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ドリトル先生の落語

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第三幕その七

「落語は食べものもよくネタになるって言ったね」
「はい、そうでしたね」 
 トミーも頷きました。
「そうしたものだと」
「だから僕達が今食べているね」
「鮟鱇鍋もですね」
「ネタにしていいよ」
「そうなんですね」
「それが面白いと思ったら」
 他ならない鮟鱇を食べながら言うのでした。
「ネタにしていいんだよ」
「そうなんですね」
「そしてね」
 先生はさらに言いました。
「笑ってもらう」
「お客さんにですね」
「そうしたらいいんだよ」
「本当に何でもネタに出来るんですね」
「俳句では正岡子規さんがね」
 明治の俳人だったこの人がというのです。
「俳句の改革を訴えて」
「何でもですね」
「これだと思ったらね」
「俳句にしていましたね」
「そうだよ、それで俳句が変わったし」   
 正岡子規さんの行動によってというのです。
「だからね」
「落語もですね」
「そうしてね」
「どんなものでもネタにすることですね」
「古典落語も大事にしながらね」
 そうしつつというのです。
「していったらいいんだよ」
「そうなんですね」
「大事なのは笑わせる、笑ってもらう」
 先生は糸蒟蒻も食べて言いました。
「お客さんを下に見ない」
「馬鹿にしないことですね」
「そうだよ、本当に知ったかぶりばかりで」
「他の人を馬鹿にしていると」
「笑えなくてね」
 そうした落語になってというのです。
「逆にお顔を見るだけで嫌われる」
「そうなるんですね」
「そうだよ、笑わせる」
「そう思うことですね」
「それが大事なんだ」
「そうなんですね」
「鮟鱇鍋でもね」
 今食べているそれでもというのです。
「そう思ってね」
「ネタにするといいですね」
「そうなんだ、落語のネタをあらゆるものと場所に見出して」
 そうしてというのです。
「見て聞いてくれたお客さんを笑わせる」
「そう思うことですね」
「常にね、まあ僕は偉そうなことを言ってもね」
「落語はですか」
「していないからね」
「実際にはですね」
「指導は出来ないよ」 
 そうだというのです。
「批評家でもないしね」
「そうなんですね」
「うん、批評家は言うだけで」 
「何でもないですね」
「テレビで野球とかを観て偉そうに言って」
 そしてというのです。
「自分は出来るか」
「プロでもないとですね」
「出来ないしね、それと同じで」
「先生もですか」
「実際は出来ないからね」
「今みたいにですね」
「言う位だよ、その具体的な内容までは」
 そこまではというのです。 
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