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氷蕎麦

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第三章

「けれどね」
「その時も気を付けながらな」
「湯気にもね」
「作るぞ、そしてな」
「美味しいお蕎麦にね」
「するぞ」
「絶対にね」
 夫婦で話してだった。
 そのうえで麺にして今度は茹でた、そのうえで。
 蕎麦を水で冷やす時にだ、雪男は雪女に言った。
「氷を出すか」
「ええ、氷水でね」
 雪女も応えた。
「もうね」
「一気にな」
「冷やしてね」
「それでな」
「ざるそばにして食べましょう」
「どうしても熱いとな」
 そうしたつゆの蕎麦はというのだ。
「わし等は食えないからな」
「そうよね、だからね」
「いつもざるそばかな」
「わんこそばだしね」
「今もな」 
 これから食べる自分達が作った蕎麦もというのだ。
「当然な」
「ざるそばよ」
「そうだ、じゃあな」
「今からね」
「氷を出して」
 そうしてというのだ。
「氷水でな」
「一気に冷やして」
「そして食おう」
「そうしましょう」 
 夫婦で話してだった。
 共に氷水で茹でた蕎麦を一気に冷やしてだった。
 ざるそばにして食べた、勿論つゆも凝ったものだったが。
 夫婦で食べてだ、一口で笑顔になった。
「美味いな」
「そうね」
「これはかなりいけるな」
「自分達で作ったにしても」
「よく冷えていて引き締まっていてな」
「お蕎麦自体がね」
「風味もコシもな」
 そのどちらもがというのだ。
「いい感じだな」
「ええ、じゃあね」
「今日は楽しもうな」
「お蕎麦を食べてね」 
 こう話して実際にだった。
 夫婦で自分達が作ったざるそばを楽しんだ、二人でかなり作ったそれを完食した。その後でだった。
 夫婦でだ、笑顔で話した。
「また作ってな」
「食べましょう」
「切る前の打ったな」
「その状態でよね」
「冷やした場所に置くとな」
「保存も出来るしね」
「冷やすことはな」
 夫は妻に笑って話した。
「わし等の十八番だからな」
「ええ、伊達に雪の妖怪じゃないわ」
 妻も笑って応えた。 
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