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ドリトル先生と桜島

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第六幕その八

「素晴らしいことだね」
「全くだね」
「ただの火山じゃないんだね」
「そのこと覚えておくよ」
「僕達もね」
「そうしようね」 
 先生は笑顔のままです、そしてです。
 皆にです、こうも言いました。
「そういえばね」
「そういえば?」
「そういえばっていうと」
「うん、西郷さんも今は鹿児島に戻っているってお話したね」 
 このこともお話するのでした。
「僕は」
「そうだったね」
「大久保さんと一緒にね」
「今はそうしているってね」
「西郷さんは波乱万丈の人生だったね」 
 このことを振り返るのでした。
「武士として低い身分からはじまって」
「それで凄い貧乏でね」
「腕を痛めて剣道が出来なくなって」
「大久保さんに言われて学問を志して」
「それでどんどん成長してね」
「藩主の人に抜擢されて」 
 皆も西郷さんの人生についてお話します。
「活躍したけれど」
「その藩主さんがお亡くなりになって」
「その後の騒動で自殺未遂をして」
「死んだことになって島に流されて」
「その後で戻ったけれど」
「今度は次の藩主のお父さんに冷遇されて」
「とんでもない島の牢獄に入れられて」
 そうなってというのです。
「大変な目に遭って」
「そこから大久保さんが何とか助け出して」
「幕末の薩摩藩の領袖になって」
「大久保さんと一緒に大活躍して」
「討幕を果たして」
「維新でも日本の為に働いたね」
「そして明治帝にも気に入ってもらって」 
 そうしてというのです。
「その能力や人柄も認められて」
「お傍にいたけれど」
「征韓論で政府を辞めて鹿児島に戻って」
「畑仕事をしつつ犬と一緒に暮らして」
「後進の人達を教えていたけれど」
「西南戦争に担ぎ出されて」
「遂にね、けれどね」
 それでもというのです。
「必要とされる時にね」
「そうそう、西郷さんって出て来るよね」
「そうした人生だよね」
「波乱万丈でね」
「それでいて不思議だね」
「そんな人生だね」
 まさにとです、先生は言いました。
「運命に導かれた様な」
「その最期もね」
「そんな風だね」
「大久保さんと幼馴染みで」
「ずっと一緒にいて」
「その絆はずっとあったことも」
「運命はあるし」
 先生は確信しています。
「そしてその運命によってね」
「西郷さんは生きていたんだね」
「そして沢山のことをして」
「そのうえで最期を迎えたんだね」
「あの人は」
「そしてその西郷さんも」 
 先生はお風呂の中から浴場の窓の向こうに見える桜島を見ました、桜島は夕暮れの中にその姿を見せています。 
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