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FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
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閑話
  それぞれの思惑入り交じる

 
前書き
一昨日に今の職場での仕事が全部終わり有給消化という名のニートになっております。
その関係もあって最近はこちらも進めてこれたので、次の仕事が始まるまでは頑張って進めていきたいです。
その後の更新は仕事の忙しさ次第ですね・・・ 

 
ザワザワザワ

薄暗い霧に包まれた空間。そこに集まった者たちは皆話題が尽きないようで、ひたすら周囲の存在と会話をしているようだ。

「もうみんな集まってるようだな」

その声で辺り一帯が静まり返る。霧に包まれて姿は視認できないが、人影がある方へと全員が顔を向けていた。

「急な召集ですまない。話は聞いているだろ?この中に掟を破った者がいる」

その言葉と共に全員の視線がある一人へと注がれる。それを受け、その人物は長と思われる男の方へと歩みを始める。

「他の世界へと接触禁止を破った上にその住民たちを死の間際まで追い詰めた。これは重罪だぞ?メーテス」

それと同時に歩みを進めている人物の周りの霧が捌けていく。瞬く間に霧が晴れると、その青年の姿を全員が視認できる状態になっていた。
















レオンside

「腕上がる?」
「大分戻ってきたよ、ありがと」

俺は今船の上でシェリアに痛い箇所の確認を受けている。まだ痛むところは多いが、動き事態には問題ないためひと安心といったところだろう。

「シリルたちは?」
「例によって例の如く例の状態だ」
「「あぁ・・・」」

()によって例の如く(ドラゴンスレイヤー特有の)(乗り物酔い)の状態か。まぁグラシアンさんは元々寝てたし、シリルとウェンディは身体を休ませなきゃいけないだろうし、実質ローグさんが一人ダメージを受けている状態とも言えるんだけどね。

「あとどのくらいかかるんだっけ?」
「遠いところだったからね、あと一週間はかかるんじゃないかな?」
「一週間もあれば、港に待機している回復役(ヒーラー)たちは要らなそうじゃな」

本当はウェンディとシリルも手を貸してくれれば早くにケガは完治できるが、あの状態じゃあ魔法を使うどころか動くことすらままならないだろう。それでも一週間もあれば少しずつでも回復できる。恐らくカミューニさんが用意してくれた王国の救護班は無駄足に終わるだろうな。

「グラシアンさんはまだ目覚めない?」
「あぁ。傷は治っておるからそろそろだとは思うのじゃが・・・」

そんな中一番問題はあの人。一人で天使を討伐した直後から一切目を覚まさない幻影の竜。ミネルバさんが時おり様子を確認しにいってくれているが、一向に目覚める気配がない。

「そういえば剣咬の虎(セイバートゥース)は天使と何回くらい遭遇した?」
「妾たちも今回が初めてじゃ。ゆえに本当にいるのか半信半疑じゃったが、あの力を見せられれば信じざるを得まい」

俺たちの所属する蛇姫の鱗(ラミアスケイル)でも天使との遭遇事例はなかった。他のギルドは度々会っていると聞いていたが、ちょっと強い人間が天使の名を語っているだけだと思っていたけど・・・

「あれを見せられたら、信じる以外できないよね」
「うん。しかも相当強いよ、あいつら」

正直今回の依頼があるまで天使たちのことをなめていた。俺なら何とかできると考えていたが、その予想を遥かに上回る実力に、奥歯を噛み締める。

「気にしなくていいよ、レオン」
「そうじゃ。お主たちは勝った。これは妾たちにとって大きな一歩になるはずじゃ」

悔しさが溢れ出てしまっていたのか、二人からそんなことを言われる。確かにそうだ、今回はシェリアたちの協力もあってなんとか勝てた。しかし、あいつらの目撃情報は幾度となく出ている。たった一人に手を焼いているようでは、いずれ必ず負ける時がくる。

「もっと力を付けないと・・・」
「あたしと一緒にね」
「ラウも忘れないでよぉ」

不安に負けそうになっていたところを二人が優しい声をかけてくれる。そのおかげで少しではあるが、気が楽になった。

「あぁ、ありがとう」

二人に手を差し出し手を握る。一人じゃダメでも俺には仲間が大勢いる。こいつらが一緒にいてくれれば、俺は絶対に負けない。今回の依頼は改めてそう思わせてくれるような、今までの俺の行いを見直させてくれるいい依頼になったと心から実感した。
















