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やはり俺がink!な彼?と転生するのは間違っているのだろうか

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パラディ島編 第9話 訓練兵団④

あと少しでクリスタを鍛え始めて1年、訓練兵団に入団して1年半が経つ。

 もともと、クリスタの成績は、

 ---

 クリスタ・レンズ

 立体機動術  3

 対人格闘能力 3

 座学     5

 兵站行進   4

 馬術     10

 技巧     6

 格闘力3 行動力4 頭脳6 協調7

 ---

 であったが、今は、

 ---

 クリスタ・レンズ

 立体機動術  6

 対人格闘能力 6

 座学     8

 兵站行進   5

 馬術     10

 技巧     7

 格闘力6 行動力7 頭脳7 協調7

 総合成績 10位

 ---

 と、大きく上昇した。

 まぁ、鍛えたのは何故かほとんど俺だけど。

 何故か、ヒョウに

 ヒョウ「対人格闘術、立体起動術、座学、馬術に関しては
     全てお前がやってくれ。
     筋肉を付ける特訓と技巧に関しては
     俺がやっておく。」

 と言われ、理由を聞いてみたら、

 ヒョウ「その方が成績が上がりやすいから。」

 という、謎の理由で返された。

 さすがに不公平だと思い、ヒョウと一週間ほど変わってもらうと
 まあまあ成績が落ちてしまったため、始めのように俺が鍛錬をすると
 伸びていった。

 ・・・何でだ?

 ・・・まあ、それは置いといて、今日。

 俺とクリスタ、ヒョウは、サバイバル訓練を受けることにした。

 理由は、兵站行進はこのようなサバイバル訓練のようなものでないと
 あまり伸びないからだ。

 必要なことを学び、それらを実践で生かす。

 そうやって初めて、『身に付く』というものだと俺は思っている。

 ので、2人とサバイバル訓練を受けた訳だが・・・、

 ハチマン「なんでヒョウは受けてねぇの?」

 ヒョウ「なぁ、参加条件は、2人1組を組んで参加だぞ?」

 ハチマン「・・・まじで?」

 そう、俺は何故か参加条件を良く見ずに訓練を受けてしまい、クリスタと
 2人でサバイバルをすることになった。

 ---

 キース「これより、今回の訓練について説明する!
     今回の訓練はサバイバル訓練。森の中で1週間、2人1組で
     過ごしてもらう!
     調査兵団の壁外遠征や駐屯兵団の捜索任務等で万が一遭難した
     場合を想定しているため、支給品は水少量のみ。
     また、持ち物はほとんど没収、例外はあるが、食料等は
     持ち込めないと思っておけ!」

 キース「スタート地点はペアで分かれて、バラバラでスタートする。
     ペアのスタート地点までは馬車で移動し、そこから先は
     自由にサバイバルをしろ!」

 キース「最終日になったら、何処かに煙弾が上がる。
     そこを目指して行動し、その煙弾が上がっているところに
     たどり着けば、訓練終了だ。」

 キース「では、全員、馬車に乗れ!」

 教官にそういわれ、全員がペア別に馬車に乗る。

 馬車は出発し、しばらくすると止まった。

 教官3「ここで降りて、訓練スタートです。
     せいぜい、死なないように。」

 ハチマン、クリスタ「「はっ。」」

 そういい、教官3は馬車に乗り、馬車は来た道を戻っていった。




 サバイバル訓練1日目

 ハチマン「よし、クリスタ。まず、何をする?」

 クリスタ「辺りを探索、雨風を凌げる所や川を探す!」

 ハチマン「それはなぜ?」

 クリスタ「川を探すのは、水がなかったら、喉の渇きを潤せないし、
      飲み水による洗浄が出来ないから。
      雨風を凌げる所を探すのは、そこを拠点にして、
      食料を集めたり、そこで寝たり、風邪を引かないように
      するため!」

