バケモノクラゲ

　　　　　　　　　　　　　　　　バケモノクラゲ
　屋内プールの中にいてだ、大学生の加藤秀次郎明るい顔立ちで長身で引き締まった身体によく日焼けした肌に赤髪の彼は笑顔で言った。
「プールはやっぱりいいな」
「あんたいつもプールよね」
　同じ大学の同じ学部の彼女悠木円が言って来た、一四四センチ位で丸い目の童顔で唇が犬のそれを思わせる。色白でスタイルはわりかしいいが着ている水着は小学生のそれの様で黒髪をおかっぱにしている。
「海行きたがらないわね」
「だって危ないだろ」
　加藤は円に顔を向けてこう返した。
「海はな」
「波があって急に荒れたりして？」
「ああ、それでゴンズイやエイやオコゼがいてな」
　毒針を持つ魚達がというのだ。
「鮫だってウツボだっているんだぞ」
「危険が一杯だから」
「そうだよ、プールだって油断したら危ないさ」
　その時はというのだ。
「溺れるからな、けれどな」
「海より絶対にましね」
「それで特にクラゲだよ」
　加藤は剣吞な顔で述べた。
「ミズクラゲなんてまだましでな」
「問題はデンキクラゲよね」
「カツオノエボシとかな」
「そういうのが出るから」
「俺一人でも危ないしな」
　それにというのだ。
「お前もいるんだし」
「私に何かあったら駄目だから」
「だからな」
　その為にというのだ。
「もうな」
「絶対になのね」
「ああ、海よりもプールだよ」
「プールの方がずっと安全だから」
「俺は泳ぐならな」
「いつもプールね」
「二人で安全に楽しもうな」
　円に笑顔で言ってだった。
　二人で仲良く準備体操をしてからプールの中に入って一緒に泳いで遊んで楽しんだ。普通のプールに周遊プール、ウォータースライダーも楽しんでだった。
　共にプールを満喫した、円はその中でレンタルしたゴムボートに乗りながら自分のスマートフォンを観つつこんなことを言った。
「凄いクラゲがいるわね」
「どんなクラゲだよ」
　加藤は円が乗っているゴムボートを後ろから押しつつ彼女に尋ねた。
「一体」
「傘の直径二メートル位で」　
　スマートフォンでそのクラゲのデータを観つつ話した。
「触手二十メートル位らしいわ」
「ウルトラマンに出て来たなそいつ」
　加藤はそのクラゲの話を聞いて真顔でこう言った。