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喧嘩と格闘技

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第二章

「只のイキリだしな」
「イキリが馬鹿考えて売るだけだろ」
「それじゃあな」
「本当に強い奴だって思ったらな」
「売らないだろ」
「そうなんだな、最近俺ももっと強くなってな」
 如月もこう言った。
「試合でどう戦って勝つか」
「そう考える様になってか」
「練習して」
「試合もやってるんだな」
「喧嘩のことなんて最初から考えてなかった」
 如月ははっきりと言い切った。
「けれど今はな」
「これまで以上にか」
「考えてないか」
「試合のことばかりで」
「全くか」
「ああ、ヤンキーでもな」 
 自分がそうであることも話した。
「けれどな」
「それでもだな」
「ちゃんと格闘技とかやってるとな」
「喧嘩しなくなるな」
「そっちにばかりなるな」
「そうみたいだな、そっちの方がずっといいな」
 こう言って部活に汗を流していった、彼は確かにヤンキーだが。
「授業はちゃんと出るしな」
「それで、ですか」
「いじめも万引きもカツアゲもシンナーもしないしな」
「全部しなくて当然ですよ」
「普通に礼儀作法も出来てるし生活態度も悪くない」
 担任の先生は彼に話していった。
「成績もそれなりだしな」
「だからですか」
「君推薦いけるぞ」
 こう言うのだった。
「部活の実績も大きいし」
「ヤンキーでもですか」
「ああ、大学行きたいか」
「はい、八条大ですよね」
 自分が通っている学校の上にある大学である。
「行けますね」
「行けるよ、大学でもボクシング続けるかい?」
「勿論です、好きですから」
「よし、じゃあな」
「推薦ですか」
「決まりだよ」
 先生は笑顔で言った、そしてだった。
 彼は大学にも進学した、ヤンキーだったがボクシングに熱中した。その結果のことであったことは彼を知る者全てが言うことだった。


喧嘩と格闘技   完


                   2023・9・20 
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