 ハチマン「よくできました。さて、行動に移すぞ。」

 クリスタ「うん!」

 ---

 しばらく辺りを探索していると、

 クリスタ「ハチマン!洞窟が在ったよ!」

 クリスタが洞窟を見つけた。

 ハチマン「おっ、そうか。なら、あとは川だが・・・、
      無いな・・・。」

 クリスタ「そうだね・・・。」

 ハチマン「・・・仕方ない。今日は、食料を確保して、その洞窟で
      1週間過ごそう。」

 クリスタ「うん!」

 そう言い、俺はクリスタに洞窟まで案内してもらい、食料を調達
 する準備をした。

 俺は、教官から没収されなかった、骨のナイフを2本と骨の弓矢を取り出し、
 ナイフを1本、クリスタに渡した。

 クリスタ「?これって・・・、ナイフ?」

 ハチマン「ああ。これを使って狩りに行くぞ。」

 クリスタ「うん。分かったけど・・・。」

 ハチマン「・・・クリスタ。俺も、お前も、この世の全ての生き物も
      誰かの、何かの屍の上に立って、生きている。
      俺たちは何かの命を背負って生きているんだ。
      命を奪うことを嫌がるな。
      俺たちは、今背負っている、奪ってきた命の分まで
      生きなくちゃいけない。
      酷なことを言っているのは分かっている。
      でも、俺たちはそうやって生きているんだ。
      何かの命を奪うことを決して躊躇するな。
      俺たち人間は、そうやって生きているんだから。」

 クリスタ「・・・。・・・うん、分かった。」

 そう言う彼女の目には、悲しみと少しのケツイが宿っていた気がした。

 ---

 俺とクリスタは、付近の探索を続けながら、動物または山菜、川等がないか
 探していた。

 しかし、付近には動物はほとんど見かけず、山菜もあまり生えていなかった。

 木や草も冬だからか、枯れていたりしている。

 ハチマン(川が在れば、魚かふきのとうが見つかりそうだが・・・。)

 ふきのとうは前の世界で言う2~3月あたりに採れる山菜だ。

 今は、だいたい1、2月あたりだと思うので、もしかしたらふきのとうが
 生えているかもしれない。

キェェェェェッ!

 ハチマン「!?」

 クリスタ「ヒャッ!な、何の音?声?」

 いきなり何か良く分からない声が茂みの奥のほうから聞こえた。

 ハチマン「・・・行ってみるぞ。クリスタ、ナイフの使い方と
      さっき言ったこと、覚えてるな。」

 クリスタ「!・・・うん。」

 俺は、弓を構え、茂みに近づいていった。

 なるべく音を立てず、音のした方を茂みから見ると・・・、






















 鹿がいた。











 ハチマン「・・・へ?」

 クリスタ「・・・ふぇ?」

 茂みの奥には、鹿がいた。

 おそらく、さっきの音の正体は、この鹿の鳴き声だろう。

キェェェェェッ!

 ・・・目の前でまた鳴いたし。

 ハチマン(・・・鹿って、あんな鳴き声なのかよ・・・。)

 ハチマン「・・・はっ!殺らなきゃ・・・。」

 ちょっとあまりにも鹿の鳴き声について、インパクトがありすぎて
 放心状態になったが、すぐに我に返り、まだ俺たちに気付いていない鹿に
 俺は、弓を構え、矢を放った。

