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新オズのリンキティンク

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第十一幕その六

「日陰でひっそりや」
「いえいえ、とんでもない」
「僕達も知ってますから」
「偉大な野球人だって」
「明るくて気さくで」
「物凄くいい人とも聞いてます」
「わしの何処がええ人なんや」
 野村さんは五人のお話を否定しました。
「愚痴ってばかりで地味でな」
「違いますよ」
「僕達からしてみたら有名人で」
「ぼやいても実はとてもいい人で」
「優しくて気さくで」
「面倒見のいい人ですよ」
「誤解やな、けどそう思いたいなら思ってええわ」
 野村さんは五人に笑って言いました。
「わしも悪い気はせんしな」
「そうですか、それならです」
「そう思わせてもらいます」
「今もこれからも」
「そうさせてもらいますね」
「是非共」
「実際あんたええ人や」
 寛美さんは野村さんにミックスジュースを飲みながら言いました。
「困ってる人を見捨てんしな」
「いや、そんなことはないですわ」
「いやいや、見てるとな」
 野村さんをというのです。
「ほんまにな」
「困ってる人をですか」
「見捨てんで拾ってな」
 そうしてというのです。
「また活躍させてるやろ」
「再生工場でっか」
「それを見たらな」
 本当にというのです。
「あんたはええ人や」
「そうでっか」
「そやから皆あんたのこと好きなんや」
「まあ周りにいつも人はいてくれてます」
「そやろ、繊細でな」 
 それでというのです。
「気遣いも忘れん」
「そうした人間で」
「皆わかってるさかいな」
「わしの周りにいてくれてますか」
「そや」
 まさにというのです。
「あんたはそうした人や」
「そうなら嬉しいですわ」
「ほんまな、それで野球好きでな」
 そしてというのです。
「甘いもん好きやな」
「酒はあかんかったので」
 野村さんは笑って応えました。
「外の世界では」
「今は飲めてもやな」
「やっぱり好きなんはです」
 それはというのです。
「ミックスジュースとか」
「甘いもんやな」
「そうです」
 実際にというのです。
「どっちかっていうと」
「そやな」
「この顔なんで酒飲みと思われますが」
「あんたはな」
「実は飲めませんでした」
 外の世界ではそうだったというのです。
「これが」
「それで甘いもんが好きで」
「それで、です」
「今もやな」
「今は酒も飲めますが」
「甘いもんの方が好きやな」
「そうですわ」
 そのミックスジュースを飲みつつ答えました。 
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