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転生!DORAGONBALL THE WORLD!!

作者:山葵。
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ナメック星編
  第十三話 スピリット・オブ・サイヤン

 
前書き
今回は正直自信作です。
前置きなんてどうでもいいので本編をどうぞ‼ 

 
「キェェェェェイ‼」
先手はフリーザだ。足元を狙った低空の飛び蹴りに悟空は対処が遅れたがなんとか当たる前に飛び超えた。しかしフリーザの狙いはそれであった。
悟空の足元に滑り込むとわずかな動作でサマーソルトキックをし、悟空を蹴り上げる。
衝撃で脳が揺さぶられたが、ひるんでいる暇はない。空中で体を捻りもう一度蹴りを入れてこようとするフリーザの顔面を遠心力を加え蹴り飛ばした。
どうやら身長差のおかげでフリーザの攻撃が当たる前に蹴れたようだ。

「なかなかやるじゃないか、今までの奴よりは骨はあるみたいだね。」

「そりゃあどう...も‼」
悟空は地を蹴りフリーザよりも先に仕掛けた。
フリーザを直線状にとらえ真っ直ぐと向かっていく。
「馬鹿正直に突っ込んでくるとは...少し呆れるよ。」
フリーザはそう言いながらも悟空に対して構える。
「そこだ‼」「フンッ‼」
悟空がフリーザに右ストレートを入れようとするが、逆にカウンターで胴にパンチをもらった。
しかし悟空は薄くなり、像は空に消えた。
「何⁉残像か‼」
フリーザは驚くが、伊達に帝王を名乗ってはいない。すぐさま気を読み背後にいる悟空の気を察知し振り向いた。
その時、フリーザに何かが着弾した。
それは爆発しフリーザを巻き込み辺りに煙を巻いた。
「だぁぁぁぁぁぁ‼」
フリーザの上空から声がした。今までの行動はすべて囮だったことにフリーザはやっと気づいた。だがもう遅い。焚かれた煙幕によって相手の位置を視界でとらえることもできず、気を読む時間もなかった。
上空からの勢いの乗った両手を振り下ろすことによる叩き付け攻撃。
メテオブローによって羽をもぎ取られたように地に落とされる。

______________________________________
場所は変わり
遠く離れた界王星にて...界王と呼ばれるものと死者となった悟空の仲間たちがフリーザと悟空の戦いを見ていた。
「おお、やったぞ‼フリーザに一発食らわせた‼」
「天さん、今の一瞬。悟空何やったの?」
「すまんがチャオズ。俺の三つの目をしても孫の行動は所々でしか見えなかった。」

すると皆が手を当てている界王が口を開く。
「悟空はフリーザに突っ込みすんでのところで残像拳を使いフリーザの視界から逃れたんじゃ。」
「では、その時に孫がフリーザの後ろに回ったということですか?」
「いや違う。悟空は残像拳でフリーザの上空に既にいた。」
「じゃあ...どうやってフリーザの後ろから攻撃したっていうんだ?」
「それは...お主の技に近いことをやったんだ。」
急に視線を向けられたヤムチャが驚く。
「おいおい...おれは正直言ってあんな凄いことできないぞ?第一どうやって...ああ!」
「気づいたようじゃな。そう、悟空はヤムチャの操気弾のように気を操ってフリーザの後ろから当てたというわけだ。戦いのさなかでこういった戦法をとれるのは悟空らしい戦い方じゃな」

「今の悟空ならフリーザを倒せちまうんじゃないのか?」

「それは難しいだろう...」
「確かに今のままでは難しいかもしれないけど界王拳を使ったらどうだ?今の悟空なら10倍ぐらいは使えるんじゃないか?」
「...その悟空が使っているのが10倍界王拳なんだ...」
全員の表情が歪んだ。今の悟空では通常状態でも修業した俺たちが束になったとて勝てないだろう。それが10倍になっているのにフリーザにはほとんど効いておらずなんなら両手を使わない状態でも押されている。
「だからフリーザには手を出すなといったんじゃ...」
界王が小さく呟いた。

______________________________________

(ハァ...ハァ...界王拳を10倍にしても全くダメージが入らねぇ...こうなったら粉砕覚悟で界王拳を一気に20倍まで引き上げてケリつけるしかねぇな...)

