仮面ライダー響鬼　はじまりの君へ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　仮面ライダー響鬼　　はじまりの君へ
　安達明日夢が再び響鬼の弟子になってから暫く経っていた。彼は天美あきらと共にクラスで授業を聞いていた。ごく普通のありふれた生活だった。
　その日も次の日も。それは変わらない。明日夢は充実した日々を送っていた。
「ねえ明日夢君」
　授業が終わるとあきらが明日夢の机に来た。そのうえで声をかけてきたのだ。
「今日は午後どうするんですか？」
「ええと今日は」
　明日夢はあきらのその言葉にふと思案の色を見せてきた。そのうえで述べる。
「部活もボランティアもないしね」
「じゃあ響鬼さんのところへ？」
「うん」
　明日夢は答えた。
「そのつもり」
「何かと大変ですね」
　あきらは明日夢のその言葉を聞いてくすりと笑った。
「鬼でもあるし学生でもあるし」
「ボランティアもあるしね」
　パネルシアターのボランティアはまだ続けている。グラスバンドの部活も学業も手を抜いてはいない。多忙な学生生活であると言えた。しかし彼はそれを苦とは思っていなかった。
「けれどさ」
　彼はまた言う。
「そうでなくちゃ響鬼の弟子にはなれないから」
「やっぱり響鬼さんって厳しいですか？」
「ううん」
　にこりと笑って指を横に振る。
「とても優しいよ。けれどね」
　彼は自分を響鬼の弟子だと自覚していた。だからこそ自身を厳しく律しているのである。彼の誇りがそうさせているのである。
「だからこそなんだ」
「そうなんですか。ところでですね」
「何？」
「最近魔化魅が大人しかったんですが」
「うん」
　話がそちらに向かった。日常生活から戦いへと向かう。
「他にも一杯出て来ているみたいですよ」
「他にも？」
「はい。魔化魅だけじゃなくて他にも」
「他にもって」
　明日夢はそれを聞いて目をしばたかせる。それまでの魔化魅との戦いだけではないと聞いて驚きを隠せないのだ。例え彼自身が戦わないにしろ。
　そこへ桐谷京介も来た。彼も明日夢に対して言う。
「彼女の言ったことは本当だ」
「一体何が」
「詳しいことは俺もわからない」
　彼も難しい顔をしていた。
「しかし魔化魅がいて他にも人を脅かす奴等がいるのは本当だ」
「それじゃあ」
「これから一層辛い戦いになるのは間違いない」
　桐谷はそう彼に述べてきた。
「それでだけれど」
「うん」
「今日は修行の場ではなくて」
　そして言う。
「たちばなに来てくれ」
「たちばなに！？」
「うん、多分皆そこにいる」
　彼はそう語る。
「それでいいな」
「うん。たちばなか」
「そういえば暫く言ってないですね」
　あきらもそれに気付く。最近はそのまま自分の足で修行場に行っていたからだ。明日夢も直接響鬼を訪ねることが多くなっていた。自然とたちばなには疎遠になっていたのだ。
「じゃあ学校が終わったらね」
「ああ、放課後な」
　こうして明日夢とあきらはたちばなに向かうことになった。たちばなに来るとイブキとトドロキが二人を迎えてきた。
「よお、暫く」
「はい」
　二人は笑顔で彼等に応える。
「何か本当に久し振りですね」
「そうだな。たまには単に甘いもの食うだけでもいいからな」
　イブキが笑いながら二人に述べる。
「顔出してくれよ」
「そうそう」
　トドロキも言う。笑っている二人の後ろから日菜佳と香須美が来た。そして言う。