| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

星河の覇皇

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第八十三部第四章 戦線崩壊その八

「他にはありません」
「それも一切です」
「横にも後ろにもです」
「上方にも下方にも」
「一切です」
「そうか、しかしだ」
 アブーはそれでもだとだ、報告する幕僚達に述べた。
「まただ」
「はい、あの攻撃ですね」
「あの攻撃があるかも知れないですね」
「国境でのあの攻撃が」
「オムダーマン軍の謎の魚雷攻撃」
「あれがあるかも知れないですから」
「注意は必要ですね」
 幕僚達も口々に述べた。
「何時何処で来るか」
「あの時のことを思えば」
「警戒は必要ですね」
「今も」
「そうだ、防衛ラインは完璧に敷いたが」
 このことには自信があった、オムダーマン軍の『目の前にいる』戦力に対して万全の布陣を敷いている。
 だがそれでもだ、アブーは言うのだった。
「しかしだ」
「それでもですね」
「あの攻撃が来れば」
「側面や後方から攻撃が来れば」
「大量の魚雷が来れば」
「どうにもならない、だからこそだ」
 まさにとだ、アブーはさらに言った。
「我々は警戒している」
「この通りですね」
「警戒していますね」
「その攻撃があるかどうか」
「そのことが」
「警戒してし過ぎることはない」
 アブーは緊張の極みにある顔でこうも言った。
「警戒は怠るな」
「全方面に対しての」
「それはですね」
「この防衛ラインでの戦闘が終わるまで」
「それまでは」
「前面の敵だけではない」
 見えている彼等だけではないというのだ。
「全方位にだ」
「承知しています」
「ではですね」
「魚雷が来れば」
「その時はですね」
「まず魚雷を沈めることだ」
 オムダーマン軍が放ってきたそれをというのだ。
「いいな」
「はい、来た瞬間にですね」
「それがどの方向でもですね」
「そちらに攻撃を放ち」
「そのうえで、ですね」
「魚雷を封じる、魚雷やミサイルは落とせる」
 こちらの攻撃でというのだ。
「そこが防御側の利点だ」
「その攻撃は確かに強力です」
「特に直撃を受ければ」
「戦艦でもかなりのダメージを覚悟しなければなりません」
「それでもですね」
「落とせるので」
「なら落とすことだ」
 それがいいというのだ。
「いいな」
「はい、それではですね」
「魚雷が来れば」
「その時はですね」
「即座に」
「どの方向から来てもだ」 
 それでもというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