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八条学園騒動記

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第六百九十二話 カロリーを消費することその十一

「目立つことはね」
「ないね」
「そうなんだよね」
「それでも目立ちたいんだね」
「カナダ人の悲願だよ」
 そこまでのものだというのだ。
「目立ってね」
「メジャー国家になることは」
「それがね」
 まさにというのだ。
「カナダ人にとってはだよ」
「悲願で」
「何としてもだよ」
「何かね」 
 ベンはここまで聞いてこう言った。
「僕から見たら」
「オーストラリア人から見たら」
「別にね」
 これといってというのだ。
「目立たなくてもね」
「いいって言うんだ」
「そうじゃない?」
「オーストラリアは昔から目立ってるからね」
「そうかな」
「目立ってるよ」
 ベンがどう思っていてもというのだ。
「かなりね」
「そうなんだ」
「うん、立派なね」 
 それこそというのだ。
「メジャー国家だよ」
「そうかな」
「しかも相棒国家もあるよね」
「ニュージーランドだね」
 相棒国家と言われてベンもすぐにわかった。
「あそこだね」
「そう、あそこだよ」
「確かにね」
 ベンは否定せずに答えた。
「ニュージーランドは今でもね」
「オーストラリアと親密だね」
「唯一無二のパートナーでね」
「相棒だね」
「そう言っていい国だよ」
 まさにというのだ。
「ずっとね」
「お互いそうだね」
「親友同士と言ってもだよ」
 オーストラリアとニュージーランドはというのだ、この二国の絆はこの時代においても健在で非常に有名なのだ。
「遜色ないよ」
「そこまでだね」
「うん、だからね」 
 ベンはトムにさらに話した。
「国家同士の交流もね」
「盛んだね」
「エストニアとフィンランドとか」
 尚連合のフィンランドは元々カレリアと言われていた地域でそこが連合の策略で独立した国家である。
「ポーランドとリトアニアとか」
「どの組み合わせも仲いいね」
「今でもね」
 ポーランドも東部のリトアニア系が多い地域を連合が独立させた、当時その様にして欧州の勢力を削いでいっていたのだ。
「それでね」
「オーストラリアとニュージーランドもだね」
「そうだよ」 
 トムはまた答えた。
「とてもね」
「そうした国もだよ」
 トムは寂しそうに話した。
「カナダにはね」
「ないんだ」
「そうだよ、そうした国があってくれたら」
「目立てるかな」
「相乗効果でね」
 二国のというのだ。
「アメリカが隣にあったけれどね」
「地球にあった頃はそうだね」
「同じイギリスの植民地からはじまって」
 そうしてと言うのだった。
「英語を喋っていても」
「相棒同士じゃなかったね」
「アメリカばかり目立って」
「アメリカの目立ち様は連合屈指だしね」
「もうそのこともあってだよ」
「目立たなかったね」
「地球にあった頃はね」
 それこそというのだ。
「そうだったよ、いやどうにかして」
「カナダは目立ちたいんだ」
「メジャー国家になるのが夢だよ」
「夢なんだね」
「一番強いね」
 トムは真剣な顔で語った、そしてベンはその話を彼もまた真剣な顔で聞いた。そしてこのことを思うのだった。


カロリーを消費すること   完


                   2022・11・16 
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