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仮面ライダー電王 約束の場所

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第四十四章

「俺達も帰ろう」
「元いた場所にね」
「うん。そうだね」 
 良太郎は一旦は彼等の言葉に静かに頷くのだった。しかし。
「それでも」
「どうかしたの?」
 今度はコハナが彼に尋ねる。
「もう戦いは終わったのに」
「いや、ここではじまったんだなって思ってね」
 良太郎は島を見ながらコハナに言葉を返した。彼女も桜井達も良太郎の後ろにいた。
「ここで。スサノオと僕達の戦いがね」
「そうね。この時代にね」
 ハナも良太郎の今の言葉を聞いて述べてきた。
「ショッカーとの戦いからね。二人の仮面ライダーが出て来て」
「それからはじまったんだ」
 良太郎はまた言う。
「僕達の戦いがね」
「イマジンとの戦いが終わっただけだな」
「うん」
 また桜井の言葉に頷く。
「それだけだよ、まだ」
「今度の戦いの相手は何かしらね」
「それはまだわからないよ」
 良太郎は遠くを見る目で後ろにいるハナに言葉を返した。
「まだね。けれどこれだけ言えるよ」
「これだけって?」
「僕は戦うよ」
 静かにこう述べた。
「これからもね。どんな相手でもね」
「戦うのね」
「これは何度も言ってるけれどね」
 優しい目になって述べた言葉だった。
「戦い続けるって。イマジン達との戦いの時から」
「戦っても何かを失うことがなくなっただけでもいいさ」
 桜井はそれだけはよしとしていた。
「それだけでな。いや」
「いや!?」
「俺はもう失うものはないな。得られるだけだ」
「得られるだけなんだ」
「ああ、そうさ」
 爽やかに笑って自分に顔を向けてきた良太郎に対して述べる。
「御前等がいてくれるからな。デネブもな」
「そう。デネブが」
「御前のお姉さんもいてくれるし」
「姉さんが」
 彼等の心の中に愛理の優しい笑顔が浮かぶのだった。その白い清らかな、まさに天女そのものの純粋な笑顔が浮かぶのであった。
「そうだろ?」
「うん」
 あらためて桜井に顔を向けたうえで頷いてみせた。
「そうだね。僕だって皆がいるし」
「ライダーは一人じゃないんだ」
 桜井はまた言ってみせた。
「皆がいる。皆がいてくれるから戦えるんだ」
「じゃあ僕も」
「俺もだ」
 二人は言葉を交えさせた。
「これからも皆と戦っていくぞ」
「うん、ずっとね」
「じゃあ良太郎」
 コハナがここでまた彼に声をかけてきた。
「何?」
「とりあえず戦いが終わったから現在に戻ったら休みましょう」
「そうだね」
 コハナの言葉を静かに受け止めた。そのうえでの言葉だ。
「戦いが終わったから。イマジンとは」
「何かあったらすぐにまた呼ぶわ」
 ハナが笑顔で彼に言う。
「デンライナーで駆け付けてきてね」
「うん。じゃあその時はね」
「その時まで少しだけさよならだな」
 桜井がその爽やかな笑顔で良太郎に告げる。
「暫くな」
「そうだね。じゃあその時まで」
「ええ」
 ハナがこれ以上はないという程の優しい笑顔を良太郎に向けてきた。
「休みましょう」
「うん。じゃあ皆、帰ろう」
 デンライナーに乗るように言うのだった。
 
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