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神々の塔

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第十八話 文化的英雄その五

「極めてな、しかしな」
「それでもやね」
「その直後はな」
「立ち上がるけど」
「その瞬間はな」
 まさにその時はというのだ。
「無防備になる」
「そやからやね」
「その時をな」
 まさにというのだ。
「攻めたらええ」
「そういうことやね」
「そういえばタイ=カップの武器は巧打とな」
 シェリルも言ってきた。
「足やった」
「俊足にスライディングや」
「それで私等にも使ってきてる」
「武器はな」
 その者にとってというのだ。
「裏返すとな」
「弱点になる」
「そや」
 リーはシェリルにも話した。
「そういうことや」
「それはタイ=カップも同じやな」
「しかもこの人気性がな」
「随分荒いな」
「それで有名やった」
 観客席から罵倒してきた車椅子の人をわざわざそこまで駆け込んでいって殴打し大変な騒動になったことがある、その他にもこちらでの逸話が多い人物だった。
「そやからな」
「その短気さもやな」
「使う、ええな」
「わざと怒らせて」
「そしてや」
 そのうえでというのだ。
「冷静さを失わせてな」
「戦うな」
「そうしてくべきや」
 こう言って実際にだった。
 一行はあえて機動力を使ってタイ=カップの周りを動き小規模な攻撃をちくちくとした感じで行った、すると。
 リーの読み通りだ、彼は。
 顔を赤くさせて怒った、そして。
 スライディングを多用してきた、リーはそれを見て言った。
「ここや」
「わざとスライディングをさせてな」
「そしてや」
 リーは今度はメルヴィルに話した。
「それをかわすか防いでな」
「受けるダメージを最低限にするか」
「そうもしてや」
 そしてというのだ。
「そのうえでな」
「スライディングの後の」
「無防備になった」
「その時を狙うな」
「そうしてダメージを与えていってた」
「倒すな」
「そや」
 まさにというのだ。
「ええな」
「よし、そうするか」
 メルヴィルはタスラムを右手にやって言った。
「ここは」
「そや、戦うで」
「そうしよな」 
 こう話してそしてだった。
 十人でタイ=カップのスライディングをかわすか術と防御で受けるダメージを最低限にしてだった。
 彼が立ち上がったその無防備になる時に集中攻撃を続けてだった、遂にこの荒ぶる野球の神霊を倒した、すると。
「褒めてやるぜ」
「えっ、タイ=カップが褒めたんかいな」
「この人褒める時は褒めるさかいな」
 メルヴィルは驚いた中里に言った。 
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