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テイルズオブザワールド レディアントマイソロジー3 ―そして、僕の伝説―

作者:夕影
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第四十一話







「――サレェエェェっ!!」


「――ヒャハハっ!ヴェイグゥウゥゥっ!!」


――オイルツリーの目前で、ヴェイグとサレは剣を打ち合わせる。

「ヒャハ、フヒャハハハっ!いいね、いいねぇヴェイグゥっ!その力の奮い方、僕を殺したくて堪らないって感じだねぇっ!」


「っ…黙れ、サレェっ!!」



力を込めて奮われるヴェイグの大剣を剣で防ぎ、不気味に笑いながら言葉を出すサレに、ヴェイグは更に大剣に力を込めてサレを押し放す。
サレはその力を防ぎながら退くと、剣を構え直しながら口元を釣り上げる。


「フフ…いいねぇ、その感じ。僕を殺せば衛司君が戻ると思っているのかな?まぁ、本当に僕を殺した所で、衛司君が元に戻るかは分からないけどねー」


「っ…サレ…お前はどうしてそこまでする必要がある。俺が目的なら…俺だけを狙えばいいだろうっ!」


不気味に笑みを浮かべたまま喋るサレに、ヴェイグは大剣を構え直しながらサレを睨みそう言葉を出す。
ヴェイグのその言葉を聞き、サレは僅かに緩めていた口元を歪めた。


「どうして…?そんなの決まってるよヴェイグ。僕は君が気に入らないからだよ。『仲間』の力、『絆』の力だなんて言ってる君が…アドリビトムがね」



口元を歪めたまま、まるで忌々しいものを見るかのような表情を浮かべてサレは言葉を出すと、構えられたサレの剣が風を纏っていく。


「だから決めたんだよ、ヴェイグ。君達の言う『仲間』の、『絆』の力を、君達の目の前で否定させて、殺すってねぇっ!」


「ぐぅ――っ!」


突如、サレが風を纏った剣をその場で突き出すと、剣に纏っていた風が鎌鼬のようにヴェイグに襲いかかり、ヴェイグは大剣で防ぐも風の刃が防ぎきれなかった位置を傷つける。


「だからさぁ…もっと僕を楽しませてよヴェイグぅ。君の言う『絆』の力で…この状況が変えられるかどうかをさぁ…。フヒャ…フヒャヒャヒャヒャっ!!」

「サレ…サレェエェェっ!!」


再び口元を釣り上げ不気味に笑い出すサレに、ヴェイグは攻撃を受けた箇所を気にする事無く大剣を構えると、再びサレに向けて走り出した。







――――――――――――





――ドンッ!ドンッ!ドンッ!


「――チッ…相変わらずちょこまかとっ!」


「――くっ…!」


目前で自分が放った銃撃を素早い動作で避け続けるジュードに、アルヴィンは舌打ち混じりに銃を撃ち続ける。


――ドンッ!ドンッ!ドンッ!



「うわぁ…っ!」


「……チッ」


再び放たれる銃撃をジュードは避け続け、アルヴィンはそれに再び舌打ちする。
そして…アルヴィンの銃撃が止んだ。


「……アルヴィン…?」


「――…どうしてだよ、優等生。どうして、テメェは俺を攻撃してこねぇっ!?お前なら、さっきの銃撃を避けながら俺に攻撃する事が出来ただろうっ!?」


突然攻撃が止んだ事にジュードが見ると、アルヴィンはジュードに銃口を向けたまま声をあげる。


「…僕にはアルヴィンと戦う理由なんてないよ。それに…アルヴィンが今そこにいるのは、きっと何か理由があるんでしょ?…だから…僕にはアルヴィンと戦うなんて…」


ジュードはアルヴィンに向き合い真っ直ぐとそう言うと、アルヴィンは一瞬驚いた表情を浮かべるが、少し俯いた後、キッとジュードを睨み付けた。


「どうして…どうしてだよ、優等生…!お前はどうして…俺をそこまで信用出来るんだよ…!?どうしてお前はいつもみてぇに…俺が裏切った事を受け入れねぇんだよ…ジュード・マティスっ!」



「…っ!」


キッと睨んだ状態からアルヴィンは一撃、ジュードの足元に銃撃を放つとそう荒く声を上げる。
だが今度はジュードがそれに対し、キッとアルヴィンを睨むように見て口を開いた。


「受け入れられる訳、ないじゃないかっ!衛司が操られてる所に真剣にサレを睨んだり…クレアを守るように前に出たり…そんな事をしてくれてるアルヴィンが、本当に裏切ったなんて僕には思えないんだよ…」


「っ…!…ジュード…お前…」



「だから…アルヴィン。お願いだから…そこに居る理由を教えてよ。何かあるんなら僕は…僕達は絶対にアルヴィンを助けるからっ!」



真剣に向き合い、ジュードの出した言葉にアルヴィンは驚いた表情を浮かべた後、顔を俯かせる。
そして少しして顔を上げるとアルヴィンは…再び銃口をジュードへと向け、キッと睨み付けた。


