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父の死に絶望していたけれど

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第二章

 ある日学校帰りに駅前でよりによって父を殺した犯人裁判中の彼の死刑に反対する市民団体のビラ配りと演説が行われていた。
 大貴はそれを見て何か言おうとしたがその前に。
 ある男の人がだ、彼等に言った。
「強盗殺人やって逃げる途中に通り魔殺人しそうになって市民護ったお巡りさん殺した奴死刑になって当然だろ!」
「そ、それは違います」
「私達は人権をです」
「尊重していまして」
「こいつ前科九犯で強盗傷害強姦ばかりやってたんだぞ!」
 その人は自分の言葉に怯んだ団体にさらに言った。
「それで余罪で他に二人殺してるってわかったな!こんな奴死刑になって当然だ!」
「そうだよな」
「絶対におかしいよな」
「何でそんな奴の死刑に反対するんだ」
「この人達おかしいだろ」
「間違ってるだろ」
 通りがかった人達も口々に言った、そして。
「ふざけるな!」
「何が死刑反対だ!」
「こんな奴の人権なんて守る必要あるか!」
「他人の人権を踏み躙ってるだぞ!」
「加害者の人権なんか守ることあるか!」
 声は大きくなった、それを受けてだった。 
 団体は慌てふためいて逃走した、皆その彼等を冷たい目で見送った。 
 その光景を見てだ、大貴は思った。それでだった。
 父の墓参りをしてから殺された現場に言った、すると献花が幾つもあり父の行いを書いた慰霊碑もあった。それを見てからだった。
 母にだ、駅のことと墓参りと献花それに慰霊碑の話をしてだった。
 彼は強い声でだ、こう言った。
「心ある人凄く多いな」
「お父さんのことをわかってくれている人がね」
「そうだよな」
「お母さんは慰霊碑も献花もね」
「知ってたんだな」
「そうよ、その団体みたいな人達もいるけれど」
「ずっとだよな」
「心ある人は多いから」
 だからだというのだ。
「いいわね」
「ああ、俺これからはな」
「元気出してくれるわね」
「そうなる様にするよ」
「頑張ってね。お父さんもそうなってくれたらね」
「嬉しいよな、そうだしな」
 大貴の方から言った。
「俺やってくよ」
「頑張ってね」
 息子に微笑んで話した、そしてだった。
 大貴は少しずつだが元の明るさを取り戻していった、そのうえで大学に進学し彼も警察官になった。父の様になろうと決意した故に。


父の死に絶望していたけれど   完


                   2023・9・18 
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