| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

ステラニウムの輝き

 
前書き
100年クエストで説明があった第四世代の滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)ってこの映画で出てきてたのか。
中身覚えてなかったせいで今後出てくるから今のうちに伏線を張ってるのかと勘違いしてました。 

 
「ルーシィがいねぇ」

無事にウェンディたちを助け出した俺たちは地上へと戻ってきていた。そんな中で一人だけいまだに救出ができていない人物がいることに焦ってしまう。

「こっちにもいねぇ」
「こっちもです!!」
「なんでルーシィだけいないの?」

俺たちと一緒に捉えられたはずのルーシィさんだけがどこにもいないのだ。あの巨大な鳥は全て倒したことを考えるとどこか別のところに幽閉されているのだろうか?

「そんな・・・」
「ルーシィ・・・」
「どこに行ったの~・・・」

ウェンディたちも彼女の身を案じて表情が暗くなる。俺たちは心に余裕がなくなっていく中、一人だけ冷静な人がいた。

「ナツ」
「わかってる。必ず見つけ出す」

焦っている俺たちの中でエルザさんは冷静だった。彼女は一番責任を感じている青年に向かって声をかけると、彼もそれにより落ち着きを取り戻す。

「待ってろよ、ルーシィ」

落ち着きを取り戻した表情へとなった彼を見て俺たちも一度深呼吸をして冷静さを取り戻す。

「仕方ない・・・少しの時間なら・・・」

ティオスとの戦いの時に使いすぎて本調子ではない目を解放する。少し痛みもあるし長時間の使用はまだ怖いけど、今はそんなこと言ってられない。

「どうだ?シリル」
「あっちの方に人がたくさんいるのは・・・」

そこまで長距離に対応しているわけではないので大体の標準を合わせて向かうしかない。とりあえず人の影がたくさんある方向へと向かってみると、少しずつだけど彼女の匂いが感じられるようになる。

「この匂い・・・」
「間違いないです」
「ルーシィ!!」

どうやら予想は正しかったようで彼女の匂いを感じ取れたナツさんが一気に加速していく。しかしここは城の敷地内、兵士たちが俺たちに気が付いたようで襲い掛かってきた。

「邪魔だぁ!!」

しかしそれに臆することなく進んでいくナツさん。敵の数は多いけど、俺たちなら突破できるはず。

「水竜の・・・」
「天竜の・・・」
「「咆哮!!」」

俺とウェンディで敵を一気に蹴散らし道を作る。グレイさんとエルザさんも考えは同じらしく、先を行くナツさんが進めるように遠距離からの攻撃で兵士たちを凪ぎ払う。

「ルーシィを返せぇ!!」

壁を打ち壊しながら進んでいくナツさん。もう匂いのもとまでたどり着いたところで彼は拳を振るうと、手足を拘束されている星霊魔導士の姿が目に入ってきた。

「ナツ!!」

彼女もそれに気が付いたようで笑顔を見せた。ナツさんはそのまま拳をザッシュに打ち込むと、彼は酒瓶が収納されている棚へと吹き飛ばされる。

「無事か」
「うん」

ナツさんが彼女を拘束する手錠を破壊する。俺たちもその間に牢の中へと到達したけど、騒ぎを聞き付けた兵士たちの増援部隊も集まってきており、二人との間に割って入ってくる。

「ナツ!!」
「急いでください!!」
「兵の数が増えてきました」
「さすがに派手にやりすぎたか」

敵の数が多すぎて体力は厳しくなってきたけど、そうは言っていられない。ルーシィさんを助けるためにと俺たちは兵士たちを倒していく。

「貴様ら、鳥の巣を脱出したというのか?どうやってここまで来た?」
「鼻が良くてな!!仲間の匂いは特別なんだ」
「ちょっと、やめてよナツ」

ナツさんの拳を食らったにも関わらずまるで傷がないザッシュ。ナツさんは得意気に言ってるけど、お姫様抱っこされているルーシィさんは恥ずかしそうに顔を赤らめている。

「おのれ!!」

思惑が外れたことで苛立っているザッシュは杖をこちらへと向けてくる。そこには魔力が集まってきており、ヤバイ状態なのはすぐにわかった。

「ザッシュ様おやめください!!それはーーー」

それを見て慌てたように声を上げたのは一人の女性。昨日の夜にザッシュと共にいた彼女は声を張り上げていたが、その声は彼には届いていなかった。

「この俺に逆らう者は全て消えるがいい!!」
「全員に防御魔法展開!!」

いち早く危険を察知したウェンディのおかげにより、大爆発に巻き込まれながらも目立った外傷もなくその場から離れることができた俺たち。集まってきていた兵士たちは倒れているけど、そこは今は気にしちゃダメだ。

