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仮面ライダーカブト 明日のその先へ

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第八章

「剣崎さんが」
「それは確かだ」
 剣崎はそれには答える。
「しかし統制者・・・・・・スサノオの身体は一つじゃない。心は何処か別の世界にいて」
「また仕掛けてきた」
「いや、違うみたいだ」
 志村は暫く考えていた。頭の中で辻褄が合ったうえで三輪に述べてきたのだ。
「違うって何が」
「よく考えてくれ。クライシス帝国との戦いがあった」
「ええ」
「それから十年位あってから渋谷に隕石が落ちて」
 ワームとの戦いの元である。全てはここからはじまっている。
「グロンギも同じ頃で。これは」
「おい、それってよ」
 禍木は志村の言葉に顔を青くさせてきた。
「スサノオが何年も前から仕掛けてきたってことかよ」
「そうだ」
 橘が答える。
「バトルファイトを考えろ。あれは一万年も前からだ。いや、より以前からか」
「そのスサノオってのは神様なんですか?」
 話を聞いていてそうした疑念も浮かばずにはいられない。三輪はそのきつめの顔を顰めさせてそう橘に問うのであった。
「そんな長い間から生きているなんて」
「そうかも知れない」
 相川がそれに頷いてきた。
「人のそれを遥かに凌駕した力を持つ者をそう呼ぶのならな。だが」
「だが?」
「それがいい存在とは限らないな」
「そうですね」
 それに志村が頷いてきた。
「神だからといって正しい存在とは、人の味方とは限りませんよね」
 考える顔で述べる。その顔は真剣なものであった。
「そうだとすると邪神ですね」
「そうだ、邪神だ」
 橘はまた言う。
「黒衣の青年や正義の女神アストレイアが正しい神とするならば荒ぶる神スサノオは我々の敵になる」
「アンノウンを操っていたあの青年とスマートレディ」
 禍木もそれは聞いていた。ただ聞いていなかったのはモノリスの真実よ統制者に関してだけだったの。これはボードでは剣崎達四人と烏丸しか知らなかったことであった。多く知られれば深刻なパニック状態を引き起こすことを危惧しての処置である。ゼクトにおいてもそれは同じで首領の存在を知っているか気付いている者は僅かしかいないのが実情である。
「あの二人が俺達の味方か。それでも」
「まだスサノオの詳しいことは何もわかってはいない」
 剣崎が強張った顔で述べる。
「俺が倒した統制者とオルフェノクの王の他は」
「何も。ただ一つだけわかっているのは」
 それまで発言を控えていた上城が述べてきた。
「とんでもない力を持っていてこれまで何度も現われていたことだけだ」
「何度も!?」
 三輪は今度はその言葉に眉をピクリと動かしてきた。
「何度もって」
「さっき話が出たクライシス帝国皇帝の正体もスサノオだった」
 剣崎がまた彼等に語る。
「その前の一連の組織を操っていたのも同じだった。全ては」
「そんな、それじゃあ」
 これには流石に三輪も言葉を飲んだ。
「今まで仮面ライダーが戦ってきた敵は全部首領が」
「そんな・・・・・・」
「その通りだ」
 相川は驚きを露わにさせる彼等に述べた。まるで死の宣告のような言葉だった。
「ショッカーから今のワーム、ネイティブに至るまで。全てスサノオ、首領の行動によるものだった。何もかもな」
「そしてその首領と戦うのが仮面ライダー、人間というわけなんですよね」
 上城は相川にそう問うた。
「やっぱり」
「そうなる。思えば俺が人間になったのもそのせいだろうな」
「俺達は首領と戦い続けないといけない」
 剣崎はまた強い言葉で述べた。
「あいつを完全に倒すまで」
「それって何か」
 志村は剣崎の今の言葉でまた気付いたものがあった。
 
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