悟空は気を溜める。肉が軋み筋肉を無理やり膨張させる。
「界王拳...20倍だ‼」
悟空はフリーザに向かって武空術で近づき思いっきり蹴り飛ばす。
「ぬぉぉぉ⁉」
今までより遥かに痛いダメージにフリーザは顔を歪ませる。
「か...め...は...め...」
紅のオーラを発し手に青白き高密度の気を溜める。
フリーザの息の根を止めるにはこれしかないと悟空の十八番をフリーザにぶつけようとする。気は限界まで溜まり発射準備は整った。
「波ぁぁぁぁ‼‼」
惑星一つを覆えるほどの気がフリーザを襲う。
全力のかめはめ波をフリーザは声を出し片手でエネルギーを受け止めようとする。
「はぁ...はぁ...」
なんとフリーザは20倍界王拳かめはめ波を体制を崩した状態から片手で受け止めた。

「フリーザの野郎...本当に半分の力しか使っていなかったのか...」

「サ...サイヤ人め...」
「今のは...痛かった...」
フリーザの声が暫しの静寂を破壊する。
「痛かったぞーーーーー!!!!」

フリーザは悟空に近寄り反動で抵抗もできない悟空を一方的に痛めつける。
蹴り飛ばし、殴り、乱打、頭突き、そして地へと投げ飛ばす。
その全ての行動が殺意にまみれ悟空を確実に殺そうとする。

悟空はそんな攻撃を浴びせられながらも血を吐きよろよろと立ち上がる。

「さっきの勢いはどうしたんだ?とうとうパワーを使い切ったのか?」

悟空は絶望的な状況ながらもフリーザを睨むその目の光は失われてはいなかった。

そして最後の希望だと決心をし、両手を上に掲げた。

「なんだ?降参とでも言いたいのか?」

(こ…このナメック星と近くにある沢山の星よ!!ほんの少しずつでいい!元気を分けてくれ…!!)

悟空の呼びかけに応じてナメック星の緑や花、木、そして海や川やその生物たち、そしてナメック星じたいや周りにある3つの太陽、星々すべてが悟空へと気を分ける。

悟空が手を挙げるはるか上空には地球の時よりも巨大な元気玉ができていた。

「悟空...元気玉を放つ気だ!」
遠くからでもクリリンは理解しフリーザに気づかれないことを祈った。

「いい加減にしろ、いつまでそうしているつもりだ?」

「へへ...さあな。いつまでかな...まあいいじゃねぇか...」

フリーザはいらだったように気を放ち悟空を吹き飛ばす。

悟空は水中まで吹き飛ばされるが体に鞭をうってなんとかよじ登り手を挙げる。

「サイヤ人は何を考えているのか分からん。昔からそうだった...不愉快な連中だ...」

フリーザは飽きたようで悟空にとどめを刺そうとする。

「しょせん超サイヤ人というのは夢物語だったな。」

しかし水面に映った光を見てフリーザの行動が止まった。

「太陽じゃない...あれはなんだ⁉」

「ま...まさかあれは⁉...エネルギーの塊⁉」
「貴様どこにそんなパワーを...まあいい。騙し討ちをしようとするとは卑怯な奴だ。だが、せっかくの苦肉の策も無駄になってしまったな。」

(ちくしょう...あともう少しだったのに...)

「サイヤ人にしてはよくやった方だ。ここで無様に死ぬんだな。」
そういい今度こそフリーザは悟空にとどめを刺そうとする。

―――――しかしフリーザは悟空を殺す前に衝撃によって吹き飛ばされた。

「よかったー!ギリギリ間に合った‼」
そこにいたのはピッコロとワサビであった。

「ワサビ...おめぇ死んだんじゃ...」

「おいおい...勝手に殺すなよ。仙豆一人一個持ってただろ?それ使ったんだよ。」
「それにしてもずいぶんとでかい元気玉だな。あとどのくらいで出来そうだ?」

「そうだな...確実にやるならあともう半分っていったところかな...」

「そうか、あとは俺たちに任せろ。」

「貴様ら...生きていたのか...」
フリーザは俺たちを見るなり驚いた。
「ああ...なんとかな。」
隣で俺はネイルではなくピッコロだとでも言いたげな表情をピッコロはしていたが。

