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仮面ライダーBLACK RX〜ネオゴルゴムの陰謀〜

作者:紡ぐ風
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第十七話『復讐の怪魔異星獣』

 「ご苦労だったわね、エピメル。わざわざ時間稼ぎの役を買って出てくれるなんて。」
 ネオゴルゴム神殿の広間にて、リシュナルはエピメルを見下しながら現れる。
 「そういうリシュナルこそ、切り札の調整とやらは終わったのか?」
 エピメルはリシュナルの言葉に対して嘲笑うかのように言い返す。
 「ええ。お陰様で想定以上の仕上がりになったわ。」
 リシュナルは誇らしげに話す。
 「それなら見せてもらおうか。貴様の言う切り札とやらを。」
 エピメルは挑発するかのようにリシュナルに言う。
 「勿論、今度の作戦に早速投入しようと思っていたわ。来なさい!」
 リシュナルの言葉を聞き、巨大なミジンコのような姿をした怪物が広間に現れる。
 「貴様、ネオゴルゴムのメンバーではないな!何者だ!」
 エピメルは怪物を睨む。
 「俺はゲドリアン様の懐刀にして、クライシス帝国最強の身体掌握能力の持ち主、怪魔異星獣ノルゾトルゾだ!」
 怪物の正体はかつて仮面ライダーBLACK RXの活躍によって滅ぼされたはずのクライシス帝国の尖兵であった。
 「リシュナル、こいつは一体どういうことだ!」
 エピメルはリシュナルに対して怒鳴り声を上げる。
 「こやつは私が発見したクライシス帝国の唯一の生き残り。かつて南光太郎がクライシス皇帝を倒した際にクライシスの尖兵と民は皇帝と最後を共にした。しかし、それは怪魔界に待機していた者のみ。このノルゾトルゾはその決戦の最中で唯一、地球での潜伏活動を行っていたことで死を免れたのよ。」
 「それは解ったが、それが何故ここに居るのだ。」
 「こやつを捕まえた私は洗脳し、我らの手駒にすることに成功したのよ。」
 リシュナルはニヤリと笑う。
 「成るほど、クライシス帝国の力、それこそがリシュナルの切り札ということか。」
 二人の話を聞いていたクリムゾンエクリプスは納得し、頷く。
 「おお!流石はジャーク将軍!お目が高いです!」
 ノルゾトルゾはクリムゾンエクリプスに頭を下げながら理解の出来ないことを言う。
 「む、こやつの発言、どういう事だ。」
 クリムゾンエクリプスはリシュナルを見ながら言う。
 「私がこのノルゾトルゾに施した洗脳は、我らネオゴルゴムの世紀王と大怪人をクライシス帝国の将軍と隊長に見えるようにすることで成功したので、その影響で脳の機能がおかしくなっているだけです。」
 「そうか。作戦の実行に問題はないのだな?」
 「勿論ですとも。ノルゾトルゾ、お前の力で信用ある立場の人間共を暴れさせ、信用を失墜させるのだ。」
 リシュナルはノルゾトルゾに指示を出す。
 「畏まりました、マリバロン様。必ずや人間社会を混乱させてみせます。」
 ノルゾトルゾはリシュナルを見ながら宣言し、行動を開始する。
 「リシュナル、切り札を使うほどのことだ。しくじれば、解っているな?」
 クリムゾンエクリプスはリシュナルに対して忠告するように言う。
 「はっ、その覚悟の上です。」
 リシュナルは強気な発言をするが、内心は恐怖心に支配されていたであった。