ピュッ

・・・バタリ

 俺が放った矢は、鹿の首筋辺りに刺さり、鹿は地面に倒れた。

 ハチマン「はぁ、はぁ・・・。」

 ・・・なんか、あの鳴き声で結構疲れた気がする・・・。

 クリスタ「・・・はっ!あ、あれ?し、死んでる・・・?」

 ハチマン「いや、首筋に矢を当てただけだから、まだ生きてる。
      ・・・今日は、こいつを晩飯にいただく。」

 クリスタ「・・・うん。血抜きとかは私がするよ。」

 ハチマン「いや、いい。少しやりたい事もあるからな・・・。
      クリスタ、火をつけるための薪を集めておいてくれないか?」

 クリスタ「?うん、分かったけど・・・。」

 ハチマン「じゃあ、頼んだぞ。」

 クリスタ「う、うん・・・。」

 クリスタにそう言い、俺は鹿の解体作業を始めた。

 鹿を解体する際、大きな外傷がみられたり、足取りがおぼつかなかったり、
 脱毛や痩せ、衰弱が著しい鹿は、食肉活用とするのは避けたほうがいい。

 何かの感染症にかかっているかもしれないからな。

 できる限り、生きた状態での鹿の様子をよく確認して判断すると良い。

 本来は疑わしいものは廃棄とすることが前提で行動した方がいい。

 また、外観や皮下において、化膿・水疱・腐敗・ただれなどが
 見られる場合や、ダニ類等の外部寄生虫の寄生が多すぎる場合も
 食用とするのを避ける。

 これも変に腹を下したり、寄生虫のお世話にならないためにも必要なことだ。

 ・・・今回の鹿は、どうやら良い健康状態のようだ。

 異常者オカシナモノの解析鑑定の結果、一切病気にかかってない。

 次に、鹿の動きを封じるため、獲物の足や首に骨操作で作った骨のロープ
 をかけて引っ張り、保定する。

 そして、心臓上部の頸動脈から放血させる。

 ちなみにポイントは、速やかに血管以外の組織をできるだけ損傷しないように
 行うこと、放血のための刃の刺入口はできるだけ小さくし、
 必要最小限にすることだ。

 放血の際は、足から吊るしたり、傾斜で頭側を下にしたりして、
 血が流れ落ちていくようにする。

 出てきた血液は、またまた骨操作で作った容器に保存しておく。

 これにも、解析鑑定をしておこう。

 最初の工程を終わらせたら、次、シカの体表に付着した泥や血、
 ダニなどを水で洗い流す。

 今は水が支給品の水少量しかないが、俺は、少しだがその水を使う。

 実は、教官は少量だといったが、それは一人分。

 しかもその水の量は、前の世界でいう500mlペットボトル1本分。

 訓練は、2人1組で参加するので、実質1Lの水が訓練時支給されたのだ。

 到底1週間分には、ほど足りないが、今、500mlもあれば十分血抜き作業を
 行える。

 なんなら、200mlぐらい残せる。

 まあ、そんな話は置いておいて、次の工程、内臓摘出をする。

 まず、腹の中腹から股の付け根にかけて皮を切る。

 このとき、腹膜を破ったり、尿道に傷を付けないように気をつけよう。

 その後、股から胸の方向にかけて腹の皮を裂いていき、胸骨まで皮を切り、
 そこから薄い膜を切ると内臓が見えてくる。

 内臓を傷つけないように刃の先よりも指を先行させ、刃をお腹の内側から
 外側に向けて切り広げて、胸骨を開き、内臓を取り出していく。

 ちなみに食道や直腸は結索しておけば、内容物が漏れ出すのを防げる。

 次に喉の中から食道と気道を引き出して切っておき、そこを持ち
 肛門方向に引きずりだし、横隔膜と肋骨がくっついている箇所を
 ナイフで切断する。

 本来なら内臓をすべて取り出した後、内臓表面や断面に白色点、出血、
 変色部分等はないか、寄生虫はいないか等を確認する。

 明らかな異常がある場合は、食肉用とせず廃棄とするほうが安全だろう。

 ・・・まあ、解析鑑定があるから大丈夫だが。

 次に、剥皮の工程に移る。

 皮剥ぎには切れ味が弱くてエッジのカーブが緩やかな刃物を使うとよい。

 (まあ、俺のナイフには、そんなの関係ないが。)

 また剥皮で使用した刃物は、そのまま精肉作業には使わず、
 別の刃物等に替える、もしくは熱湯で消毒してから使用したほうが衛生的だ。

 また、刃に脂が付着すると、皮が剥ぎにくくなるが、
 都度熱湯で湯煎することによって切れ味が戻るため、使い続けるための
 手入れとして、しっかり湯煎しておいた方がいいだろう。

 まあ、それは置いておいて、まず、足の周りに一周切れ込みを入れる。

 それから足の付け根から足先(先ほど入れた切れ込みの方向)
 に向けて皮を切断する。

 肉と皮の間に刃を入れて、皮を剥いでいく。

 このとき、皮がめくれあがって肉に毛が付着しないよう気を付ける。

 毛の付いた肉とか食べる気がなくなるし、菌が付く可能性もある。

 みんなは出来るだけ、肉に毛を付けないように。

 ・・・誰に言ってるんだ?