「…アルヴィン……っ」


「悪いな『優等生』…『もうちょっとだけ俺に撃たせてくれ』」

「!……分かったよ、アルヴィン…!」


銃口を向けたままそう言葉を出したアルヴィンに、ジュードは何かに気付いたような表情を浮かべると、すぐに表情を戻し一度頷くと拳を構えた。


――そして再び銃撃が始まった。





―――――――――――――



「――オォオォォォッ!!」


「――チッ…オラァっ!」



「――…っ…!」


――右手と同化した星晶剣を振り回す衛司の攻撃を避けながら、スパーダとメリアは攻撃を繰り出す。
しかし二人の攻撃は直ぐさま星晶剣を巨大化され防がれてしまう。


「オォオォォォッ!!」


「チッ…厄介なもん取り込みやがって…!」


「――二人とも、下がって!」


「…っ…カノンノ…」



攻撃を防がれ、苦々し気な表情を浮かべる二人に、後方から術の詠唱を終えたカノンノが声を上げ、二人が後方へと下がる。


「グオォオォォォッ!!」


「衛司…元に戻って…!フラッシュティアっ!」


雄叫びを上げる衛司にメリアは発現すると、詠唱の足元に光の陣が現れ衛司を攻撃しようとする。
…だが……。


「ウゥ……オォオォォォッ!!」


「…オイオイ…笑えねぇぞ」


衛司が雄叫びとともに星晶剣を巨大化させ陣が現れた地面に振り下ろすと、それは地面ことかき消され、三人が驚きながらスパーダが声を漏らした。
そして…その時だった。


「オォオォォォ…!?…ゲホッ、ゴホッ…!」

「…え…っ!?」


「衛司っ!?」

三人を睨み雄叫びを上げていた衛司が突如、吐血を始めメリアとカノンノが表情を変え、その中スパーダは僅かに表情を歪めた。



「チッ…薄々思ってたが、やっぱりそうなっちまったか」


「スパーダ…一体アレって!?」


「…今の衛司はサレの催眠とラザリスの力…それで身体能力を無理矢理引き上げさせられてるようなもんだ。それにプラスして、自分のマナを送ることによって強化される星晶剣との同化…薄々考えてたが、やっぱり身体の方に限界が来ちまってんだよ!」


「…それじゃあ…っ!」


「あぁ…早くアイツを助けねぇと…身体が限界を超えて…死ぬ」


「っ!!」


「ゴホッ…ゴホッ…オォオォォォッ!!」


スパーダの言葉に表情を変える二人。そして衛司は吐血しながらも星晶剣を構え三人を睨む。スパーダはそれに対し、衛司を睨み返すと剣を構えた。


「衛司…とっとと目ぇ覚ましやがれ!そんな力が、テメェが追ってた力かよっ!俺達は…お前が死ぬことなんざ求めてねぇんだよっ!」


「ォォォ…オォオォォォッ!!」


「…チッ…バカやろうがっ!――いざ、参るっ!!」





スパーダの言葉に、衛司は依然と雄叫びを上げ続けスパーダは舌打ち混じりに声を上げ、限界突破《オーバーリミッツ》を発動する。


「スパーダっ!!」


「殺しはしねぇよ。ただ…動けなくするだけだ。衛司…行くぜぇっ!」


「オォオォォォッ!!」

スパーダがオーバーリミッツした事にカノンノが声を出し、スパーダはそう言うと双剣を構え特攻し、衛司はそれに迎え撃とうとする。


「行くぜ…裂空斬!」


スパーダは衛司に接近すると跳び、勢いをそのままに回転して剣を奮う。


「グゥッ!!」


「まだまだ…秋沙雨!真空千裂破!!」


攻撃を防いだ衛司に、スパーダは着地すると素早く連続突きを繰り出し、そのまま再び跳び、回転斬りを繰り出す。


「ォォォォっ!!」


「…トドメだ、馬鹿やろう!天・地・空ことごとくを制す!神裂閃光ざぁあぁぁぁんっ!!」


度重なる攻撃に衛司の防御が崩れ、スパーダは回転斬りの勢いをそのままに衛司に切りかかり、雄叫びと共に回転しながら衛司を切り上げる。


「ォォォ……」


「…っ…治るまで寝てやがれ、バカやろうが。おい、メリア…早く治してやってくれ」


攻撃を受け、地面に叩き付けられ静かになった衛司を確認し、スパーダはそう言うと衛司から離れるため背を向けた。
しかし…その時だった。


「…うん…!?スパーダ、後ろ!」


「ぁあ…?な…っ…ぐあぁあぁっ!!」


「ォォォ…オォオォォォッ!!」

メリアが駆けつけようとした瞬間、その声を上げスパーダが振り返ると…衛司が起き上がりスパーダに斬りかかった。
メリアの声でなんとか対応出来たが、スパーダが対応しきれなかった位置が攻撃され、その場に崩れる。


「ぐっ…後ろから…かよ…クソッタレが…っ!」


その場に崩れたまま、自分を背後から攻撃した衛司を攻撃を受けた傷口を抑えながらキッと睨み声を上げる。
それに対し衛司はゆっくりと星晶剣を振り上げ…そして……。


「ォォォ…オォオォォォッ!!」

――無情なまでに…星晶剣を振り下ろした。



 
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