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FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
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バトルオブフェアリーテイルinドラシール

 
前書き
漫画で読むのとアプリで読むのとで雰囲気が全然違う。
漫画の方が読みやすい感じがしますww 

 
それから長時間列車に揺られていた俺たちだったが、目的地に着いたようで逃げるように駅から出る。出た瞬間、眼前に広がる光景を見て俺たちは感嘆の声を漏らした。

「すげー!!」
「うわー!!」
「クロックスより大きいんじゃない?」

ギルティナ大陸最大の都市とは聞いていたけど、今まて見てきたどの街よりも大きい。人もたくさんいて大変な賑わいが感じられた。

「人が多いな」
「迷子にならないでよ、ウェンディ、シリル」
「善処します」
「え?私?」

シャルルの言葉に俺はレインヒルでのこともあるので言い返すことができない。ウェンディは不満げだけど、シャルルの中ではいまだに彼女は子供のような感覚なのかも・・・いや、今も子供なんだけどさ。

「見てくださいグレイ様!!あそこのパン屋可愛い!!」
「お・・・おう」

100年クエストに挑んでいる俺たちの元に合流してきたジュビアさん。彼女は《グレイ様センサー》でここまで来たと言っていたけど、その本人は何か怪しんでいるようで表情が暗い。

「さて、まずは宿だ」
「あいさー!!」
「せっかくだから大きいところにしよーよ」
「賛成~!!」
「そんなお金どこにあるのよ」
「小さいのでいいよ」
「あの・・・ナツさん?」
「なんで私たちの方を見るんですか?」

ナツさんの失礼な視線に困惑する俺とウェンディ。彼は何か言いたげだったがそれ以上は何も言うことなく、この場から一番近い宿を探すことにした。
















「100年クエストの内容は言えない?」

宿についた俺たちはジュビアさんに100年クエストの内容を聞かれたのだが、そのように返答するしかなく彼女は不思議そうな顔をしていた。

「せっかく来てもらったのにすまないな、こればかりは契約で仕方ないんだ。妖精の尻尾(フェアリーテイル)の名を背負っている以上、契約は破れない」
「はい・・・大丈夫です」

エルザさんの説明に残念そうな表情をしていたけど、事情が事情なためわりとすんなり納得してくれたようだ。

「でも、そうなるとあたしたちと一緒に行動できなくなっちゃうんじゃない?」
「メンバーに加えればいいじゃん」
「いや、一度した契約は絶対だ」

契約書にサインしてしまった以上、そこからの変更をすることはできない。それにこの依頼の内容を言って広まってしまったらパニックになりそうだし、エルザさんの判断が正解だろう。

「ジュビアはすぐに帰りますよ。グレイ様の顔を一目見たかっただけですから」

仲間外れにしてしまったかと思ったけど、彼女はグレイさんに会えただけで満足だったようで、隣に座る彼に寄り添い満面の笑みを見せている。

「おとなしく待ってろよ」
「ちゃんと帰ってきてくれます?」
「そりゃ帰るよ、いつかは」

ジュビナさんを見かけた直後は彼女のことを思い出して呆けてた癖に、本人が目の前に来ると冷たい対応をするグレイさん。恋愛についてなんか考えてたことを彼女に伝えようかな?大きい声で。

「ジュビア心配で心配で」
「大丈夫よ、あたしたちが一緒だし」
「ルーシィが近くにいるのが一番心配で・・・」
「大丈夫よ・・・そっちも」

フォローしたはずがより彼女への不安の種を蒔いていたルーシィさん。じとーっとした目で睨まれた彼女は額に汗をかきながら否定していた。

「シリル!!二人がいちゃつかないように見ててください!!娘として」
「はい!!お姉様!!」
「何から突っ込めばいいんですか?」

ジュビアさんから使命を授かったので敬礼して返事する。娘呼ばわりはこの際面倒くさいのでスルーするが、ウェンディはこのやり取りを見て頭を抱えていた。

「じゃあ仕事の情報集めは明日からってことで」
「うむ。今日はパーっとやろう!!」
「「「「「わーい!!」」」」」

せっかく来てもらったジュビアさんにも楽しい思い出を作ってもらおうということになり近くのお店へと入った俺たち。しかしこの人たち、例のごとく酒癖が非常に悪いこともあり、俺とウェンディ、エクシードトリオ以外がお酒に手を伸ばしてしまったがためにうるさくなりすぎてしまい、お店から追い出されてしまったのだった。

