカもリンネもジルも、この作品には全く登場しません。

【と言いつつ、「デンドロビウム級」のジャニス・ゴート選手だけは、プロローグとエピローグにチラッと登場する予定です。
 以下、この作品では、『ジャニス・ゴート(14歳で190センチ・180キロ!)は、新暦80年末のU-15ウィンターカップで、ひとつ年下のアインハルトに完敗した後、改めて魔力を鍛え直し、体重も一度は120キロにまで絞り込んで、82年から85年まではIMCSにも参戦した。
 その間に、彼女はナカジマジムの選手らとも親しくなり、特にコロナとは「とても親しい間柄」になったのだが、その一方で、「名門中の名門」サラサール家の「第二分家」の嫡子スラディオに()()められ、86年には20歳で早くも、その(彼女とよく似た体格の)御曹司(おんぞうし)と幸福な結婚をした』という設定で行きます。】


 さて、ここでまた話をVividのシリーズに戻しますが、第1期の全12話でアニメ化された内容は、コミックス第6巻の途中までです。
 そこで、まだコミックスを読んでいない方々のために、第7巻以降の大雑把な内容を述べておきますと……まず、第7巻から第9巻では(第6巻のコロナに続いて)ヴィヴィオとリオとアインハルトも敗退。第10巻では〈無限書庫〉を舞台にファビアとの場外乱闘があり、第11巻ではそこで発見された『エレミアの手記』に基づいて、古代ベルカにおけるクラウスとオリヴィエの悲恋が語られ、第12巻ではそんなクラウスの記憶に引きずられ続けていたアインハルトの気持ちにようやく一段落がつきます。
(もし本当にアニメの第2期をやるとしたら、その内容はここまでになるでしょう。)

 そして、第13巻では、眠り続けるイクスヴェリアの体から、手乗りサイズの「小さな分身」が生まれ、その可愛らしさが炸裂します!
(今にして思えば、これは「本体」を目覚めさせるための予備動作でしかなかったのですが、私はここでひとつ重大な「読み違い」をしてしまいました。つまり、この「小さな分身」があまりにも可愛らしかったので、『マリアージュ事件からまだ1年あまりでは、いきなりイクスヴェリア本人を目覚めさせる訳にはいかないから、「苦肉の策」として、こういうキャラを出したのだろう』などと勝手に思い込んでしまったのです。)
【実のところ、私はこの種の思い込みがいささか激しい方なので、もしかすると、この件の他にも何か「思い込みゆえの読み違い」をしてしまっている箇所があるかも知れませんが、この先、そうしたアラが見つかった時にも、なるべく大目に見てやっていただければ幸いです。(苦笑)】

 また、第14巻から第16巻では、みんなでリオの故郷〈ルーフェン〉へ、近代格闘技よりも伝統武術の方が盛んな世界へと出かけて、そこで一連の「修行」をします。

【なお、この「ルーフェン編」で、ヴィヴィオたちには相当な「主人公補正」が来てしまうのですが、この作品では、その(あた)りもかなり割り引いて考えることにします。
 さらに言うと、この作品には、「ルーフェン編」で新しく登場したキャラクターたちはほぼ登場しません。唯一の例外が「憑髪(つきがみ)」のタオ・ライカクですが、彼女も物語にはチラッと顔を出すだけで、今回は完全に裏方(うらかた)です。
 ちなみに、VividのTVアニメ(第1期)は2015年の4月から放映が始まりましたが、私がこの作品の「骨組み」を組んで「第一稿」を書き始めたのも、ちょうどその頃のことでした。コミックスで言うと、第14巻が刊行される直前のことです。
 そして、この「第二稿」でも、作品の「骨組み」そのものは全く変更していないので、「コミックス第14巻以降の内容」は、やはりこの作品にそれほど強くは反映されていません。その点も、どうぞ悪しからず御了承ください。】