第三者side

霧の中この会合を仕切る男の前に立った青年は顔を隠すことも許されず全員からその姿を視認されている。しかし彼は臆する様子もなく、黙して冷静だ。

「何か言い訳はあるか?」
「ありません」

男の問いに即座に返す青年。彼は閉じていた目を開くと、顔がわからない彼に視線を向けたまま、言葉を紡ぐ。

「私は使いたちに指示を出し、他の世界に干渉しました。それは紛れもない事実であり、弁明の余地もない」

あまりにも潔いその姿に男は感心した。しかしそれゆえに、彼のこれまでの行動が腑に落ちない。

「なぜ君ほど賢明な者がこのような行動をしたのか、理解に苦しむね」
「ただ苛立ちを抑えきれずにやりました。後悔はありません」

淡々と答えるその姿にウソがあるようには見えない。それを見抜いた男は、周りの者に問いかけた。

「彼の処罰についてだが、皆はどう思う?」

しばしの沈黙。誰も彼の問いに意見を言うことができない。それもそのはず、今ここで大きな処罰を望めば、自らの行動がバレた際に全く同じことが返ってくるのだから。

しかしかといってあまりにも優しい処遇を与えることも躊躇される。それは自身もこの件に噛んでいることを疑わせるに足りうる可能性があるのだから。

誰も何も言えない状況が続いたかと思うと、一人が静かに手を上げる。指名された者は大きなあくびをしたかと思うと、それによって出た涙を拭いながら話を始める。

「別にいいんじゃない?そんなに目くじらを立てなくて」
「なんでそう思うんだい?」

毅然とした態度で意見を述べた彼に対し男は問いかける。それに対しても、彼は何食わぬ顔で答えてみせた。

「確かにルールを破るのはよくない。だが、メーテスがいなくなったらそいつの管理する世界はどうする?誰かが管理するのか?俺は嫌だぜ?面倒くさいから」

多くの神は自身を信仰する世界を作り、管理している。もしここでメーテスを処断しようものなら、その世界の住民たちも行き場を失うことになる。しかし、彼が止めた理由はそれだけではなかった。

「それに、そいつを処分するなら、そもそも俺たちを管理しきれていないお前にも責任能力を問われるんじゃないの?」
「「「「「!!」」」」」

この中のトップと思われる存在に対しての攻撃的な発言に緊張が走る。それを受け、男は嘲笑うように小さく笑みを浮かべる。

「一理あるかもね。ただ、責任能力を問われるとここで何もないとみんなに示しが付かないとも言えるよ」
「その考えも大いにありだ。それを踏まえて、お前がどうしたいかが重要なんじゃないか?」

これにより全員の視線がこの会を仕切る者へと移される。男は笑みを浮かべると、唯一霧の中に姿を隠すことを許されていない人物の方へと向き直る。

「メーテス、君には今後他の世界との一切の接触を禁じる。この会に置いても、私の指示無しに他の者と話すことは禁止だ」
「承知しました」
「それと・・・」

目を閉じながら頷いた青年に対し男は近付くと、肩へと手を置き耳元へと囁きかける。

「彼に感謝するんだね。まぁ、それが難しいことは私もよくわかっているが」

それだけ告げると先程まで姿を視認できていた青年も煙の中へと誘われる。そのまま会合も終わるかと思われたが、男は全員に諭すように告げた。

「今日はこれ以上何かをするつもりはない。ただ、これだけは言っておく。今君たちの中で掟を破っている者を私は全て把握しているよ」

その言葉に緊張感が走る。心当たりがあるものたちは顔を伏せ、この場をやり過ごすことに必死のようだ。

「今回の一件は問題だ。本来なら全員に処罰を与えるべきだが、そんなことをすれば多くの世界が崩壊しかねない。それは私としても本望ではない。ただ、できることならこれ以上ことは荒立てないでほしいね」

