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そんな爺いるか

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第二章

「歳を取るとな」
「衰えるな」
「全くだな」
 二人で散歩の時に会ってこんなことを話した。
 だがある日だ、小羽はインターネットで色々話を聞いてだった。長倉とまた会った時に神妙な顔で話した。
「上原健さん覚えてるな」
「ああ、俳優さんの」
「あの人七十位で子供作ったな」
「そういえばそうだったな」
「わし等みたいな歳でな」
「凄いな、それは」
 長倉はその話に驚いた。
「そんなのもうな」
「無理だな」
「どんな美人さんを見てもな」
 長倉はそれでもと応えた。
「何もな」
「感じないな」
「勿論かみさんもな」
 妻もというのだ。
「見てもな」
「何も思わないな」
「そうだよな」
「それがな」
 小羽は真顔で話した。
「あの人は若い後妻さん迎えてな」
「そしてか」
「子供もうけたんだよ」
「そんな人もいるんだな」
「ああ、信じられないな」
「今思うとそうだな」
「それでよくな」
 首を傾げさせてだ、小羽はこうも言った。
「スケベな爺さんが若い娘さんを」
「そんなことあるか」
 笑ってだ、長倉は返した。
「若い娘さん見てもな」
「何も思わないな」
「今さっき話した通りにな」
「そうだよな」
「そんなことはな」
 それこそとだ、長倉は小羽にさらに言った。
「あるものか」
「そうだな」
「十代や二十代の若い娘さんを見ても」
 それでもというのだ。
「本当にな」
「何も思わなくなったな」
「下の方なんてな」
 笑ってこんなことも言った。
「もう用を足すだけだ」
「全然だな」
「中学や高校の頃とはな」
「本当に違うな」
「そうなったよ」
 こう言うのだった。
「だからな」
「それでだな」
「奇麗な娘さん見てもな」
 それでもというのだ。
「何もな」
「思わないな」
「犬や猫見てな」
「あんたハムスター飼ってるな」
「そういうあんたは金魚だな」
「うちのが好きでな」
 小羽も笑って返した。
「それでだよ、金魚を見て笑顔になってもな」
「もうだよな」
「若い娘さんを見てもな」
「犬や猫見るよりもな」
「何も思わないさ」
 自分達が飼っていない生きもの達を見るよりもというのだ。
「本当にな」
「そうなったな」
「それでな」
 そうした状況でというのだ。 
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