 そして、コミックス第17巻以降の4冊が「完結編(戦技披露会編)」となる訳ですが……個人的には、この「完結編」の内容に幾つか不満があります。
『イクスヴェリアが早々(そうそう)に目を覚ましてしまった』という点については先に述べたとおりですが、他にも4点ほど述べさせていただくと、下記のとおりとなります。

1.IMCSにおける「都市本戦」以降の試合が全く描写されていない。

 第17巻の冒頭で、『ミウラは都市本戦の1回戦には勝ったが、2回戦でジークリンデに当たってしまった』と、たった2ページ描かれているだけで、同じように都市本戦に勝ち進んだはずのヴィクトーリアやハリーやルーテシアに関しては全く言及がありません。
 しかも、コミックス最終話の内容は新暦80年の春の出来事であり、ヴィヴィオたちも初等科の5年生(最上級生)に進級しているので、時期的にはもう終わっているはずなのに、「都市本戦」に続く「都市選抜」や「世界代表戦」に関しても、全く言及がありません。
 これらに関しては、仕方が無いので「プロローグ 第4章」で勝手に「補完」させていただきました。

2.戦技披露会の試合で、なのはがヴィヴィオに負ける。

 いやいやいや! 一体どんだけ強い「主人公補正」なんですか? いくら「陸士の側に一方的に有利な特設フィールド」だからって。さすがに、これは、あり得ないんですけど! ……というのが、私の正直な感想です。
 この点に関しても、「プロローグ 第4章」であからさまに「改変」させていただきました。
【個人的には、これでも、ヴィヴィオに対して「最大限の譲歩」をした内容のつもりです。】

3.ハリーやエルスの将来の夢が「街のお(まわ)りさん」のレベルである。

『ハリーが治安の悪い地域で不良どもの更生に尽力する』という未来も、あり得ないとまでは言いませんが、ちょっと(本来の意味で)「役不足」なんじゃないですかねえ?
 かつてIMCSで活躍したメガーヌやクイントも、「ゼスト隊」という(明らかに普通の陸士隊ではない)特殊部隊に配属されていました。ハリーもあれだけの実力があるのですから、もう少し上の「役」を目指すべきなのではないかと思います。
 という訳で、(この作品には、ハリー自身はほとんど登場しないのですが、設定としては)この点に関しても、いささか原作を改変(?)して、彼女やエルスにはもう少し重要な役職に()いてもらうことにしました。

4.アインハルトの中で、クラウスの記憶が早々に消えてしまう。

 個人的な感想ですが、完結編の内容の中では、これが一番の問題点です。
 そもそも、原作には「記憶継承の機構(メカニズム)」に関する説明が全く見当たりません。どうやら、何もかも「先祖返り」の一言で済まされてしまっているようですが……さすがに、それはちょっと説明になっていないのではないかと思います。
「先祖返り」という用語の「具体的な意味」が判然としないのも問題ですが、もしも『先祖返りでありさえすれば、記憶を部分的に継承していて当たり前だ』と言うのであれば……そして、もしもヴィヴィオの中にオリヴィエの記憶があったことも同じ理屈で説明されてしまうのだとすれば……最終的には『クローンでありさえすれば、ある程度の記憶は受け継がれていて当たり前だ』という話になってしまいます。
 しかし……それだと、『ギンガやスバルやノーヴェの中にも、当然にクイントの記憶が部分的に残っている』という話になってしまうのですが……よくよく考えてみると、「ゲンヤの娘たち」の中に「ゲンヤと(夫婦として肉体的に)愛し合った記憶」があるというのは、さすがにヤバイのではないでしょうか。

 さらに言えば……コミックスの第10巻には、記憶継承に関して、ルーテシアの『過去は過去であって現在(いま)じゃない。先祖の記憶を黒い呪いにするか、未来への祝福(ギフト)に変えるかは、今を生きている自分の選択』という(めい)ゼリフがあるのですが……たかだか『12歳の少女が、少しばかり「自分自身の」人生経験を積んだ』という程度のことで消えてしまうようでは、この記憶は、もはや「呪い」ですらなく、単なる「嫌がらせ」でしょう。