 それから数日後、弁護士連盟の会長、警視総監、官房長官を始めとした責任ある職務を任された人達による暴行事件が相次ぎ、ワイドショーは事件の関連性について連日取り上げていた。
 「なあ兄貴、この事件、明らかに怪しくないか?」
 「怪しいといえば怪しいが、ネオゴルゴムが関係しているとはまだ断言できない。接待中での出来事だから飲酒が原因の可能性だって十分にありえる。それでも、警戒するにこしたことはなさそうだ。それより、霞のジョーと響子ちゃんには買い出しに付き合ってもらいたいんだけど、いいかな?」
 「別に構わないよ。なあ、響子?」
 「そうね。おいしいコーヒーを飲ませてもらっているんだもの。それくらいいいわ。」
 二人からの了承を得た光太郎は着替え、三人で買い出しに出かけた。
 「それにしても、この間は怪人が軍団になって暴れていたってのに、街はすっかり平和になったなぁ。」
 霞のジョーは荷物を軽々と持ちながら話し出す。しかし、
 「おらっ!邪魔なんだよ!」
 「待て!俺達、親友じゃなかったんかよ!」
 「誰が親友だって?くだらねえな!」
 路上で突然男性二人による取っ組み合いが始まる。
 「二人とも、落ち着くんだ!」
 光太郎の仲裁により片方の男性は落ち着くが、
 「げっ!南光太郎!どうして貴様が!」
 もう片方の男性は光太郎の顔を見て驚き逃げる。
 「待つんだ!」
 光太郎は男性を追いかけ路地裏へ向かうと、そこには倒れている男性とノルゾトルゾの姿があった。
 「お前は、ネオゴルゴム怪人か!」
 「ネオゴルゴム?下らない。俺はクライシス帝国真の最強の怪魔異星獣、ノルゾトルゾ様だ!」
 光太郎の問いかけに対し、ノルゾトルゾは誇らしげに名乗る。
 「怪魔異星獣だと!クライシス帝国はこの手で倒したはずだ!変身!」
 光太郎はRXに変身し、ノルゾトルゾに掴みかかる。
 「訳のわからないことを言うな!マリバロン様の指示により、俺は任務の最中だ!クライシス帝国が滅んでいるはずがない!」
 ノルゾトルゾは三つ又の鞭状の両腕をRXに叩きつけ、RXを振りほどく。
 「明らかに様子がおかしい。どういう事だ?」
 RXが警戒していると、
 「響子、しっかりしろ!如何したんだ!」
 歩道の方から霞のジョーの声が聞こえ、RXが向かうと、響子が圧縮した水圧弾を使い街を襲撃していた。
 「響子ちゃん!しっかりするんだ!」
 RXも必死に呼びかけるが、響子は反応することなく襲撃を続ける。
 「見たか!俺の手にかかれば人間の1人くらい簡単に操り人形にできるのさ!」
 「まさか、ここ数日の事件も!」
 「如何にも!俺の能力で暴れさせたのさ!」
 ノルゾトルゾは大きく笑う。
 「貴様!」
 RXはノルゾトルゾに近づこうとするが、響子によって背中に水圧弾を受けて怯む。
 「迂闊に近づけばこの女の命はないと思え!この女はまだ使いみちがありそうだ。もらっていくぜ!」
 ノルゾトルゾはその隙に響子とともにどこかへと去ってしまった。
 「くっ!」
 光太郎は変身を解除し、悔しさで拳を握りしめている。
 「まさか、クライシスに生き残りがいたなんて、想像できなかったぜ。」
 自責の念に駆られる光太郎に対して霞のジョーは励ますように言う。
 「それより、まさか響子ちゃんが狙われるなんて。」
 「あいつの性格は相当好戦的みたいだし、響子が殺されるってことはないだろう。」
 「だといいが…」
 光太郎達は響子の安否を心配することしかできずにいた。

 「南光太郎の仲間を捕まえただと!?でかしたぞ、ノルゾトルゾ。」
 「マリバロン様にお褒めいただき、有難き幸せです。」
 ネオゴルゴム神殿の広間ではノルゾトルゾに肉体を支配されている響子が誇らしげに話していた。
 「確かそやつは水を操る超能力が扱えたな。ノルゾトルゾ、その力で人間を襲うのだ。」
 ソフィルはノルゾトルゾに指示を出す。
 「おお、ボスガン様にも認めていただけるとは。早速、実行に移ります!」
 ノルゾトルゾはソフィルの命令通りに人々を襲うために行動を開始する。
 「しかし、怪魔戦士とて、洗脳されて我らのことをクライシスの侵略軍と錯覚して忠義を尽くすために行動している姿を見ると、哀れにも思えてくるな。」
 その後ろ姿を見たエピメルは鼻で笑いながら言った。