「みんな、大丈夫?」
「あぁ」
「なんとか・・・みんな助けに来てくれてありがとう」
「元はといえばナツのせいだけどな」
「あぁ・・・」

グレイさんの嫌味にも反撃せずに気落ちしたような表情を見せるナツさん。確かに彼の様子はおかしくなっていたけど、正気を取り戻してからは皆さんを助けるために率先して動いてくれたし、そんなに言わないであげてもいいと思う。

「シリル、そいつは何者だ?」
「さぁ?」

そんな中エルザさんは俺が抱えている女性を怪訝そうに見ている。さっきの爆発の時に咄嗟に助けたんだよね、悪い人には見えなかったし。

「うおっ!!そういえば」
「誰?」
「知り合い?」
「いや、違うんだけど・・・」

他の皆さんも気付いていなかったようでそんな質問が飛んでくる。ウェンディはなんだか怒っているようにも見えるけど、身体が勝手に反応しただけなので大目に見てくれないかな?めっちゃ目が怖い・・・

「私は・・・」
「どこ行った!?賊ども!!」

皆さんの問いに答えようとした彼女だったが、それよりも早く後ろから聞き覚えのある嫌な声がする。ひとまずここから離れなければと考えると、茶髪の女性は意を決したような表情で立ち上がった。

「抜け道があります!!付いてきて!!」
「杖を取り戻さねぇと!!」
「ここは引くべきよ。あいつの魔法の弱点を探さないと、戦っても勝てない」

ザッシュの魔法はいまだに何なのかわかっていない。もしかして昨日のナツさんの異変も彼の魔法が原因なのかとも思ったけど、証明できない限りはどうしようもない。そのため俺たちは助けた女性の言葉を信じ、その後ろを付いていくことにした。

「こっちです」

辺りをキョロキョロしながら進んでいく女性。その様子はもしかすると、壁の向こう側にいる人たちが見えているのか?

「あんた人の場所がわかるの?」
「それが私の魔法です」
「我々の居場所がバレたのはそのせいか」
「俺のアイデンティティは?」

本来ないはずの視界を手に入れるのは俺の目に入れた魔水晶(ラクリマ)の特権だったはずなのに・・・いや、今は調子悪いから助かるんだけど、ちょっと寂しい気持ちになってしまう。

「出口だ~!!」
「やったわ」

そんなことを考えていたところ、前方から光が入ってきているのが見える。俺たちはそのまま進んでいくと、兵士たちがいない城の敷地の外へと出ることができた。

「ありがとう!!」
「助かったよ~」
「あんた、何者なの?」

無事に城を出ることができそうなため彼女にお礼を言う。本当に兵士たちの姿が一切ないため、余裕を持って一時退避できそうだ。

「私はソーニャ。アニムス王の側近です」
「で?なんで俺たちを逃がすんだ?」
「ちょっとグレイさん」

ソーニャさんはは本来敵であるはずなのだが、今こうやって俺たちのことを逃がそうとしてくれている。それが気になったグレイさんがそう問いかけるが、その聞き方がちょっと圧を感じたため俺は彼の腕を引っ張り止めようとする。

「・・・」
「何か訳がありそうだな」

彼女は最初は答えようとはしなかったが、その表情から何かを察したエルザさんが優しく声をかけると、彼女は視線を下げたままゆっくりと答えた。

「もう人を不幸にするのがイヤなんです」

それがどういうことなのかわからず彼女の次の言葉を待つ。ソーニャさんは決心したのか、事の経緯を話してくれた。

「アニムス王とは物心付いた時からの仲でした。昔は優しかったんです。でもザッシュ様からドラゴンクライの話を聞いて、杖への執着が始まりました。私も国のためならと強奪作戦に加わりました」
「国のため?」
「ステラニウムをご存知ですか?」
「この国の特産物だよね?」