それだけ言い残しその場から姿を消した男。それを見ていたうちの一人は一つ息をつくと、そそくさとその場から離れていく。

「どうしたのかしら?」
「ビビったんだろ?どうせ」

それを不思議そうに見ていた女性とその後ろから嘲笑うように舌を出す、先程手を上げ意見を述べた男。特に男の方はまるで思い通りに彼が動いたかのように楽しげな笑みを浮かべている。

「・・・」

その様子を見ていた男はそれを怪訝な目で見ていた。まるでゴミを見るかのようなその冷酷な瞳は、果たして何を考えているのだろうか。
















その頃妖精の尻尾(フェアリーテイル)では一つの変化ぎ起きていた。

「ナツゥ・・・」

眠っている四人の一人、桜髪の青年の顔の横に座り込み彼をじっと見つめている青い猫。その顔はやつれており、目の下のクマも濃くなっていた。

「ハッピー、さすがに寝なきゃダメよ」
「このままじゃハッピーまで倒れちゃうわ」

彼のその姿にミラとリサーナが心配して声をかけるが、彼は首を振りその場から離れようとはしなかった。

「オイラ、ナツが起きるって信じてるから。きっとすぐに起きてくれるって」
「ハッピー」

彼らが昏睡状態に陥って数日が経過している。その間彼はほとんど寝ず、食事もほとんど取れていない。そのわずかな時間さえも彼らのそばから離れたくないのだ。

「カミュから連絡は?」
「何も。シリルとウェンディ、大丈夫かしら」

彼らと共に行動していたものの、意識をなんとか取り戻したシリルと彼らを連れ帰ってきてくれたウェンディ。その二人も依頼からなかなか帰ってこないとあり、ますます不安が募っていく。そんな時だった。

「んん・・・」

一人の青年の身体が大きく動いたのだ。

「ナツ!!ナツ!!」

それにいち早く気付いたのは彼の相棒。彼は青年の頭に手を置き懸命に揺らしていると、こちらを向いた彼の目がゆっくりと開いた。

「いてぇぞハッピー、どうしたんだ」

長い眠りについていたためにいまだその目は完全には開ききっていない。しかし、確かに彼は意識を取り戻した。それを見たハッピーは涙を流し、彼の顔にしがみつく。

「うわああん!!ナツゥ!!」
「おい、いてぇぞ、ハッピー」

まだ身体は全然動かないために彼を振り払うことはできない。しかしその様子から何かが起きていたことは彼も察することができたため、これ以上何かを言うことはなかった。

「んん」
「うっ」
「ううん・・・」

そして彼に続くように、その隣で眠っていた三人も順に目を開いていく。

「エルザ!!」
「ルーシィ!!」
「グレイ様!!」

すぐ近くにいた仲間たちが目覚めた三人に駆け寄る。中でも水色の髪をした女性はまだ自由に動かせない青年の身体を潰してしまうのではないかというほど強く抱き締めていた。

「ジジィ!!ナツたちがーーー」

静まり返っていたギルドの中から響き渡る歓喜の声。そしてこの吉報は、彼らだけに届けられたものではなかった。

















プルプルプルプルガチャッ

「もちもち」
「食べながら話しちゃダメだよ、レオン」

口の中に目一杯食べ物を入れ、リスのように頬を膨らませていたレオンが通信用魔水晶(ラクリマ)を手に取る。その相手はつい先日連絡を取り合ったばかりのジュラとメルディだった。

『レオン、シリル殿とウェンディ殿はいるか』
「ジュラさん?二人ならいることはいるけど・・・」

シェリアと目を合わせ肩を竦めるレオン。それを受け、後ろにいたミネルバが彼らの前に立つ。

「今は船の上でな。シリルもウェンディも寝ておる」
『あぁ・・・乗り物酔いか・・・』

滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)は乗り物に弱い。これはフィオーレに住んでいる魔導士たちからすれば共通の認識であるため、ジュラもすぐに納得していた。