「焦らず殺したのを確認してから移動するべきだったのでしょうか。それとも確認する必要がないぐらい木っ端微塵にしておいたらよかったのでしょうか。」

「怖いこと言ってくれるね...どうだい?第二ラウンド...」

「ふん、貴様の狙いはどうせ足止めであのエネルギーをこの僕に当てようとしているのだろう?そんなのお見通しさ。」

フリーザは俺たちの合間を練って悟空を攻撃しようとしたので界王拳20倍を使ってフリーザを掴み反対側へと投げ飛ばす。

「おっと、悟空に攻撃をするなら俺たちを倒してからにしな。」
我ながらクサイセリフを吐きフリーザを挑発する。

「いいだろう...数で戦えばこの俺に勝てるとでも思ったか。笑わせる。見せてやろう...この僕の70%の力を。」

フリーザは50%から70%に力を上げ、より早く、より高威力な攻撃をしてきた。
拳を交えると空間が一瞬裂けたように変化し、拳から発せられたとは思えない轟音があたりに響く。

その間にもピッコロが援護射撃として気弾を放っていてくれるおかげでフリーザが攻めあぐねている。

少々分が悪いと感じたのかフリーザが後ろに飛んだ。

逃がしてたまるか! 俺はバリアブレイクダッシュで距離を詰める。
その速さからフリーザが逃げても無駄だと感じたようで俺に対して構えをとった。
しかし俺はそれに目もくれず少しフリーザより右の場所に向けて進んだ。
フリーザが不思議に思っている。
俺はバリアを作りまるで水泳のターンのようにバリアを蹴ってフリーザに向かっていく。フリーザは難なくよけるが俺はまたバリアを蹴ってフリーザに突撃する。
何をしているかって?見たらわかるだろ。フリーザをたった一人で囲んでいるんだ。
尋常じゃないスピードで俺はフリーザの周りをまわってフリーザを捉え足止めをする。ピッコロは俺を見て確信したように気弾を止め人差し指と中指を額に寄せ気を溜める。魔貫光殺砲の構えだ。これなら戦闘力が離れているフリーザにも多少通用するし元気玉のための足止めにもなる。
そうして俺は飛び回った。だがはじめこそフリーザは爆風と突撃に苛立っていたものの今はかなり落ち着いているように見える。
いったいどうしたというのか...そう考えていると急に俺の視界からフリーザが消えた。その瞬間糸が切れたように俺の体は動かなくなり、地面へとたたきつけられた。

「流石の僕も少し捉えにくかったよ。でも...こうしてしまえば君はもう動けない。」

(何が起こった...体を動かそうにしても動けねぇ...)
俺があがくさまを見てフリーザは笑った。

「無駄だよ。一時的に神経を遮断したんだ。手刀の威力でね。そこでしばらく寝ていろ‼それと...君もね。」
そういうなりフリーザは超能力でピッコロを動けなくし、腹に思い一撃を与え気絶させた。

「さてと...これで邪魔者はいなくなったか。あとは貴様だけだ。孫悟空。」

(ちくしょう...あいつらもやられちまった。でも元気玉がまだ溜まっちゃいねぇ!今放ってもフリーザを倒しきれねぇ...いやその前によけられちまう...)

