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イベリス

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第百一話 残暑を感じてその七

「復讐鬼かそれになる」
「要素がある人ですね」
「そうです」
 こう咲に述べた。
「あの兎はです」
「復讐鬼であり」
「いいと思える人はです」
「同類にですね」
「なりかねません、私は考える時があります」
 速水は事実右目にその色を込めて咲に話した。
「あの兎は狸を嬲り殺しましたが」
「これ以上はないまでに徹底的に」
「しかし満足したか」
「いや、満足したと思いますよ」
 すぐにだ、咲は当然という顔で答えた。
「普通に」
「あそこまですればですね」
「そうですよ、何度も騙していたぶって」
「この上ない苦痛を与え続けて」
「それで殺していますから」
 だからだというのだ。
「満足していますよ」
「普通はそう考えますね、ですが」
「それでもですか」
「復讐鬼というものは憎しみに囚われています」
 その心がというのだ。
「ですから」
「それで、ですか」
「例え相手を殺しても」
 望みを果たしてもというのだ。
「憎しみはです」
「心に残っていますか」
「そして何かあれば」 
 その時はというのだ。
「また憎しみをです」
「出すんですね」
「そして惨たらしい行いをです」
 兎が狸にした様なというのだ。
「繰り返します」
「それが復讐鬼ですか」
「人間憎しみに心を支配されたなら復讐鬼になるしかありません」 
 その時はというのだ。
「そして何かきっかけがない限りは」
「復讐鬼であり続けて」
「憎しみの相手を殺しても」
「憎しみは残って」
「その憎しみをぶつけ続けます」
「そうなるんですね」
「そうした存在にです」
 咲を見て話した。
「失恋で心が傷付いてです」
「そこをさらに傷付けられると」
「なることもです」 
 それもというのだ。
「有り得ます」
「そうなんですね」
「ですから」
 そうであるからだというのだ。
「小山さんはです」
「決してですね」
「はい」
 まさにというのだ。
「失恋した人はそっとです」
「しておくことですね」
「可能ならば労わることです」
「慰めることですか」
「傷付いた人は癒すことです、水に落ちた犬は叩けとしますと」
 落ち込んでいる、落ち目の人を攻撃しろというのだ。悪意に基づく言葉であることは明らかである。 
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