 ちなみに頭の部分は、脊柱を切断して、皮ごと落として皮剥ぎをする。

 ついに最後、分割の工程に移る。

 まず、あばら骨と前足がくっついているので、筋膜を切って分離する。

 ちなみに部位があるため、順番としては、前足、後ろ足、背ロースの順に
 分割して解体する。

 前足は、肩甲骨に沿って肉をはぎ取っていく。

 首肉、肩肉、腕肉を入手することができる。

 後ろ足は、股関節・腰のあたりの筋膜を切って、分離し、剥ぎ取る。

 外モモ、内モモ、シンタマ、ひれもどきと呼ばれる部分を入手できる。

 それぞれの部位は筋膜同士でくっついているだけのため、
 ナイフの刃先を使えば簡単に剥がれるため、比較的簡単だろう。

 最後に背ロース。背骨に切り込みを入れ、背ロース肉を骨から外して削ぎ落とす。

 あとは、手に入れた肉をまとめて、清潔な入れ物(今の状況では、俺の作った
 骨の箱)に入れて、保管しておく。

 ちなみに、この箱は中身を確認した時、何も入っていなかったため、
 没収されなかった。

 おそらく、この訓練では、本来サバイバルに必要なナイフ等、
 一切関係なさそうな物も許可して、どう生かすのかを試す訓練だろう。

 ・・・もしかしたら、サバイバルにどんなものが使えるか
 考えさせる訓練なのかも知れない。

 そんなことを考えながら、俺は洞窟に向かった。

 ---

 洞窟に向かうと、クリスタは既に火をつけ、その火を見ていた。

 ハチマン「クリスタ!」

 クリスタ「ハチマン!解体は出来た?」

 ハチマン「ああ。この箱の中に入っている。」

 クリスタ「箱って持ってこれたの?」

 ハチマン「ああ。たぶん中身が入っていたら、駄目だったろうけど。」

 クリスタ「へぇ~。」

 ハチマン「・・・クリスタ。肉を薫製にするから、枯れていてもいいから
      葉や枝を持ってきてくれ。」

 クリスタ「うん!」

 クリスタは、そういい、探しにいってくれた。

 しばらくすると、まあまあの量の枝や葉を抱えたクリスタが戻ってきた。

 クリスタ「持ってきたよ~!」

 ハチマン「すまんな。じゃあ、準備するから、ゆっくりしておいてくれ。」

 クリスタ「うん!」

 クリスタにそういって、俺は準備に取り掛かる。

 薫製肉を作るには、まず火を用意。火がついた状態でクリスタに
 持ってきてもらった木の枝を削って、おが屑を作り、それを
 火の中に入れる。

 その後、三角錐のような形に枝を立て、頂点の部分を紐で結んで、
 完全に三角錐の形を作る。

 その三角錐の3つの枝の同じところに木の枝で作った金網のような
 形をしたものを設置し、その上に肉を置き、煙を燻して、肉を調理する。

 その状態で置いておけば、薫製肉の完成。

 クリスタ「!クンクン・・・いいにおい・・・。」

 ハチマン「まあな。鹿の薫製肉。腐りやすい、病気にいい鹿肉を薫製焼きにして
      保存しておけば、いざというとき、持ちこたえられるだろ。」

 クリスタ「へぇ~!鹿って、病気にもいいの?」

 ハチマン「ああ。鹿肉は、病気にも良いとされ、血が他の動物よりも作りやすい。
      その上、太りにくいから、結構食べても、あまり太らないんだ。
      まあ、食った後に運動すれば、まず太らないんだがな。」

 クリスタ「はぇ~、知らなかった・・・。」

 ハチマン「・・・鹿については、多少教えたはずだが・・・。
      ・・・本とかには、そういうようなことは書いていないのか?」

 クリスタ「うん。そんな栄養については、あまり・・・。」

 ハチマン「そうか・・・。」

 ハチマン(なぜ、そのようなことについて調べないんだ?
      立体起動装置のような物はあるのに。
      ・・・もしかしたら、本当は書いてある本はあるかもしれないが。
      ・・・まあ、この世界の文字は俺たちにとって、
      まあまあ、読みにくいものだから、調べる気にはならないが。)

 ハチマン「・・・もう夜だな。先に寝ておけ。
      明日は、川を探すぞ。」

 クリスタ「うん。おやすみ。」

 クリスタは、そういい、眠りに付いた。

 俺は、骨の糸と針を作り、それらを使い、毛布を製作してから、それをクリスタに
 かけ、自分も毛布に包まり、眠りに付いた。








 サバイバル訓練2~4日目

 朝になった。

 幸運なことに、寝ている間に雪が降り、積もったおかげで水が確保できそうだ。

 やった、今日は、外に行かなくていい!