「死ねぃ‼」
フリーザからデスビームが放たれるがその光線は気弾にはじかれ行き先を変えた。

フリーザが目を向けた先には悟飯とクリリンがフリーザに向けて気弾をうっていた。

「さっきからちょろまかと...うっとおしいハエどもが‼」
ついにフリーザの怒りが度頂点に達した。
だがフリーザは後ろから何者かに羽交い絞めにされた。

「な...何だ⁉」
フリーザは狼狽えた。

「フリーザ。俺たちサイヤ人をなめすぎたらしいな。」
羽交い絞めにした本人、バーダックはあざ笑うかのようにフリーザを挑発する。

しかしフリーザも冷静さを取り戻し冷酷に
「ふふふ...面白い冗談を言うものだ。この程度の力で僕が逃げられないとでも思ったのかい?」

フリーザが振りほどこうと力を入れるがバーダックは体制を崩さないどころかより力を入れてフリーザを絞める。

「貴様...どこにこんな力を...」

「俺たちサイヤ人にな...限界なんかねぇんだよ‼」
バーダックは白き気のオーラを出しフリーザを拘束する。

「カカロット!とっとと元気玉というやつを完成させちまえ‼」

「バーダック⁉でもそしたらおめぇ事やっちまうじゃねぇか‼」

「上等だ。どうせあの時...俺は死んでいた。だが、フリーザを俺たちサイヤ人の手で葬れて死ねれるなら...あいつらへの土産話にでもなるだろ。」
バーダックは亡き仲間に思いをはせ一層力を強くする。

「バーダック...おめぇの覚悟はよくわかった。」
悟空は一瞬さみしそうな顔をするが、表情が喜びのものに変わった。
「溜まった...溜まったぞ!元気玉が‼」

「よっし、カカロット。とっととぶつけちまえ‼」

フリーザは必死に抵抗をし藻掻く。だがバーダックは無理やり押さえつけている。
(ちくしょう...こんなところで...死ねるかぁ‼)

フリーザは唯一空いている尻尾でバーダックの顔をぶったたき、少し力が緩んだところで今度は逆に尻尾で拘束し投げ飛ばした。

「ぐわーーーーっ‼」

「ゼェ...ハァ...キェェェェェイ‼」
息を荒くしながらもフリーザは悟空のいる方へ振り向きデスビームを放つ。

フリーザの放ったデスビームは振り向き様に放ったものだが、正確に悟空の左肩を打ち抜いた。悟空は苦悶の表情を浮かべ...

――――元気玉は崩壊した。

気のコントロールが崩れ逃げ場を失った元気のエネルギーは空中で分散し巨大な爆発を起こした。

それは広範囲に及び辺りに強風を巻き起こしたが、俺らには敗北を告げる鐘にしか聞こえなかった。

(元気玉が....)
皆が絶望の表情を浮かべる中フリーザのみが嘲笑っていた。

「残念だったな。貴様たち。せっかく全員で攻撃したというのにこの様とは。」

俺たちはフリーザに殴りかかろうとするが誰一人として動かない。いや、動けなかった。

「どれ、僕は優しいんだ...最後ぐらい仲良く死なせてやろう。」
そういうとフリーザは念力で俺たちを強引に動かし一か所に集めさせる。

その際にピッコロが地面に激突し、骨がむき出しになっていたがフリーザは気にすることもなく動かした。

(すまねぇ...みんな...)

(悟空...気にするな...お前はよくやったさ。アイツが...強すぎただけだ...)

(でもよ...)
フリーザに勝てなかった悟空は今までで一番悔しそうだった。

「そうだな...決めた!一人一人苦しめながら殺してやろう。そこで地に這いつくばりながら仲間が殺されるのを見ているがいい。」

「まずは...お前だ‼」
フリーザは悟空を乱暴に掴み尻尾で首を絞めた。

「が...あがっ...」
悟空は逃れようと藻掻くが力を使い果たしていたからか全く動かなかった。

「よくもこの僕にここまで傷を負わせたな。貴様にはそれよりももっと痛い苦痛を味わってから死んでもらうよ。」
フリーザは光線でさっき貫いた悟空の左肩を執拗に殴った。

「...あが...」
声にならないような声で悟空は悲鳴を上げる。

「お父s...ふがっ‼」
悟飯が声を出そうとした瞬間クリリンが口をふさいだ。悔しいがいい判断だろう。悟飯が悟空の息子と知ったらフリーザは先に悟飯を殺そうとするかもしれないからな。

(とは言ってもこれ以上やられると本当に悟空が死んでしまう...この状況を打破するには...考えろ、どうなってもいい...――どうなってもいい?)
ここでワサビの脳内に突破案が閃いた。

