夢幻水滸伝

「わいもこの世界にまだ慣れてへんしな」
「だからですか」
「まずは何かの仕事をしてな」
「そうしてですか」
「この世界を肌身で知って」
　そうしてというのだ。
「コツコツと働いてな」
「それからですか」
「大きなことをしたい」
「そうですか」
「そやからな」
　だからだというのだ。
「今はな」
「旗揚げではなく」
「何か仕事をしてな」
「それで生計を立てられますか」
「そうしたいわ、それにいきなりわいが棟梁になってな」
　そうしてともだ、ホーソーンは話した。
「ステータスはどうでも何を出来るか未知数やろ」
「そうですね、それは」
　綱元もそれはと応えた。
「いきなり市長さんになることも」
「ないですよね」
「ぽっと出の若者が立候補しても」
「幾らレベルやステータスがよおでも」
「何なんだこいつはと」
　そう思ってというのだ。
「不思議に思われて」
「それで、ですね」
「投票しません」
「そうなるからです」
　だからだというのだ。
「わいはまずはです」
「仕事をしてですか」
「それからです」
「旗揚げをですか」
「経験を積んでそこでの仕事振りを見てもらって」
　そうしてというのだ。
「どうかと判断してもらって」
「それからですか」
「いけると思って思ってもらったら」　
　そのうえでというのだ。
「旗揚げしたいです」
「そうですか」
「ほなまずはです」　
　ホーソーンはあらためて述べた。
「この港を取り仕切る」
「そのお仕事をですね」
「やらせてもらいます」
「では市長さんにもお話しますね」
「わいも行きます」
　ホーソーンは自らもと言ってだった。
　綱元それに船乗りと共にノーフォークの市庁舎に行きそこで綱元の案内を受けてゴーレムの年老いた男の市長と会った。市長は地味な色のスーツ姿だった
　市長は綱元の話を聞いてだ、ホーソーンを見て言った。
「私も最初からです」
「旗揚げしてもですか」
「いいと思いますが」
「まあいきなりというのはです」
「よくないからですか」
「はい」
　綱元にも言うのだった。
「そうしたいです」
「最初は港の責任者ですか」
「実は人夫なり甲板の水兵なりをです」
「そのお仕事をですか」
「やらせてもらおうと考えていました」
「その能力では十万の兵に匹敵してです」
　市長は自分の考えを実直に述べたホーソーンにどうかという顔で話した。
「一国を治められますが」
「そうですか」
「そうした肉体労働に従事することもいいですが」
「わいの場合はですか」
「そこまでの力がおありなので」
　星の者ならではとだ、市長は言葉のなかでこうも言って話した。