ハッピーの答えに頷くソーニャさん。彼女は顔を伏せたまま話を続けます。

「ステラニウムは星の光を吸収すれはするほど輝きを増し、高価な宝石となります。ですが近年、そのステラニウムが悲鳴をあげています」
「悲鳴?」
「叫んでるの~?」
「そんなわけないでしょ」

セシリーのボケにしっかり突っ込むシャルル。重苦しい雰囲気に彼女なりに一石を投じたんだとは思うけど、ソーニャさんは相変わらずの表情でセシリーは小さくなっていた。

「星の光を吸収しすぎたステラニウムが一斉にその光を放出する可能性が出てきたのです」
「そりゃあどういうことだ?」

イマイチ事態が飲み込めずグレイさんが聞き返す。星の光を放出するってどういう状況?

「星の光をある程度吸収したステラニウムは魔力を持ちます。その魔力が一斉に放出されたら、この国は跡形もなく消し飛ぶでしょう」

星の光を吸収することで輝きを増すという何とも幻想的な宝石だと思っていたのに、それを打ち砕くほどの話に言葉を発することもできない。ソーニャさんも相当気に病んでいるようで一向に表情が晴れることはない。

「その暴走を防ぐためにドラゴンクライの力が必要なのです。全ての輝きを消すというドラゴンクライの力を使い、明日の夕刻、街の北西にある神殿で消灯の儀を行います」

国を救うための力としてあの杖を欲していたというソーニャさん。しかし、それにはある問題がある。

「そんなことしたらこの国は・・・」
「大変なことになっちゃうんじゃないですか?」

この国の経済を支えているステラニウムがなくなってしまったら間違いなく国が滅んでしまう。そのことをわかっているのか疑問だったけど、もちろん彼女たちは把握しているらしい。

「例えステラニウムがなくなろうと国を救うにはこれしか方法が・・・ですからあの杖をお返しすることはできないのです」
「しかしあの杖は元々私たちの国の物だ」
「例えそうだとしても・・・私にはこの国を救える杖の力を信じるしか・・・」
「あの杖はそんなんじゃねぇ!!」

申し訳なさそうなソーニャさんに同情していた俺だったけど、それを遮るように大声を出したのは隣にいた桜髪の青年。彼は両方の手を強く握りしめたまま、いつもは見ないほど真剣な表情で話し始める。

「あれを握った時、ドラゴンの怒り・・・苦しみ・・・悲しみを感じた。あの杖の魔力は解放しちゃいけないもんだ」

あの杖を握った瞬間に彼が涙を流していたのはそれを感じ取ったから。もしかしたら彼なら気付いてくれると思って杖もナツさんにだけ魔力がわかるようにしていたとかなのかな?

「この国が滅んでもいいというのですか!?」
「ぶっ壊してやるよ!!」

ドラゴンクライの力を使う以外に方法はないと思っていたソーニャさんはナツさんの言葉に涙を流しながら声を張り上げる。しかしそれに彼は真っ直ぐな瞳で答えてみせた。

「この国のステラニウムは全部俺が壊してやる。だから杖は返せ」
「そんなこと・・・できるわけ・・・」

彼の言葉に動揺しつつもその目の奥の輝きに彼女は困惑したのか、その場から走り去ってしまう。

「あ!!おい!!」
「ナツ!!いい」
「今はそのままにしておきましょう」

彼女もこの国の危機に気が動転しているのだろう、そんな時に無理に言っても聞き入れてもらえるとは思えない。ひとまずここは一度引いて明日、消灯の儀の時に狙うしかない。俺たちはそう考え、その場を後にした。
















「綺麗なところだね」
「星もいい感じに見えるね」

近くの山の中へと入り明日の準備に取りかかることにした俺たち。今日は昨日と違って天気もいいようで、星の光が周囲を照らしており、ただの森の中とは思えないほどロマンチックな印象を与える。木々が多すぎて星空は見えないけど。