ワサビは実行しようと力を入れるが先ほどフリーザに神経を遮断されたせいでまだ少ししか動くことができない。だが界王拳と武空術を無理やり使うことで何とか立ち上がった。

フリーザが立った俺に気づいた。
「ほう、驚いた。神経を遮断されてすぐに立てるとは。だけど...君はまだ死ぬ番じゃないんだ。そこで寝ていろ‼」
刹那、体に重圧を感じ何者かから地に押さえつけられたような感覚があった。

「がぁ....」まるでズズズズズズというような重低音が聞こえてくるような地響きが起き、この場にいる悟空以外の全員が地へと這いつくばさせられた。

「ふっふっふ...いい気味じゃないか。下等なサイヤ人どもは常に僕に頭を下げておくのが...礼儀だよ‼」
フリーザは俺を足で踏み、爪のようなものを立て足で頭を握りつぶそうとする。
頭からは少し生暖かい赤色の液体が垂れ、激痛が走る。

「やめろ...フリーザ...」
悟空が小声ながらに力を振り絞りフリーザに反抗する。

「君...やっぱり生意気だね。孫悟空、君は僕に負けたんだ。いつまでも足掻こうとするな‼」
フリーザは悟空の体中を殴り痣を何か所もつけていく。
助けようにも俺らはフリーザの超能力による重力で押さえつけられ動くことはできない。

悟空の気はどんどん小さくなっていくが誰もがフリーザの恐ろしさに戦慄し、まともに動くことすらもできない。

俺は地を握りしめた。簡単に捉えすぎていたのだ。悟空が勝つ。俺らが勝つ。それはただの願望であった。子供の頃からそうだと信じていた。俺たちが負けるなんて
、殺されるなんて考えてもいなかった。あの世界は...偶然を掴み取り、死闘の末に掴み取った未来だったことに。だけど...だからこそ再び立ち上がろうとする。
界王拳。もはや今回何度使ったかなど忘れた。あの時修行していなかったらここまで来れていなかった。徐々に倍率を上げていく。2倍...3倍...5倍...10倍。

俺は気づいたら立ち上がれていた。
12倍...15倍...そして20倍。

「貴様...どこにそんな力を...」

「知らねぇな。だが..ただ一つ言えることはある。」
フリーザは俺の顔を睨んできた。もしくは呆れていたのかもしれない。あの帝王に今の俺がどのように見えたのか、無駄に粘り強い下等なサイヤ人か、はたまたサイヤ人にしてはよくやる方だと思ったのか、考える必要はない。

「フン、この程度が俺の本気だと思ったのか‼」
重力はさらに重くのしかかってくる。重さに膝をついた。
だけどもまだくたばるわけにはいかない。
21倍...22倍...体中がボロを出しこれ以上は限界だと訴える。
しかしそれを無視してより倍率を上げようとする。
だが、そんな俺に一つの声が聞こえてきた。

「やめろ!ワサビ‼悟飯たちはもう限界だ!」
その声の主はバーダックだった。
直ぐに悟飯たちのいるところを振り向くと、重力に耐え切れず骨が軋み悶えているクリリンと悟飯の姿があった。ピッコロも今は何ともないが重傷を負った彼はこれ以上やると直ぐに重力で亡くなってしまうだろう。

俺は力が抜けたようにその場にバダン‼と倒れこんだ。

「すみません...ワサビさん...僕が不甲斐ないばっかりに...」
悟飯が謝ってきた。
「気にするな。周りが見えていなかった俺も悪い。すまなかった。」
俺も二人に謝る。

「バカめ...仲間を守るために僕を殺すのを諦めたか、つくづく甘い奴らだ。まあ...今のお前でこのフリーザ様を殺せるとは思えんがな。」
フリーザは俺をあざ笑うように煽った。

確かにそうだ。俺には目的のために仲間を殺す冷酷さを持っていない。ましてや俺の憧れた戦士たちだ。間接的だったとしても殺せるわけがない。

「僕の気も済んだし、そろそろ殺すことにしたよ。まずは君からね。」
フリーザは悟空の首を絞める力をより強くする。
悟空は苦しみから声を出すがその声もだんだんと弱く...聞こえなくなっていく。
俺たちは真に絶望し、目から光すら消えた。






――――――情けねぇ...