 そう思ったが、天使(クリスタ)

 クリスタ「ご飯、溜めておこうよ!」

 と言われ、食料の確保の日に。

 結果としては、鹿2匹、冬眠上がりの蛇2匹とまあまあの出来だった。

 なお、天使には、蛇は不評だった模様。

 ・・・蛇おいしいのに・・・。

 ・・・ほら、FOXの眼帯してたりもする某潜入工作員の人も
 「うまい!」って言ってたよ?

 ・・・おいしいよ?

 ・・・いらない?

 ・・・いらない・・・。

 ・・・そう、ですか・・・。

 その蛇肉は、しっかりハチマンが全ておいしくいただきました。

 それから2日くらいは、俺は蛇の肉を、クリスタは鹿肉を食べ、
 二人で運動して過ごした。







 サバイバル訓練5日目

 地面に積もっていた雪が、結構溶け、水を探しに行かねばならなくなった。

 しかし付近には水がないため、今を俺たちが暮らしている
 この洞窟の奥に地底湖みたいな水溜りを探しに行こうという案がでた。

 てか、だした。

 ので、今、俺は洞窟探索で必須なものを作っている。

 2日目で狩った鹿の皮、それを鹿の肉から採って置いた脂に滲みこませ、
 長めの棒に巻きつける。

 火をつけると、

 テッテテーン、たいまつの完成!

 なんてな。

 クリスタ「何してるの?」

 ---

 あのあと俺は、クリスタにふざけているところを見られ、
 天使をどう説得すればいいか悩み続けながら、ごまかし続けたが、
 長くは続かず、天使が泣き出してしまったため、正直に話して
 泣き止んでもらった。

 そして、この洞窟の探検を始めた。

 クリスタにも一応、たいまつを渡しておき、はぐれても
 見つけやすいようにした。

 まあ、とりあえず俺たちはしばらく洞窟探検をしていた。

 すると、中には、鍾乳洞があり、そこからぽたぽたと水適が流れていた。

 ハチマン「!よし、これで水は確保できるな・・・。」

 クリスタ「?なんで?」

 ハチマン「天井に鋭く尖った岩があるだろ?あそこから少しずつ
      水滴が流れてきている。という事は、その上には水がある。
      それに、水滴が流れてきているから、その下に桶とかを
      置いておけば、勝手に水が溜まっていってくれるはずだ。」

 クリスタ「ほぇ~。知らなかった。」

 ハチマン「そりゃそうだろ。教えてないからな。」

 クリスタ「た、確かに座学の鍛錬には出てきてなかった。」

 ハチマン「さて、桶の代わりになるようなものは無いかねぇ?」

 クリスタ「うーん・・・。」

 水の支給品ボトルは、今飲み水入れとして使っているし、
 途中から入れてもな・・・。

 肉入れていた箱も無理だし・・・。

 ・・・代用品が思いつかねぇ・・・。

 ハチマン「はぁ、仕方ない。クリスタ。鍾乳洞が生えているところの奥に
      小さい穴や窪みが在るかどうか探してきてくれ。
      ・・・あ、あと、天井には気をつけろよ?
      何かの拍子にあの鋭い岩が落ちてくるかもしれないからな。」

 クリスタ「うん。分かった!」

 そういい、クリスタは洞窟の奥の方の探索に行ってくれた。

 ・・・よし。さすがにクリスタには見せられないからな・・・。

 俺は、骨で桶を作り、それを少し奥の見にくいところにある小さい滝の流れの
 ふもとに置き、クリスタを探しにいった。

 ハチマン(よし。これでしばらく放置しておけば、勝手に水が溜まるだろう。)

