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ドリトル先生と桜島

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第五幕その五

「それでね」
「秀頼さんは死んだ」
「それは定説で」
「実際はどうだったか」
「この鹿児島に逃れて亡くなったってとも言われてるんだ」
「そうなんだ、ただ僕は大坂の陣で自害したと思ってるけれど」
 それでもと言うのでした。
「木下家の一子相伝のお話はね」
「気になるね」
「一子相伝って相当だよ」
「相当のものだよ」
「嘘じゃないんじゃないかな」
「落城の時に木下家の人達が秀頼さんを助け出して」 
 その一子相伝のお話ではというのです。
「逃がしてね」
「鹿児島まで」
「それで鹿児島を守っている薩摩藩が匿った」
「そう言われてるんだ」
「この時に真田幸村さんも一緒だったとも言われてるね」 
 一説ではというのです。
「あの人もね」
「そのお話聞いたことあるよ」
「幸村さんも逃れたってね」
「大坂の陣で死なないで」
「そのうえで」
「当時ここまで逃れたらね」
 鹿児島までというのです。
「わからないからね」
「幕府も」
「鹿児島は日本の端だし」
「それでなんだ」
「しかも薩摩藩は秘密主義でね」
 そうした藩でというのです。
「外から入る人をかなり警戒したしね、言葉だってね」
「言葉?」
「言葉がどうしたの?」
「今の鹿児島弁も癖が強いね」
 先生は皆にお話しました。
「そうだね」
「ああ、それだね」
「確かに強いね、鹿児島弁の訛」
「結構以上にね」
「わかりにくい時あるわ」
「昔の鹿児島弁は遥かに強くてね」
 その訛りがというのです。
「だからわかりにくかったんだ」
「ああ、それじゃあだね」
「何てお話してるかわからないね」
「鹿児島の人達の間で話しても」
「そうだね」
「そうした工夫もして」
 それでというのです。
「秘密が漏れない様にしていたんだ」
「言葉もそうしていたんだ」
「じゃあ昔の鹿児島弁ってあえてそうしたんだね」
「わかりにくい様に」
「作っていったんだ」
「そうした方言だったしね」
 昔の鹿児島弁はというのです。
「少しでも外から来た人がおかしいと」
「睨まれたんだ」
「そうなったんだ」
「幕府の隠密と思われたら」 
 その時はというのです。
「時代劇そのままにね」
「斬られていた」
「そうなっていたんだ」
「本当に」
「そこまで秘密主義だったんだ、兎に角薩摩藩のことはね」 
 どうしてもというのです。 
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