そんな声が微かに聞こえた。
その声の方向を見るとバーダックが怒りの表情で地を握りしめていた。

-バーダックside-

俺は...またしても何もできないまま失うんか...あいつ等の仇すら打てねぇのか...
フリーザという敵はオレが思っていたよりも強大なものだった...
本当に目の前、わずか1mの距離にいるオレのガキでさえ...守れねぇのか...

情けねぇ...俺は悔しさから地面を握りしめていた。握る力が強すぎたせいか、手からは血が垂れていた。
そもそもなぜ何故オレはフリーザをカカロットに任せようとしていた。
何のためにオレは生き返ったんだ。何故オレはアイツに再び蘇らせられた。
アイツは...何故オレのことを知っていた?
謎が頭の中を埋め尽くし暴れる。
記憶と記憶が激しく混ざり合ううちに一つの記憶が浮かび上がってきた。
「またか...」なぜ今になって未来が見えてくるのかわからないが、オレはその幻覚に身をゆだねた。だがそれは今までのような未来視ではなく、逆に過去の記憶であった。初めはあの星での惨状だった。セリパ、パンプーキン、トテッポ、そしてオレがついたときにはかすかに意識があったトーマ。今巻いてるバンダナも元はアイツのスカーフだった...あいつ等がフリーザの手下に殺され、全員が血を出して殺されていた。次はあのフリーザとの闘いだった。オレがあの野郎の超巨大気弾によって惑星ベジータとともに破壊されていた。まさか二度も見るとは思っていなかったからかいつの間にか歯を強く噛み締めていた。
その次...は俺も初めて見たものだった。いや、俺はここに来たことがあるのかもしれない。見覚えがあるのかないのか、はっきりはわからなかった。その記憶では紫色のカエルのような生命体に傷を治してもらったり共に飯を食っているサイヤ人のような奴がいた。飯を食いながら嬉しそうに「     さん‼」「    さん‼」と何やら名前を呼んでいたがその名前は聞こえなかった。

訳が分からない。なぜ今になって過去を見せ始めたのか、最後の記憶は何だったのか、だが俺の頭の中はかえってすっきりしていた。

オレに...あの時力があれば...あの時も...あの時も...
悔しさと怒りからバーダックは力いっぱい地を殴り続けた。
自らへの怒りは知らない間に声に出ていたようだ。
オレは...また守れねぇのか...
トーマ、セリパ、パンプーキン、トテッポ...そしてサイヤ人の癖に優しい女...王子とつるんでるビビりなクソガキ...戦闘力たったの2だった飛ばし子のクソガキ...
ギネ、ラディッツ、そしてカカロット。
.......。べ...リー?朧げにその名が浮かんできた。

オレが...俺が...
バーダックの周りに雷雲が立ち込み、雷を落とす。
地は震え、バーダックを中心に地響きを起こす。
バーダックの身体からはスパークが放たれ、髪を震わせる。
気はどんどんと上昇し、ついに重力を振り切り立ち上がった。

(なんて気だ...バーダックの戦闘力が馬鹿みたいに上がっていく...)

フリーザも流石に身の危険を感じたらしくバーダックに重力を集中させる。
だが、今のバーダックには全く効かず膝をつけることさえなかった。
「何だ⁉一体何が起きた‼」
フリーザでさえも驚きの声を出した。
「ハァァァァァァ!!!!」
バーダックの髪は金色と黒に点滅し、金色のオーラをシュイン...シュイン...シュイン...シュイン...
と音を立てながら開放する。

「フリーザ...俺が...貴様を倒す!!!」
バーダックはフリーザを睨みつけ髪を金色に転倒させながら手に気を集中させる。

フリーザは目にバーダックの姿を焼き付けた。
その姿は、フリーザ一族に伝わる金色のサイヤ人の戦士。
髪が点滅こそしている不完全ではあるがそれはまさしく...
『超サイヤ人』としか考えられなかった。

「貴様...まさか...」
フリーザはこの男をつかんだままだと戦えないことを察し悟空を乱雑に投げ捨てた。
だがその行動が火に油を注ぐことになり、バーダックの怒りを強めた。

「この僕が...貴様らサイヤ人なんかに負けるかぁぁ‼」
フリーザは高く飛び上がり指先に超高密度の巨大気弾。
【デスボール】を作った。
「この星ごと、貴様らをゴミにしてやる‼」

フリーザの本気の一撃にバーダックは表情を変えず手に気を溜めた。

「死ねぃ!!」
フリーザからデスボールが放たれる。



――――――――死ぬのは、てめぇだ!!