 そう思いながら、クリスタを探していると、意外にも奥までクリスタは
 探索しているようで、結構奥まで来た。

 ハチマン「クリスター!どこだー!」

 たまにそう呼びかけてみるが、返事はない。

 ハチマン(なんでだ?クリスタはこの洞窟の奥の探索を頼んだ。
      でもそれは、こんなにおくまでじゃないし、さすがに見つけるまで
      探検を続けるってわけでもないだろう。
      ・・・もう入り口の方にいるのか?
      もしそうなら、洞窟がわかれているという事だが・・・、
      今まで分かれ道を見ていない・・・。
      どういうことだ・・・?)

 そんな風に熟考していると、

ガサッ

 ハチマン「!」

 ???「・・・。」

 足音がして、目の前におもちゃ・・・・のようなナイフを持ち、頭にリボンを付けた
 少女・・のような人が見えた。

 ハチマン「・・・。」

 ハチマン(・・・誰だ?
      なぜ、ここに訓練兵以外の人がいるんだ?
      ・・・てか、なんか、持ってるものとか身に付けているものが
      見たことがあるものなんだが・・・。)

 いろいろ考え、隙を見せてしまったからだろうか、
 その少女(?)は、俺に近づきナイフを振るってきた。

 ハチマン「!うおっ!・・・っと、あぶねぇ。」

 俺は空間移動で避けたが、相手はまだナイフを振るってくる。

 ハチマン「ほっ、はっ、ほいっ。」

 我ながら変な掛け声を出しながら、避けているが、これで怒りを覚え、
 攻撃が単調になってくれるかと期待したが、あまり変わらず。

 むしろ、若干避けるのが難しくなっているような・・・。

 避けるのが難しいって言っても、ただ単に攻撃の密度とか範囲が少し
 拡大して、空間移動で避けるためのイメージがし辛いってだけだが。

 ・・・少し隙を作ってみるか。

 そう思い、相手の後ろから死なない程度まで威力を下げた
 gaster blasterを撃った。

 しかし、

 ???「・・・。」

 相手さんにはまったくダメージを与えられなかった。

 まず、この攻撃でダメージを食らっているのかどうかすら
 怪しいレベルで無傷だし。

 ハチマン「!グッ!」

 少し驚いてしまい、隙を見せ、左腕を少し切りつけられた。

 ハチマン「チッ!
     (やばいな・・・。これであまり持久戦に持ち込みにくくなった。)」

 俺は空間移動で攻撃を避けつつ、思考を続ける。

 ハチマン(どうすれば勝てる・・・?どうすれば生きれる?考えろ!
      ・・・ちょっと待て、なんでこの少女は、ここにいる?
      なぜ、こんなに見たことのある格好をしている?
      ・・・試してみるか。)

 ハチマン(異常者オカシナモノ。)

 異常者オカシナモノ『ああ、分かっている。解析だろう?もう終わっているぞ。
      結果だが・・・、相手は忍耐のソウルと考えていい。
      戦い方は、・・・分かるな。』

 ハチマン(ああ。ありがとうな。)