「お前があんなに騒ぐから追い出されたんだ!!恥ずかしい」
「俺だけのせいじゃねぇだろ!!」

追い出されたことの責任を押し付け合っているエルザさんとナツさん。ただ、辺りはずいぶん暗くなっており、意外といいタイミングで切り上げられたのではないかとも思えてしまう。明日から情報集めをしなきゃいけないしね。

「どうしたんですか?ルーシィさん」

前を歩く二人は喧嘩を始めそうだし、後ろにいる二人はイチャイチャしていると思っていたところ、ウェンディが地図を見て何かを考えているルーシィさんへと声をかける。

「うん。ちょっとこの街の地図見てたんだけど、なんかこの街、面白い形してるのよね」
「面白い形?」

ルーシィさんの言う面白い形と言うのが何なのか気になった俺は後ろでピョンピョンと跳び跳ねながらそれを見ようとする。なかなか見えずにいると、気の毒に思ったのかルーシィさんが俺が見える高さに地図を下ろしてくれた。

「あれ?この形・・・」
「何か見たことがあるような・・・」

どこかで見たことがあるような気がする街の形。いや、厳密に言えば街の周りの土地の形が何かに見える。

「ジュビア!!」

それが何なのかを頭の中で検索していたところ、突然後ろにいたグレイさんが大きな声を出す。そちらを向くと彼の腕の中で意識を失っているジュビアさんが目に入る。

「グレイさん!?」
「どうしたの!?」
「ジュビアさん!!」

慌てて二人に駆け寄る俺たち。その間もグレイさんは気を失っている彼女に懸命に声をかけていると、今度は大きな音を立てて周囲が揺れ始める。

「何の音!?」
「うわ!!」
「ヤバッ!!」
「地面が・・・」
「何だこれは・・・」
「地震!?」
「大きいわよ!!」
「すごい揺れ~!!」

巨大な地震の襲来なのかと思っていた。しかし、それとは明らかに違うところがある。

「いやこれは・・・」
「地面がせり上がって・・・」
「なんなんだこの街はー!?」

地面が傾いているような感覚を抱く俺たちはとにかく大慌て。しかし、そんな俺たちとは全く違う反応をしている人たちがいる。

「てか・・・街の人・・・みんな平気なの!?」

この街に住んでいる人たちはこの異常事態に慌てる様子もなくその場に座ったり寝転んだりしている。取り乱す様子のない彼らに俺たちは驚愕させられる。

「あらあら旅の人かい?何の前情報もなくドラシールに?」

あわてふためいている俺たちを見て声をかけてくれたのは見るからに優しそうなお婆さん。

「何なんですかこれはー!?」
「私たちは毎日同じ時間にこれだから時報みたいに扱ってるけど、初めてじゃびっくりするよね」
「毎日同じ時間!?」
「毎日こんなことになるんですか!?」
「大丈夫よ、すぐに止まるから。それより座った方がいいわよ」

慣れすぎてこの状況に焦ることもしないのかと思っていたところ、俺たちはバランスを崩しその場に尻餅をつく。その反動でルーシィさんが手に持っていた地図が宙へと舞い上がる。