「何かあったのか?」
「あの二人に用ってことは、また妖精の尻尾(フェアリーテイル)が何かしたの?」
「そんな悪人みたいな・・・」

実力は天下一品だがそれ以上に問題児たちが多いことで知られているそのギルドのことにミネルバとシェリアはそんなことをいう。しかし、ジュラはそれに対し首を横に振る。

『すぐにでも伝えたいと思ってな。昏睡状態だったエルザ殿たちが目を覚ましたのだ』
「何!?」
「え!?それ本当ですか!?」

妖精の尻尾(フェアリーテイル)最強チームの敗戦は彼女たちの耳にも当然届いていた。そして当然の如くその後の容態も聞いていたため、この朗報を聞いて三人は笑顔を覗かせていた。

『長い間眠っていたからまだ万全ではないみたいだけど、意識はハッキリしているみたいよ』
『他のギルドでも天使に倒された者たちが次々に目覚めていてな。皆、特に後遺症もなく快方に向かっているようじゃ』

次々に舞い込む朗報に彼らはハイタッチをして喜びを分かち合っている。そしてそれは彼らだけではなく、ジュラとメルディも長い期間の悩みの種から解放された瞬間だったのか、表情に余裕が見られた。

「あたしたち、ウェンディたちに伝えてきます」
「乗り物酔いなんか吹っ飛ぶかもね、これは」

すぐにでも伝えたい情報を得た二人は揺れる船を手を繋いで駆けていく。その後ろ姿を見ていたジュラは、笑みを浮かべながらホッと息をついた。

『元通り・・・いや、以前よりももっと強い絆で結ばれたようじゃな』
















その頃彼らの帰りを待っているハルジオン港の回復役(ヒーラー)たちは、姿を現した赤髪の青年を見かけ、慌てて駆け寄ってくる。

「カミューニ様!!」

一人でその場に現れたカミューニ。彼は自身の姿を見るやすぐさま駆け寄ってきた彼らに訝しげな表情を見せる。

「どうしたぁ?シリルたちが帰ってきたのか」
「いえ」
「シリル様たちはまだお見えになられておりません」
「じゃあ何をそんなに慌ててーーー」

まだ船の到着には時間がかかることは理解していた。しかし彼らの様子を見ると何かが起きているのとは明白だった。それを訪ねようとしたところ、彼の言葉を遮るように次々に話し始める。

妖精の尻尾(フェアリーテイル)のナツ・ドラグニル様たちが目を覚ましたとの報告がジュラ様から入りました!!」
「ウルフヘイム様もまだ動けませんが、意識を取り戻したとのことです」
「!!」

その報告に驚愕した彼は目を見開く。そのまま彼らの肩に手を乗せると、優しい声でねぎらいの言葉をかけた。

「お前たちが協力してくれたおかげだな、感謝する」
「いえ・・・」
「そんな・・・」

照れ臭そうにしている彼らを一目した後、青年は森の方へと目を向ける。そこに微かに見えるのは、黒装束を着た男だった。

「このタイミングで全員が目を覚ましたということは・・・流れが変わったということか、あるいは・・・」

他者から姿を見られないように木に寄りかかりながら隠れている彼は腕を組み、思考している。今は果たしてどちら側が優位にいるのか、考えているようだ。

「まぁ、俺はそんなことはどうでもいいんだがな」

わずかに見えた口元が笑みへと変わる。それは仲間たちの生還を喜ぶものではなく、何か別の思考が考えられるような雰囲気を感じさせた。

「俺は約束さえ守ってもらえればそれでいい。そのためなら、お前たちの"遊び"にも付き合ってやる」

王国の兵隊たちにバレないようにカミューニへと視線を送る男。それには彼も気がついているようで、小さくタメ息をついていた。

「どうされました?カミューニ様」
「なんでもねぇ。とにかく、シリルたちが来るまで俺も待つから、どこか宿取ってくれ」
「それならこちらに取ってあります」

案内をする兵士の後ろに付いていく。彼はその間、これからのことをいくつか候補をあげて考えていた。

(ナツたちが起きたならすぐにでも行かせるべきか・・・しかし久々に動くんじゃあリスキーすぎる。何かもっと別の依頼でリハビリさせるべきか)

そう考えているうちに、彼は一つの依頼を思い出した。彼らの誰を行かせるべきか迷っていたが、これ以上の適任者はいないと笑みを浮かべる。

(雑魚狩りになるかもしれねぇが、背に腹は変えられねぇ。あいつらには少しでも強くなってもらわねぇとな)