 忍耐のソウルに対抗する戦い方は、攻撃を避けて、避けて、
 避け続けて、相手を疲弊させる、持久戦だ。

 しかし、俺は、左手を切りつけられ、血が出ている。

 その状態で、持久戦をするのはきつい。

 でも、忍耐のソウルに勝つには、持久戦しかないわけで・・・。

 ので、俺は、対策を考えた。

 ハチマン「さぁて、こいよ。」

 まず、ソウルを挑発する。

 そうすると、ソウルは激しい攻撃を仕掛けてくる。

 これで、攻撃を激しくし、少しでも疲れやすくする。

 それを攻撃を避けて、避けて、避け続けて、相手を疲弊させる。

 ちなみに避け方も工夫しなければならない。

 少し、相手に無理をさせるような避け方をして、避けると相手は疲れやすい。

 体感30分の間、俺は攻撃を避け続けた。

 多くの工夫をしながら避けていたからだろうか。ついにソウルは膝を着いた。

 ハチマン「はぁ、はぁ・・・。」

 俺も、まあまあ血が流れ、少しくらくらしてくる。

 でも、この戦いに終止符を打つため、俺はソウルの方までいった。

 ソウル「・・・。」

 ソウルは、俯いたままだ。

 ハチマン「・・・サヨナラだ。」

 そう言い、俺がナイフを振り下ろしたとき、俯いていた彼女の顔は、
 少し笑っていたような気がした。

 《・・・確認しました。条件を達成しました。
  ユニークスキル『忍耐タエルイシ』を獲得。・・・成功しました。》

 ハチマン「!?」

 ・・・今、はっきり聞こえた。

 ・・・あの声は、ユニークスキルといった。

 ユニークスキル・・・。俺の異常者オカシナモノと同じ種類のスキル・・・。

 『忍耐タエルイシ』か・・・。さっきの戦いの影響か・・・。

 ・・・って、そんなこと考えている場合じゃないな。

 はやく、戻ろう。

 ---

 クリスタ「遅いな、ハチマン・・・。」

 クリスタ(本当に遅い。一緒に居たいのに・・・。
      ・・・って、い、いったい私はまたなにを考えて・・・。
      ・・・!?)

 クリスタ「ハチマン!だいじょうぶ!?その怪我!すぐ手当てするね!」

 ハチマン「ぁあ。たのむ。」

 クリスタは、俺の用意した、簡易救急箱の中を漁る。

 骨で作った包帯を左腕に巻いて、きつく縛る。

 クリスタ「たぶん、これで血は出ないと思うけど・・・。」

 ハチマン「ぁあ。ぁりがとぅ。」

 クリスタ「無理しないでね?」

 血が足りなくなったからか、それとも、緊張が解けたからか、俺はその言葉を
 聞いたのを最後に、深い眠りに落ちた。







 クリスタside

 ハチマンが寝た。

 ハチマンは起きてるときもクールって言うのか・・・、とりあえずかっこいい。

 でも寝ているハチマンは、なんだか、かわいい。

 整った顔に安心した顔。

 起きているときには見せない顔だから、とてもかわいく感じる。

 愛おしい。

 そういうのだろうか。

 さっき、ハチマンが血を流して戻ってきたとき、胸が苦しかった。

 でも、うれしかった。

 帰ってきてくれた。生きていてくれた。

 そんなうれしさも感じた。

 たぶん、いや確実に、私は、ハチマンに恋をしている。

 ・・・でも、私の恋はかなわないと思う。

 私は、妾の子。幸せな家庭を作ったりする資格なんてない。

 だから、せめて、あなたが寝ている間だけでも、あなたと一緒にいる間
 だけでも、幸せだって、感じさせてほしい。

 あなたには、絶対に言えないけれど、

 大好きです。








 サバイバル訓練7日目

 今日でサバイバル訓練は最終日。

 長いようで短い1週間だった。

 えっ、6日目はどうしたって?

 はっはっはっ、怪我で1日中寝ていたよ。

 だから、さっき食べた鹿肉が2日ぶりの食事だった。

 おいしかったよ。

 ・・・やめよう。なんか気持ち悪い。

 とりあえず、クリスタに、荷物をまとめておいて貰って、俺は鍾乳洞の水を
 回収しにいった。

 ハチマン(どれどれ・・・?
      ・・・結構な量回収できてるな。)

 支給された水が入っていた入れ物。

 500mlだと、だいたい1/3くらいだが、溜まっていた水は2つの入れ物を
 満杯にするほどの量があった。

 ハチマン(これで、集合地点まで行ける量の水は溜まったな。)

 そう思い、俺は、水を入れた入れ物を持って、クリスタの元に向かった。

 ---

パシュゥ

 煙弾は結構近くに発射された。

 ゆっくりそちらに向かっていくと、見回りをする教官たちも見えた。

 しばらく歩いて、目的の場所にたどり着いた。

 キース「ハチマン・ヒキガヤ、クリスタ・レンズペア、1着!」

 教官にそういわれたが、無事に帰ってこれたからか、うれしくて、
 聞いていなかった。

 やりきった気持ちで、帰りの馬車に乗り、俺たちは、訓練兵団の宿舎に
 向かった。
















 
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