「大地に・・・いいえ、大いなる木々に祈りを込めて・・・」
「木々?」

お婆さんの言っていることの意味がわからずにいると宙に舞った地図を見て、ルーシィさんが何かに気が付いたらしい。

「この街の・・・形・・・手だ」
「手?」

そう言われてようやくその見覚えのある形が何か気づく。そしてさらに追い討ちをかけるように俺たちを大きな影が覆う。

「何?この影・・・」
「ま・・・まさか私たちのいる場所は・・・」

その影が何なのか確認するために顔を上げる。

「そうよ、手。ドラシールの右手・・・いいえ、木神竜アルドロンの右手部分の街」

俺たちを覆っている影の正体は身体を起こした巨大なドラゴンにより光が遮られたことによるもの。そのドラゴンの顔は俺たちの位置からでもわかるほどに巨大なものだった。

「アルドロン・・・」
「これが五神竜・・・」
「手の上に街が・・・?」
「てか・・・あたしたち・・・」
「アルドロンの上にいるんですか・・・?」

世界一巨大なドラゴンとは確かに聞いていた。だが、それを知っていてもこのサイズには恐怖を感じずにはいられない。

「デケェとは聞いてたけど・・・デカすぎだろ?」

さすがの大きさに全員が言葉を失う。あまりの衝撃に俺たちはしばらくの間、その場から動くことができなかった。


















あまりにも巨大なアルドロンに度肝を抜かれた俺たちだったけど、今はとにかく気を失っているジュビアさんを何とかしないといけないということになりホテルへと戻ってきた。ベッドに彼女を寝かせて様子を見ていたのだが、朝になっても彼女が目覚める気配がない。

「ジュビア大丈夫かなぁ」
「顔色は良さそうですけど・・・」
「ずっと眠っているな」

体調が悪くて倒れたわけでは無さそうなのでひとまずは心配無さそう。ただ、グレイさんは気になっていることがあるようで・・・

「何か様子がおかしかったんだ。白魔導士に気を付けろみてーなことを言っていた」
「白魔導士?」
「どこかで聞いたような・・・」
「え~・・・」
「忘れちゃったんですか?」

結構最近聞いたことのはずなのにナツさんとハッピーは忘れていたらしい。そんな二人にウェンディとシャルルが説明してくれる。

「カラミールさんから聞いた言葉です」
「確か水神竜の力を抑えるために頼みにいったとか・・・」
「なんでジュビアの口からその白魔導士が・・・」
「まさかギルドに何かあったのか?」

あまりにもタイミングが良すぎる気もするけど、ただ気になるのはジュビアさんがなぜそのことをギリギリまで俺たちに言わなかったのか。たぶんここまで来たのもそれを伝えるためだと思うんだけど、そんな大事なことを忘れるような人ではないだけに理解ができない。

「とにかくジュビアのことはしばらく様子を見よう。目を覚ませばまた何かわかるかもしれねぇ」

心配そうな表情を見せるグレイさん。なんやかんや言いつつちゃんと彼女のことを最優先で考えている彼はもしかしたらツンデレなのかもしれない。

「私たちはアルドロンのことも考えねば」
「ここがそのアルドロンの上なんだけどな」
「まさか探してたドラゴンの上に街があるなんて・・・」
「それもギルティナ一の巨大都市ですもんね」

水神竜さんから聞いていた時はまさかこんなことになるとは思っていなかっただけにこれは驚くことしかできない。

「しかもここと同じ規模の街が左手・背中・両肩・・・計5つ。スケールが大きすぎて訳がわからないわね・・・」
「まぁぶん殴ることはできるだろ」

クロックスよりも大きい街が他に4ヶ所・・・それを聞いても楽観的なナツさんの頭が羨ま・・・いや、それは絶対ないか。

「そこなんだけどね、今回のドラゴンどうやって封じるかって前に、封じて大丈夫なのかってのが一番の問題点なのよ」

これからこの巨大なドラゴンをどう対処しようかと考えていたところ、ルーシィさんから思わぬ発言が飛び出し、俺たちはすぐに事態を理解した。ただ、ナツさんだけはわかっていなかったようですぐに追加の解説が入る。

「つまりこの街の人々はアルドロンと共存してるのよ」
「アルドロンが封じられることによってこの5つの街にも影響が出てしまうかもしれないと言うことか」

街と一体化している上にそれがこの大陸最大の都市。街だけじゃなく他の国にも影響を及ぼしかねないため、無闇に手を出していいのかわからないのだ。それを聞いたナツさんは衝撃を受けたような反応をしている。

