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星河の覇皇

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第八十三部第五章 謎の兵器の正体その二十九

「そうなっていますね」
「ご存知でしたか」
「耳に入っていました」 
 八条は議員に微笑みつつ答えた。
「少しですが」
「そうでしたか」
「日本だけでなくです」
 八条はさらに話した、見れば箸の先は殆ど濡れていない。
「各国の情報も」
「そうですか」
「そして日本もそうですが」
「各国もというのですね」
「近頃中央政府の勢力の伸張が大きいので」
「市民感情としてはそうしたものが出ていて」
「それで、ですね」
「各国が連衡して」
 そしてというのだ。
「特に議会においてです」
「中央政府に対そうとしているのですね」
「そうです」
 議員は漆塗りの見事な杯で上等の日本酒を飲みつつ八条に応えた。
「そのことをお話しますが」
「そうですか、情報を有り難うございます」
「はい、ですが長官は既に」
「いえ、私は動くことはないです」
 八条は議員に微笑んだまま答えた。
「国防省の職務に専念します」
「そうですか」
「首相がことにあたられるとのことです」
「アッチャラーン首相がですか」
「はい」
 その彼がというのだ。
「ですから」
「それで、ですか」
「私がこの件に関わることはありません」
「そうなのですか」
「私が関わると思われていましたか」
「いえ、ただ」
 議員は実は八条が動くのではと考えていた、実は彼は各国の権限を強くすべきという分権派であり八条が動くと見て彼の考えを探りに来たのだ。
 だが彼の今の返事を聞いてだ、内心予想が外れたのかと思いつつそのうえで彼との話を続けることにしたのだ。
「お話をさせてもらっただけで」
「そうですか」
「はい、ですが首相ですか」
「あの方が動かれるとのことです」
「そうでしたか」
「また申し上げますが」
 八条も酒を飲む、二人共正座し礼儀正しく飲んで食べている。
「私は国防省の責務にです」
「専念されますか」
「今もそうしていますし」
「これからもですね」
「そのことは変わりません」 
 こう議員に話した。
「連合を安全な国にする為に」
「そうですか。ですが」
「ですがといいますと」
「我が国の日本軍は」
「何かありますか」
「今の十個艦隊で充分でしょうか」
 増強、それを隠しての言葉だった。
「果たして」
「ご安心下さい、連合全体の国防をです」
「中央政府軍が担うと」
「ですから」
「日本軍は今の規模でよいと」
「そうではないでしょうか」
「そう言われますか、確かに」
 議員は内心流石に八条は手強いと思いつつも内心をここでも隠し飲みつつ述べた。 
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