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星河の覇皇

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第八十四部第一章 梟雄の復活その六

「そうなったらもうな」
「勝てないですか」
「脱走兵が出る軍隊と脱走兵が出ない軍隊だとな」
「もう全く違いますね」
「それで戦うとな」
「勝てる筈がないですか」
「もう一回負けると本当にまずい」
 艦長は深刻な声で言った、見れば彼にしても中佐にしてもカードを動かす手が遅い。彼等も士気が落ちているのだ。
「若しな」
「もう一度ですね」
「負けるとな」 
 その時はというのだ。
「まずいからな」
「次はですね」
「勝たないとな」
「そうですね、しかし」
「士気が落ちている軍隊が勝つことはな」
「しかも数はこちらが少ないです」
「それで勝つことはな」
 どうしてもというのだ。
「辛い」
「そうですね」
「だからだ」 
 それだけにというのだ。
「次の戦いは厳しいぞ」
「勝つことは」
「勝てば士気が上がってな」
 落ちているそれがというのだ。
「盛り返すことも可能になるが」
「それでもですね」
「それが難しくなった」
 今のティムール軍にはというのだ。
「どうしてもな、だが負けて国がなくなってもな」
「戦死しなかったらですね」
「別に俺達も家族もどうにもならない」
「オムダーマン軍に入るだけですか」
「それだけだ」 
 サハラではそうなっている、滅ぼされた国の軍隊は滅ぼした国に編入され将兵達もその国の軍隊の下で戦うのだ。
 だからだ、艦長もこう言うのだ。
「だからだ」
「あくまで戦死しなかったらにしても」
「生きているとな」 
 それならというのだ。
「国がなくなってもな」
「命はですね」
「ある」
 そうだというのだ。
「仕事もな」
「そのことは安心していいですね」
「まだな」 
 こう中佐に話した。
「俺も祖国がティムールに入ってな」
「それで、ですか」
「今はティムール軍にいる」
「それは俺もですよ、俺の国はハサンの属国の一つでしたが」
「その国がティムール領になってか」
「ティムール軍に入って」
 そうしてというのだ。
「今ここでカードをしています」
「そういうことだな」
「艦長と同じですね、国から国へ」
「サハラはな」
「軍人も移っていきますね」
「国が滅んで興ってな」
 その中でとだ、艦長はまた言った。 
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