「今回もあれか!?悪いドラゴンじゃない系か!?」
「ない系みたいだね」
「そうとも限らねぇ。まだ情報がなさすぎる」
「そうね。今後どうするにしろ、まずは情報を集めないとね」

アルドロンを封じるのか説得するのかを決めるために情報を収集をする班とジュビアさんを看病する班で別れることになった。俺は治癒魔法も使えるため今回は居残り組になったのだが、しばらくすると彼女はゆっくりと目を開いた。

「ジュビア!!」
「ジュビアさん!!」
「大丈夫ですか!?」

目が覚めた彼女はゆっくりと身体を起こしていく。その顔色はいつも通りなのだが、表情は暗い。

「ジュビア、白魔導士がどうのって言ってたけど・・・」
「グレイさん、もう少し落ち着いてから・・・」

焦る氷の魔導士は起き上がった彼女にすぐさま問いかけるけど、さすがにそれはと思い止めようとした。しかし、それを問いかけられた本人が制止する。

「みんな・・・白魔導士に操られているんです」
「「「!!」」」
「ジュビアは白魔導士の中にいるもう一つの人格、トウカさんの力でみんなに伝言を・・・」

聞いたところによると白魔導士の中にもう一人の人格があるのだが、その人は白魔導士がしようとしていることを止めるためにジュビアさんの意識を操り、ここまでやってきたらしい。

「どうも信じられねぇ話だが・・・」
「今はなぜかみんな生かされているけど、彼女の気分次第ではいつ殺されてもおかしくない状況にいるの。早くみんなを助けないと・・・」

実は白魔導士はすでに妖精の尻尾(フェアリーテイル)の皆さんの魔力を支配下に置いているらしい。それは意識すらも操ることができるようで、彼女の命令は絶対とのこと。

「みんなも今はこのドラシールの・・・聖右手(セントライシェン)教会にいます。そこにルーシィたちも連れられて・・・」
「「「!!」」」

どうやらトウカさんの持っている情報はリアルタイムでジュビアさんに共有されているらしい。もし本当にギルドの皆さんが来ているとなると、いくらナツさんたちでも分が悪い。

「早く助けに行きましょう!!」
「うん!!」
「そうだな」

運良く俺たちはまだ操られていない。その俺たちが合流できればなんとかできるはず。

「ジュビアも行きます!!」
「お前は休んでろ」
「いいえ・・・ジュビアも妖精の尻尾(フェアリーテイル)の一員ですから」

仲間の命がかかっているとなればいても立ってもいられないとのことでジュビアさんも一緒に行くことになった。俺たちはすぐに準備を済ませると、皆さんがいるという教会へと走り出した。


















「あれです!!」
「ナツさんたちの匂いもします」
「他の皆さんのも」

目の前に見える教会へと駆け込む。すると中ではすでにナツさんたちが白魔導士と思われる少女と接触しており、何やら魔法をかけられている。

「状態異常無効化!!レーゼ!!」

扉を開けると同時にウェンディが魔法を放つと脱力しかけていた皆さんの顔色が正常なものへと変化する。

「ウェンディ!!」

安堵の表情を見せるナツさんだけど、まだ敵との距離は近い。そのため俺とグレイさんは彼らの前に出るとすぐさま魔法を放つ。

水竜の盾(ウォーターシールド)!!」
「アイスメイク・・・(ウォール)!!」

二人の魔法を組み合わせ敵との間に巨大な氷の壁を作る。分厚さも相当なものにできたため、さすがにこれを壊すまでには時間を有することだろう。

「グレイ!!シリル!!」
「皆さん!!一回退いてください!!」
「みんな操られてるの!!」
「一度立て直そう~!!」
「ジュビア!!シャルル!!セシリーも」

ホテルで待っていたはずの俺たちが現れたことで困惑しているルーシィさんたちだけど、今は時間をかけることは難しい。氷の壁越しに見える皆さんの目は普段とは異なっており、敵意があるのがよくわかるからだ。

「これだけ分厚い壁なら・・・」
「そう簡単には壊せません!!」

一人では魔力の消耗が激しくなるけど俺とグレイさんの属性をうまく組み合わせれば消耗も抑えつつ巨大な壁を作れる。これで時間を稼いで対策を練ろうと考えていたところ・・・

