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ドリトル先生と桜島

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第十一幕その五

「その人柄の為人望もあってね伊藤さんからも頼りにされていたよ」
「伊藤博文さんからもなんだ」
「あの人何かと出て来るけれどね」
「あの人も有能でね」
「物凄く面白い人だけど」
「その伊藤さんが直々に総理大臣やってくれと言った」 
 そうしたというのです。
「そこまでの人だったんだ」
「伊藤さんってそうしたこと多いよね」
「人をスカウトすることがね」
「ヘッドハンティングが得意っていうか」
「そんな人だったね」
「その伊藤さんからもね」
 まさにというのです。
「スカウトされたね」
「そんな人だったんだ」
「松方さんは」
「伊藤さんはこれはっていう人に声かけるけれど」
「そんな人だけれど」
「そうしたんだ、そしてね」 
 そのうえでというのです。
「総理大臣として頑張ったんだ」
「成程ね」
「かなり凄い人だったんだね」
「地味な様で」
「武芸の達人で」
「政治家としても有能だったんだね」
「若い時は苦労もしたけれど」
 それでもというのです。
「大成したんだ」
「成程ね」
「そのこと覚えておくね」
「示現流と一緒にね」
「免許皆伝だったっていうしね」 
 皆は笑顔で言います、そしてです。
 ある人が木を倒したのを見て言いました。
「猛稽古の末にだね」
「遂に木を倒したね」
「折っちゃったね」
「一撃を加え続けて」
「あれが示現流なんだ」
 この流派の稽古だというのです。
「覚えておこうね」
「というかね」
「これは忘れられないわ」
「あまりにも凄くてね」
「稽古もお話もね」
「僕もだよ」
 実はとです、先生は笑って答えました。
「これはね」
「そうだよね」
「とてもね」
「忘れられないよね」
「凄過ぎて」
「そうなったよ、いいものを見せてもらったよ」
 こうも言う先生でした。
「本当にね」
「全くだね」
「あまりにも壮絶で」
「戦慄さえ覚えるね」
「物凄い光景だね」
「そうだね、だからね」 
 それでというのです。
「僕もだよ」
「先生もだよね」
「この目で見るとね」
「本当に違うからね」
「只でさえ剣道は激しいのに」
「防具の上からでも激しく打ち合う」
「そんな武道なのにね」
 皆も頷いて言います。
「スポーツじゃなくてね」
「武道だからね、剣道は」
「柔道や空手、相撲と同じでね」
「大きく区分されると格闘技でね」
「そう、その武道の中でもね」
 とりわけと言う先生でした。
「この示現流はだよ」
「壮絶なまでに激しくて」
「燃え盛る炎みたいだね」
「いや、こんな流派と戦うとなると」
「命が幾つあっても足りないわ」
「そうだよ、しかし薩摩藩は示現流だけじゃなかったんだ」
 先生は皆にあらためて言いました。 
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