バーダックの気弾、【スピリッツキャノン】は巨大なエネルギー弾となりデスボールを押し返す。

「すげぇ...バーダックの奴、フリーザの気弾を押し返している...」

「グアァァァァァァ‼」
フリーザは気を上げて押し返そうとするが、不完全ながらにも超化したバーダックに手も足も出ず、目の前にまでデスボールは押し返され、そのまま気が飲み込まれデスボールは消滅した。だがフリーザは諦めなかった、それは宇宙の帝王の誇りだったのか、それは定かではないが両手でスピリッツキャノンを押し返そうとする。

「こんなもの...こんなもの...!!」
だがしかしバーダックはずっと気を送りフリーザの気も減っていった。
ついにフリーザには押し返す気力もなくなり、フリーザはさらに空中へと押し上げられ....

気は爆音を鳴らし爆発した。爆風により雷雲は一気に消えナメック星にある3つの太陽は〝勇者″を祝福せんと光を照らした。




 
 

 
後書き
※ 
・神経遮断の手刀
そういうもんです。私もわかりません。フリーザ様だからできると思います。(暴論)
・バーダックの羽交い絞め
70%最終形態フリーザになぜ戦闘力300万のバーダックが羽交い絞めを維持できたのかというと、一つはデンデによる瀕死からの復活で戦闘力が上がっていたのと、もう一つは戦闘中にも戦闘力が上がっていっていたからですね。そして最後の理由は単に羽交い絞めが戦闘力差があっても拘束しやすかったからですね。
実際に本気を出されたら簡単に振りほどかれてましたし。

・バーダックについて
この小説独自の設定です。バーダックは惑星ベジータとともにフリーザによって葬り去られたとき、過去に飛んでそこでチルドと戦い超サイヤ人に覚醒しました。
チルドを倒した後、バーダックはその場を立ち去りますが、急に意識を失います。
その際に過去での記憶を失いました。そしてそのすぐ後にワサビにドラゴンボールで生き返らされたことによって過去から戻ってきました。なので、バーダックは地獄に入ってません!頭の片隅の超端っこにでも置いておいてください。なんか後々ストーリー掘り下げるかもしれないので。
・不完全超サイヤ人
バーダックがフリーザへの怒りと自分の不甲斐無さで変身した超サイヤ人。
ゼノバース2の追加ストーリーでタイムパトローラーが負けたときのムービーに出てくるアレです。
もう一つの不完全超サイヤ人でスラッグの映画の時に出てきた白目超サイヤ人(仮名称)があるんですがそれとは違います。
自分の解釈では前者が戦闘力30倍、後者が戦闘力25倍です。
(超サイヤ人は50倍)この際言っておくのですが自分は超サイヤ人は50倍派です。
50倍は始めだけでなれたら10倍ぐらいの説もあるらしいのですが、自分は50倍が好きなのでそうさせてもらいます。超2、超3も同じ扱いです。

戦闘力一覧
フリーザ最終形態70%:戦闘力8500万
悟空:300万→界王拳20倍:6000万
ワサビ:300万→界王拳20倍:6000万
ピッコロ:150万
悟飯:15万(デンデによる瀕死からの復活)
クリリン:4万

バーダック:70万→サイヤ人の特性復活後(2回):300万
→戦いのさなかでのパワーアップ:350万
→不完全超サイヤ人:戦闘力30倍で1億500万



...あれ?バーダック強くね?
いきなり最終形態フリーザと戦ったおかげでサイヤ人組の瀕死回数が増えて結果大幅パワーアップしてしまってる...(゚∀゚)アヒャ


次回はついに...(*´艸`*)ウフフ
お楽しみに~‼

 
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