「ラクサス」
「おう」

指示を受けたラクサスさんが氷の壁へと拳を突き刺す。すると、あれだけ分厚かった壁があっさりと粉砕されてしまったのだ。

「うにゃああああ!?」
「マジかぁ!?」

いくら氷の壁とは言え相当の厚さがあったはずなのにそれを簡単に壊されたことに同様を隠せない。ただ、次の指示がないと動けないためか、これ以上の追撃はない。

「逃げてください!!」
「退却よ!!」
「急いで~!!」
「くっそー!!」

操られている仲間がいるにも関わらず敵前逃亡するしかない俺たち。そのことに不甲斐なさを感じながらも、このままではどうしようもないことも確かなため、俺たちはこれからのことを考えるためにこの場から走り去るのだった。

















「全員の魔力を消したのか!?ギルド全員の!?」

事の顛末を話すとやっぱり皆さん俺たちと同様に驚いた反応をみせる。そりゃそうだ、だってそんなことができるなんてにわかには信じられないもん。

「バカな・・・あの娘一人にそんな力が・・・」
「みんな油断してたのもありますけど・・・あの白魔導士トウカさんには二つの人格があるんです。先程の全てを白く・・・と魔導士たちの魔力を消していってる"白魔導士"。ナツさんに好意を寄せてる純真な心を持つ"トウカ"さん。ジュビアも一度操られてしまったのですが、トウカさんが白魔導士にバレないようにジュビアだけを解放できたんです」

ジュビアさんが細かく説明してくれるが、ナツさんに好意を寄せている辺りからちょっと内容が頭に入らなくなってしまった。しかも彼は彼女のことを覚えていないようで、キョトンとしている。

「そして・・・知り得るすべての情報を伝えに皆さんの元に・・・」
「他にもあるのか?」

エルザさんの問いかけにジュビアさんが頷く。

「白魔導士は五神竜の白滅(ホワイトアウト)も企んでいました」
白滅(ホワイトアウト)?」
「白く染めると言っていたことです。白滅(ホワイトアウト)状態では全ての魔力は白魔導士に管理されます。無から最大まで白魔導士の思うがまま・・・さらに自我までも操ることができるのです」

その結果があの時のラクサスさんたちってことか。確かに彼らは自分たちの意志を持って行動しているようには見えなかった。完璧な操り人形っていったところだろうか。

「五神竜の白滅(ホワイトアウト)計画、その第一歩が水神竜メルクフォビア」
「カラミールが白魔導士に頼んだって言ってたけど・・・」
「それが引き金だったかもしれないけど、どちらにせよ白滅(ホワイトアウト)されてたのね」
「利用されちゃった感じか~」

カラミールさんの方から働きかけてくれたのは白魔導士からすれば願ったり叶ったりだったわけか。でも水神竜さんも意識も魔力も操られていたことを考えると、どんな魔導士だろうと彼女は支配下に置けるということはわかるな。

「白魔導士は水神竜の力を使って他の四頭を白滅(ホワイトアウト)しようとしていました。しかし水神竜が敗れてしまったことで計画を変更せざるを得なかったのです」
「「「「「!?」」」」」
「五神竜を白滅(ホワイトアウト)する力として水神竜の代わりに選ばれたのが妖精の尻尾(フェアリーテイル)です。運が良かったのか悪かったのか・・・本来白魔導士は妖精の尻尾(フェアリーテイル)を全員白滅(ホワイトアウト)させたのち、文字通り消す・・・殺すつもりだった。
水神竜が敗れたことによって生かされているんです。今の・・・ギルドのみんなの命は・・・白魔導士に握られている・・・」