 おそらく、原作者様は『Vividを可能な限り、他のシリーズからは独立した物語にしよう』という意図を持って、それ故に、『イクスヴェリアの件も、アインハルトの記憶継承の件も、Force以降のシリーズには(かか)わって来ないように、このシリーズの中だけで完結させよう』と考えられたのだろうと思います。
 お気持ちは解るのですが……しかし、これでは、さすがに「クラウスの立つ瀬」がありません。
 という訳で、誠に失礼ながら、この件に関しても「プロローグ 第4章」で明確に「改変」し、〈記憶継承〉に関しても、いささか複雑な設定を組ませていただきました。

【ごく簡単に言うと、『記憶継承とは、決して「自然に起きてしまう現象」ではなく、その記憶の「本来の持ち主」が何らかの技術(テクノロジー)を使って意図的に継承「させる」行為である』という設定で行きます。
(なお、ヴィヴィオに関しては、また別個の説明を用意しました。)】

 以上の4点に関しては、どうぞ悪しからず御了承ください。


 また、いきなり話は変わりますが、この作品には、いわゆる「ロリ成分」がほとんど存在せず、代わりに「熟女成分」が含まれておりますので、お気を付けください。
【何しろ、なのはもフェイトもはやても、もう39歳ですから!(苦笑)】

 さらには、この作品の中ではVividの時点からもう十数年もの歳月が流れ去ってしまっているため、「Vividにおける、ノーヴェやルーテシア」のような、「前作と比べて、相当にノリが変わってしまったキャラクター」が沢山(たくさん)います。
 コロナやキャロやルーテシアを始めとする、多くの女性キャラにはすでに子供がいて、スバルやティアナも(とし)相応にヨゴレたキャラ(笑)になっていて……中でも一番ものスゴい変貌を遂げたのは、ヴィータとミウラなのですが……決してアンチとかヘイトとかいったネガティヴな意図はありませんので、どうか皆様には誤解の無いようにお願い申し上げます。
【ただ単に、私の「女性のシュミ」が、ちょっと(かたよ)っているだけなんです!(笑)】

 以上の2点に関しても、どうぞあらかじめ御了承ください。


 なお、申し遅れましたが、この作品では六種類のカッコをおおむね以下のような基準で使い分けています。
 正直に言うと、補足説明における5と6の使い分けは、割と「いい加減」なのですが……こうした使い分けについても、あらかじめ御了解いただければ(さいわ)いです。

1.「 」 物理的な音声による会話文の他、
      作品名、書名、単なる「語句」の強調、などにも広く用いる。
      なお、複数名の音声がハモった時には、「「 」」を用いる。

2.『 』 引用文、引用句、述語がある「文」の強調、などに広く用いる。
      時には、デバイスのセリフや「要約されたセリフ」にも用いる。
      なお、『 』の中では、文の強調などにも「 」を用いる。
      逆に、「 」の中では、語句の強調などにも『 』を用いる。

3.〈 〉 世界名・事件名・組織名・艦船名・デバイス名などの固有名詞に用い、
      時には、作品世界独自のキーワードや重要概念に対しても用いる。
      ただし、初登場以外の箇所では、省略される場合もある。

4.《 》 念話による会話文に限って用いる。

5.( ) 心の中のモノローグや、念話にならない(ひと)り言に用いる。
      また、補足説明(主に、文意の補足)などにも広く用いる。
      なお、カッコ内が文の場合には、原則として改行する。

6.【 】 目次の項目や、補足説明(主に、設定や解説の類)の他、
      作者の言葉(言い訳やノリツッコミなど)にも用いる。
      なお、原則として、これの下は一行(いちぎょう)()ける。
      また、長さによっては、しばしば上も一行、空ける。


【ちなみに、この「はじめに」は「その3」までありますので、「プロローグ」の本文は11月4日(土曜日)からの公開となります。最初は、「ユーノの()い立ちに関するエピソード」から始まりますので、皆さん、御期待ください。】


 
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