「あの木になってる奴何?」
「食べちゃダメよ」
「絶対怪しいもんね~」

至るところに四角い赤い実がなっておりハッピーはそれをヨダレを滴しながら見上げている。その木の実からも光が溢れており、より幻想的な空間を作り出しているように感じた。

「今日はここでキャンプにしよう」
「また襲われなきゃいいけどな」
「交代で見張りやろうぜ」
「おう!!そりゃいいアイデアだ」
「まずは俺からだzzzz」
「寝る方かよ!?」

ステラニウムと思われるものを壊そうと試していたナツさんだったけど、グレイさんにそんな提案をしてすぐに倒れるように眠りに落ちる。その早業にすごいと思いつつも、絶対今の倒れ方は痛いだろうと思ってしまったのは俺だけじゃないはず。

「ドラゴンクライの力を使って全てのステラニウムの輝きを消す」
「本当にそんなことできるんでしょうか?」
「できたとしても・・・この国の経済は破綻しちまうな」
「そもそも本当に暴走するのかも怪しいですよね」

考えても仕方がないのはわかるんだけど、何とせずにいることなんてできるわけがない。答えが出るはずもない問いに俺たちは頭を悩ませている、

「どちらにせよ、あの杖の魔力を使わせるわけにはいかん」
「そうだね~」
「明日、儀式をするっていってたわね」
「その前に取り戻さなきゃね」

儀式が始まってしまったらそこで手詰まり。何が起きるかはわからないけど、間違いなく良くないことになることは容易に想像できる。

「オイラも頑張る」モグモグ
「ちょっとあんた!!何食べてるの!?」
「お腹壊しちゃうよ~?」

よほどお腹が空いていたのか怪しい木の実を食べ始めているハッピー。彼はナツさんに似て怖いもの知らずなところがあるよね。それが彼らしさではあるけど、たまにやらかすから直した方がいいところでもあるんだよね・・・
















「はぁ・・・暇だねぇ・・・」

周囲を見回しながらその場に座っている俺は隣にいるウェンディに話しかける。今は昨日のような襲撃に対応できるようにと交代で見張りをしているのだが、特に怪しい匂いもないため気が抜けてしまう。

「ダメだよシリル。ちゃんと見張ってないと」

一方ウェンディは気合い十分な様子で目がバッシバシに冴えている。いつも彼女は真面目なため、こんな時でも真剣にやってくれるんだろうなぁ、と思いながらも眠たくてアクビをしてしまう。

「シリル」
「だって何も起きないんだもん」

その様子に少女はお怒りの様子だったので言い訳をしながら真顔になる。ただ内心は眠たくて仕方がない。それによく考えれば昨日は俺たちの手元に杖があったから相手は襲撃してきたけど、それが今相手の手中にあるのなら迂闊に動いては来ないんじゃないだろうか。だって明日儀式をするって話だったし、その準備も必要だろう。

「あ、見てウェンディ」
「どうしたの?」

不意に空を見上げた俺はあることに気が付いてウェンディの肩を叩く。いまだ不機嫌な彼女だけど、言われるがままに空を見上げた彼女は視界に入った景色を見て表情を緩めていた。

「キレイ・・・」
「これがステラの星空か」

星の光を吸収して輝きを増すステラニウムを特産物としているステラ王国。ここでは星空がキレイなことでも有名と聞いていた。昨日は曇りで見れなかったそれがちょうど木々の間から見えており、俺とウェンディはその美しさに見惚れていた。

「この星空があればステラニウムがなくなっても案外大丈夫だったりして」
「それいいかも!!観光地として発展させれば経済効果も高いもんね!!」

結果として見れば俺たちのこの心配は無用の長物だった。しかしその星空の綺麗さは俺たちの心の中に強く残るものだったのは言うまでもない。





 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
最後どこまで行くか迷いましたがここでブッツリ切っちゃいます。
ドラゴンクライが終わった後もう少し日常編的な感じでダラダラやりたい気分ですが、何もいい案が浮かばないのでそのまま次の章に入りそう・・・ 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