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新オズのカボチャ頭のジャック

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第九幕その十

 ふとです、かかしが気付きました。
「テントウムシがいるね」
「そうだね」 
 樵も気付きました、見ればです。
 畑の近くの草原に沢山います、ただ数が多いだけでなく。
 種類も色々です、そのテントウムシ達を見て農作業をしつつ言うのでした。
「幸せな気分になるね」
「テントウムシを見ているとね」
「自然とね」
「そんな気持ちになるね」
「何ていうか」
 ジャックもテントウムシ達を見て思いました。
「自然とね」
「テントウムシはね」
「幸せの象徴に思えるね」
「その模様を見ているとね」
「星みたいなそれを見ていると」
「外の世界では有り難い虫って言われています」
 こう言ったのは恵梨香でした。
「畑を荒らす悪い虫を食べてくれる」
「それでだね」
「有り難く思われているんだね」
「はい、アブラムシがいますと」
 畑の作物の茎等に出る。
「食べてくれます」
「そうしてくれるからだね」
「テントウムシは有り難いんだね」
「はい、ただアブラムシはそう言われていますが」
 畑を荒らす悪い虫と、です。
「それって青虫もなんですよね」
「そうだね、あの虫はね」
「外の世界ではそう言われているね」
「そうなんですが」
 それでもというのです。
「その青虫が蛹になって」
「大人になるとね」
「蝶々になるんだよね」
「奇麗な。子供の頃は嫌われていても」
 害虫とも思われてです。
「大人になるとですね」
「愛されるね」
「奇麗だって」
「そうなるね」
「青虫はね」
「不思議ですね」
 このことがというのです。
「本当に」
「そうだよね」
「何かとね」
「子供の頃は気持ち悪いとか畑を荒らすとか言われて」
「嫌われてね」
「忌まれているね、外の世界では」
「ですが大人になったら」
 蝶々になればというのです。
「皆に好かれるなんて不思議ですね」
「それっておかしいよね」 
 ジャックは恵梨香のお話を聞いて思いました。 
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