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星河の覇皇

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第八十四部第一章 梟雄の復活その四

「もう確実に二倍以上開いてるな」
「それ位差があると辛いな」
「流石にな」
「開戦当時はそこまでなかったからな」
「流石に二倍までは行かなかったからな」
「それが二倍超えたんだ」
 二倍までいかないのと二倍を超えるのとでは相手にする方は心理的負担が違う、例え一・九倍と二倍ではあまり変わらないが数字から受ける心理的負担が少し違うだけで数字が一から二になるだけで全く違うのだ。
 それでだ、彼等も話すのだ。
「辛いな」
「二倍以上の敵が相手か」
「しかも損害も増えてるしな」
「満足に動ける艦どれだけだ」
「今の時点で八割ないな」
「それだけだとな」
「冗談抜きで辛いな」
 こちらのことからも心理的負担がかかっていた。
「早く修理してな」
「整備もしてな」
「二倍以上の敵に戦わないとな」
「早く何とかしないとな」
「本当に駄目だな」
「さもないと飯もまずい」
 今の様にというのだ。
「何食ってもな」
「勝ってる時の飯は美味いけれどな」
「負けてる時は本当にまずいな」
「食うのが数少ない楽しみだってのに」
 戦いの時はだ、このことは古来より変わらない。食事は戦場における非常に数少ない楽しみの一つなのだ。
「それがな」
「まずいとな」
「もう嫌になるな」
「次どうして勝つか」
「また負けると現実として後がないだろ」
「ティムールの敗戦見えてくるぜ」
「そうなりかねないしな」
 だからだというのだ。
「ここはな」
「何とか勝たないとな」
「しかしあの魚雷攻撃がな」
「冗談抜きでやばいな」
「どうしたものなんだ」
 ティムール軍の兵士達の言葉は暗かった、赤い軍服の兵士達は今は負け戦を感じその中で士気が落ちていた。
 将校達もそれは同じだった、ある空母の飛行隊の総指揮官である中佐は大佐である艦長とポーカーをしつつ言った。
「パイロットの士気がです」
「落ちていてか」
「はい、下士官のパイロットもですが」
 サハラでは下士官のパイロットも多い、この辺りはパイロットは士官である連合やエウロパとは違う。
「士官のパイロットもです」
「そうか」
「何とか鼓舞していますが」
「上がらないな」
「どうにも」
 こう言うのだった。
「やはり二度の敗北がです」
「大きいな」
「下士官のパイロットも元気がなくなって」
「士官の者達もか」
「士官はこうした時も教育を受けていますが」 
 士気が落ちない様にだ、平常心を保つ様に教育を受けているのだ。
「兵士以上に、ですが」
「二度の敗北はな」
「やっぱり大きいですね」
「負け戦はこんなものだ」
 艦長は中佐に苦い顔で言った。 
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