彼女の声が徐々に震え出す。あの時水神竜さんを倒したことは結果的には正解だったけど、今のこの状況は深刻といって差し支えない。

「みんなを助ける方法はねぇのか?」
「白魔導士を倒せれば助けられるかもしれませんが・・・」
「だったら!!」
「不可能です」
「え?なんでですか?」

あの白魔導士はそこまで魔力が高いわけではない。俺たちなら十分に倒すことはできると思ったが、ジュビアさんから否定され首をかしげる。

「言ったでしょ、みんなの命が握られている。ほんの一言"死ね"と命令するだけでギルドのメンバーは・・・全員・・・」
「そんな・・・」

ギルド全員が人質に取られているようなもののため迂闊に白魔導士に近づくこともままならない。どうすればいいのかと悩んでいると、足元が大きく揺れ始める。

「なんだ!?」
「また地面が・・・」
「つーか決まった時間じゃなかったのか!?」

アルドロンの伸びが始まったのかと思ったが街の人たちのこれに困惑していることから何かが違うことがわかる。しばらくして揺れが収まったかと思うと、今度は別の変化が訪れる。

「『これが右手のオーブ』」
「!?」
「ジュビア!?」
「待ってください!!」

様子がジュビアさんだが、目付きまで普段とは違う。彼女はなおも何かを話そうとしているため、止めようとしたエルザさんたちを制止して話を続けてもらう。

「『左手・右肩・左肩・背中・・・残り4つのオーブを全て破壊すればアルドロンは力を失います。私の力ではこのオーブは壊せない。皆さんの力で全てのオーブを破壊するのです。行きなさい!!妖精の尻尾(フェアリーテイル)!!』」

そこまて言うと正気を取り戻したジュビアさんの目が普段のものへと戻る。その顔からは汗が吹き出しており、相当疲弊しているのが伺える。

「大丈夫か!?ジュビア!!」
「今のって・・・」
「白魔導士の言葉です!!トウカさんが伝えてくれた!!」

ジュビアさんの意識を支配して俺たちに白魔導士がこれから行おうとしていることを教えてくれたトウカさん。その内容を理解した俺たちは焦り始める。

「私たちの仲間を使って街のオーブを壊すだと!?」
「そんなことさせません!!」
「ここのオーブが壊されてるから・・・」
「みんなが他の4つの街へ行くってことか」
「ちょっと待って!!これってもしかしてチャンスなんじゃ・・・」

とにかくそのオーブを壊させないようにしようと動こうとした俺たちだったが、ルーシィさんが何か考えがあるらしく制止する。

「チャンスだと!?」
「白魔導士は倒せなくてもみんなを個別に助け出せるかもしれない」
「何!?」
「どうやってですか!?」

問いかけるとルーシィさんはウェンディの方へと視線を向ける。

「ウェンディの回復魔法で・・・」
「操られている状態では効きません。気絶でもしていたら別ですが・・・」

先程ナツさんたちを助けたようにすればとの希望が出たが、そこは難しいらしく手詰まりかと思われた。しかし、一人悪い顔をしている青年がいる。

「気絶?なるほどな」
「ナツさん?」
「仲間を助けるために仲間と戦うってわけか」

ボソボソと何かを言っていた彼は近くの椅子に片足を乗せると、拳を空へと突き上げる。

「バトルオブフェアリーテイルinドラシール!!燃えてきたぞ!!」
「いやいやいや」

皆さんを助けるために皆さんを倒す。正しいような矛盾しているような展開ではあるけど、彼の言うことは一理あるかもしれない。

「そういうことならなんとかなるかもしれんな・・・いや、しかし・・・」
「何人かメンドくせー奴がいるからな」
「ラクサスさんとかに当たったら嫌なんですけど・・・」
「しかもこの人数でですか・・・」

向こうはギルドに残っていた全員でこちらはたったの6人。セシリーたちの力は頼りにするわけにもいかないし、無理ゲーが過ぎる。

「そんなの関係ねぇんだよ。全員まとめて俺が倒してやる!!」

そんな中で一番やる気に満ちているナツさんはすでに臨戦態勢。彼はその漲るやる気を抑えきれないのか、そのまま走り出すのだった。




 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
この一話で原作的には三話ほど進んでおります。
そしてここからはかなり原作と異なる展開になっていきます。むしろここで帳尻を合わせないとこの先のストーリーの改変が非常に面倒くさいので←心の声 
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