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神々の塔

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第十二話 恐竜までもがその五

「お墓には花が絶えんかった」
「愛されてたんやな」
「暴君がそこまで愛されるか」
「それも愚かな」
「ない筈や」 
 リーは言い切った。
「それははっきりしてる」
「それな、明朝の皇帝なんかな」
 施はどうにもという顔で述べた。
「不人気人物ばかりやからな」
「あの王朝の皇帝は凄いな」
 リーも否定せず応えた。
「確かに」
「あかん皇帝がな」
「多いな」
「万暦帝とかな」
「その皇帝が有名やが」
「他にもや」
 それこそとだ、施は嫌そうな顔で話した。
「変な皇帝多かったわ」
「そやったな」
「方術に凝って丹薬作ったり」
 不老不死を願ってだ。
「政せんで大工仕事に励んだりな」
「そうした皇帝多かったな」
「万暦帝なんてな」 
 それこそというのだ。
「もう二十五年朝廷に出んでな」
「後宮で遊び惚けてたな」
「もう皇帝っていうかな」 
「穀潰しやったな」
「それで国を麻痺させて」
 閣僚も知事もまともに任命せずただひたすら何もしなかった、それが万暦帝の四十八年に渡る治世の大半であった。
「その結果や」
「明朝は潰れたな」
「そうなる様にな」
「したな」
「その後も明朝は続いたが」
 万暦帝を世を去ってからもだ。
「それでもな」
「国としては滅んでたな」
 トウェインが応えた。
「そうなったな」
「後の二十八年はな」
「明朝のな」
「ただひたすら乱れて」
「滅びに向かってた」
「そやっやな」
「そんな皇帝達と比べたら」
 まさにとだ、トウェインは言い切った。
「ネロはな」
「全くちゃうな」
「暴君やない」
「むしろそこそこな」
「頑張ったって言えるわ」
「国を腐らせんかった」
「むしろやることはやってた」 
 皇帝としての責務は果たしていたというのだ。
「ちゃんとな」
「ただカッとしてな」
「貴族に評判が悪い性格や趣味で」
「軍隊を自分では指揮出来ん」
「そうした弱点があったんで」
「暴君というと」
「全くちゃうわ」
 これがトウェインそして仲間達のネロへの評価だった。
「こうした風にやな」
「学説は変わるんやな」
「どの学問も」
「そういうことやな」
「そやから恐竜もやな」
「変わるな」
 施は冷静に述べた。 
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