 それから数時間後、響子が現れ高圧水流を操りビルの破壊を行っていた。そこに光太郎が駆けつける。
 「ノルゾトルゾ、響子ちゃんを解放するんだ!」
 「誰がするものか!くらえ!」
 響子は水圧弾を連射し、光太郎を攻撃する。
 「こうなったら!変…身!」
  光太郎はその隙きを伺い、変身の掛け声を上げる。光太郎の変身の掛け声とともに体組織を変化させる変身ベルト、サンライザーが出現し、キングストーンと太陽、2つのハイブリットエネルギーが全身を駆け巡り、南光太郎はバイオライダーへと変身するのだ。
 「俺は怒りの王!RX、バイオライダー!」
 バイオライダーは名乗るとすぐにゲル化し、響子の体内に侵入し、脳細胞に到達する。
 「げげっ!バレてしまったか!」
 ノルゾトルゾは追いかけてきたバイオライダーに気づき、響子の体内から脱出し、それを追うようにバイオライダーも抜け出してゲル化を解除する。
 「響子ちゃん、大丈夫か!」
 「ありがとう、光太郎さん。」
 バイオライダーは響子を逃がす。
 「人の体を乗っ取り、信頼を壊す貴様を、絶対に許さん!バイオブレード!」
 バイオライダーはバイオブレードを出現させる。
 「こんな時に何故チャップ達はやって来ないんだ!」
 ノルゾトルゾは苛立ちながらバイオライダーへ向かい腕を振るう。
 「言ったはずだ!クライシス帝国はすでに滅んでいると!」
 「そんなことあるはずがない!俺が見たジャーク将軍と隊長達は幻影とでも言う気か!」
 ノルゾトルゾは激昂し攻撃が激化する。
 「お前はただ、ネオゴルゴムに操られているだけだ!」
 「馬鹿め!地球人なんかに操られる俺ではない!」
 ノルゾトルゾは自身の現状を認めることはなく攻撃を続けるが、バイオライダーに躱されてしまう。
 「ハァッ!」
 攻撃に気を取られ、防御をおろそかにしていたノルゾトルゾの胴体にバイオライダーは必殺のスパークカッターを放ち、ノルゾトルゾは爆散する。
 「よし。」
 バイオライダーは響子の方へ歩こうとする。しかし、突然ノルゾトルゾの腕がバイオライダーの身体を捕える。
 「なにっ!」
 「馬鹿め!この本体を破壊されない限り、俺は不死身なのさ!」
 ノルゾトルゾは胸部で蠢く青い液体状の物体を指しながら言う。
 「くっ!」
 バイオライダーはロボライダーへ変身する。
 「俺は悲しみの王!RX!ロボライダー!」
 ロボライダーは腕力でノルゾトルゾの腕を引きちぎる。
 「ボルティックシューター!」
 ロボライダーはボルティックシューターを握り、狙いを定める。
 「撃たせるものか!」
 ノルゾトルゾは全身に本体を動かして当たらないようにさせる。しかし、
 「フンッ!」
 ロボライダーの精密射撃によって放たれる必殺の一撃、ハードショットがノルゾトルゾの本体に直撃する。
 「馬鹿な!クライシス帝国が、滅びるものか!」
 ノルゾトルゾは最後までクライシス帝国の滅亡を信じることなく撃破されていった。

 「切り札とやらも敗れたな。リシュナル、解っているな。」
 「はっ、かくなる上は…」
 クリムゾンエクリプスからの最後の通告を受けたリシュナルは悔しそうな声を上げていた。
 続く

 次回予告
 ついにリシュナルによる破壊活動が活発になる。嵐舞う中、リシュナルとの決戦の時が来る。『文明を喰らう嵐』ぶっちぎるぜ! 
 

 
後書き
 怪人図鑑
 ノルゾトルゾ
 身長:228cm
 体重:132kg
 能力:アメーバ状の本体、本体を利用した身体掌握、鞭のような両腕
 怪魔異星獣大隊に所属していた怪魔戦士の一体でミジンコのような姿をしている。その本体は胸部で蠢く青いアメーバのような姿をしている。クライシスの潜伏任務を任されており、クライシス帝国の滅亡を知らずに活動を継続していたところをリシュナルによって鹵獲され、洗脳を受けたことでネオゴルゴムの操り人形となってしまう。また、その影響によってクライシス帝国の幻影を見るようになってしまった。 
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