そう考えたカミューニは宿に着くとすぐさま通信用の魔水晶(ラクリマ)を起動させる。そこで繋がったジュラとメルディに新たな指示を与えたのだった。



















会合も終わり各々が帰路へと着く中、黒髪の女性に一人の女性が話しかける。

「よかったわね、あんたの世界の住民たち、正常に機能させてもらってるみたいじゃない」

白と黒が半々に別れている髪をサイドテールにしている彼女は楽しそうに声をかける。それを受けた黒髪の女性は立ち止まると、わざとらしいタメ息をしてみせる。

「そもそも、他の世界に関与することはご法度なのに、"もらってる"はおかしいんじゃない?」
「うわ!!また真面目なフリしてる!!うざっ!!」

丁寧な口調から突然方向転換したように口が悪くなった彼女に対し、黒髪の女性は再びタメ息をついてみせた。そんな時だった。

「アンクセラム様~」

彼女の元にゆっくり、フラフラしながら歩いてくる少女。その髪は綿のようにモコモコとしており、おっとりとした彼女の性格を現しているかのようだった。

「あら?どうしたの?」
「う~んと・・・あれ?なんでしたっけ~?」

周りすら眠りに誘うのではないかというほどゆっくりとした動きから繰り出されるゆっくりとした話し声にサイドテールの女性も首を竦める。しばらく思考したかと思うと、彼女は用事を思い出したようで再度口を開いた。

「そうでした~、魔神様が呼んでましたよ~、こっちに来て~って」
「あんたが来なさいって言いなさい!!」

珍しく怒声を上げた彼女に面食らったその周辺にいた者たち。それに臆することなく少女は手を挙げると、彼女から預かった伝言を伝えにゆっくりと歩き始める。

「あ!!待った!!」
「どうしました~?」
「あなたに任せたら時間がいくらあっても足りないわ。今回は私が行くから、次言われたらそう伝えなさい」
「わかりました~」

そう言って黒髪の女性はその場から消えてしまう。残された少女はノソノソと動いたかと思うと、地面に魔法陣を描き姿を消した。

「あいつ、よくあれを使者にし続けられるよな」
「実際あの子はよくやってるよ、一人になってからずいぶん経つのに」

置いてきぼりを食らった女性の後ろから二人の男が姿を現す。彼らは先程の少女を思い出しているようで苦笑いを浮かべていた。

「最近魔神とよく会ってるわね、あいつ」
「まぁ、あいつらはあれだからな」
「魔神・・・か」

しばらく彼らの話をしていると、彼女たちの後ろで会話を聞いていた男は仏頂面でその場から離れようとする。それに気づいた女性は面白そうに話しかけた。

「何?やっぱりあいつら嫌いなの?あんたは」
「・・・あぁ。まぁ、今回の件で大半の奴らは嫌いになったがな」

それだけ言い残しその場から消えてしまった男。気が付けば周囲にはほとんど人影がなく、彼女たちだけになっていることに気が付いた。

「みんなもう少し仲良くすればいいのに」
「そうは行かないだろ?我々はそういう存在じゃない」

バカらしいといった表情の女性とその意見には同意しかねる男。その隣にいた男は何かを思い付いたのか、両手をポンッと叩いた。

「面白いこと思い付いたから、俺はおさらばするぜ」
「え?何々?」
「教えな~い」
「うわっ!!ウッザ!!」

舌を出してその場から消えた男に女性は苛立ちを隠そうとしない。彼女は地団駄を踏んだかと思えばすぐに冷静さを取り戻した、その場を後にした。

「忙しないねぇ、あいつらは」

最後に残った男はそう言うと、自身もその場から立ち去ろうとする。

「まぁ、とりあえずバレなくてよかったことにしておくかな」

誰にも気付かれなかったものの自身もこの件に関与していた男は安堵したようにその言葉を残し、その場から本来自身がいるべき場所へと消えたのだった。






 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
なんか頭使う展開が好きだからこんな感じになってるけど、いざ進めようとすると文章の作成がマジでムズい・・・
次からはしばらく楽できるので、楽しみながら進めたいと思います(*・ω・)ノ 
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