| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

七十過ぎの爺の現実

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第三章

「血はつながってないしな、あるにはあるだろ」
「息子の嫁さんと、か」
「そんな話もな」
「だからそう言うお前さんはどうなんだ」
 若尾はまたこう言った。
「最近そんな人いるか」
「わしもツレに先立たれてるがな」
「それで相手の人がいるのか」
「いないさ、そしていてもな」
 藤田は羊羹を食べつつ言った。
「もうな」
「そうだろ、もうだろ」
「全くだよ」
「ぴくりともしないな」
「ああ、四十代後半からな」 
 その頃からというのだ。
「どんどんな」
「そうした欲がなくなってきたな」
「五十代で殆どでな」
「今はだな」
「実際あんたの嫁さん達を見てもな」
 二人をというのだ。
「美人でスタイルいいと思ったけれどな」
「ぴくりともだったな」
「それで終わりだったよ」 
 美人でスタイルいいと思ってというのだ。
「服もきてると思ったけれどな」
「そこから先は思わなかったな」
「全くな」
「大きな病気したことないあんたがそうだぞ」 
 若尾は真顔で言った。
「わしは気付いてすぐに病院に行って大事なかったけれどな」
「あんた脳梗塞になったな」
「ああ、そうしたこともあったしな」
「尚更か」
「もうぴくりともな」
 それこそというのだ。
「美沙緒さん見ても杏奈さん見てもな」
「思わないか」
「もう服を見てもな」
「思うことはないんだな」
「七十過ぎるとな」 
 その年齢になると、というのだ。
「そうした欲はな」
「なくなるか」
「何か漫画とかじゃな」
 そうした漫画ではというのだ。
「ビデオでもな」
「ああ、爺さんが若い人とな」
「最近そうしたのも多いらしいがな」
「実際はか」
「お前さんもそうならな」
「あんたは身体壊した分か」
「尚更だ、というか七十過ぎで毎日何度もなんてな」
 そうしたことはというのだ。
「いないだろ」
「まあそうだな」
 藤田も言われて頷いた。
「わしも言われるとな」
「そうだよな」
「じゃあ二人共とか」
「ある筈ないだろ」
 若尾ははっきりと言い切った。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