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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第百三十六話 戦士達、陣を破るのことその十

「幾ら何でも」
「そうだな。では何だ?」
「さて。何でしょうか」
「貴様でもわからないか」
「どうにもです」
 怪訝な顔でだ。左慈に返す。
「これは読めません」
「しかし俺達に対して仕掛けて来ることは間違いないな」
「何かしらの手段で」
 そのことは間違いないと述べる于吉だった。
「そうしてくるでしょう」
「それなら守りは一層だな」
「はい、固めましょう」
「さて、どんなことをしてきてもだ」
「守りましょう」
 こう話してだった。彼等はだ。
 守りを固めようとしていた。敵は武力で攻撃をしてくると見ていたのだ。しかしだ。
 張梁と張宝はだ。笑顔で一同に言うのだった。
「さあ、いいわね!」
「今からとっておきのことが起こるから」
「さあ、準備万端!」
「出て来て」
 二人が言うとだ。舞台の中央が開きだ。
 その中からせり上がってくる形でだ。二人が出て来た。
 一人は張角だった。黄色い奇麗な舞台衣装を着ている。そしてだ。
 もう一人は劉備だった。彼女は桃色の舞台衣装だ。
 そのそれぞれの服で出て来てだ。そうしてだった。
「皆、大好きーーーーーーーっ!」
「今から歌うわ!」
 張角と劉備が横に並んで宝貝を手にしてだ。
 空いている方の手を振りつつだ。将兵達に言うのだった。
「私達の歌聴いてね!」
「それじゃあ!」
 こうしてだった。二人は張梁、張宝とだ。
 四人になって歌う。それは三人でいるよりもだった。
 歌の力が違っていた。連合軍の士気を奮い立たせるだけでなくだ。
 白装束の者達を撃ちだ。その動きを止めていた。
 そこにだ。連合軍の兵達が襲い掛かるのだった。
「今だ!攻めろ!」
「各個に倒していけ!」
 こう言い合いながらだ。そのうえでだった。
 彼等は一気に攻めてだ。戦局をさらに進めた。それを見てだ。
 馬岱と魏延がだ。驚いた顔で言い合った。
「まさか桃香様が自らなんて」
「張三姉妹と共に歌うとはな」
「確かに桃香様と張角さんはそっくりだけれど」
「この展開は考えていなかった」
「はい、そこです」
「誰も考えないことだからです」
 それ故にだとだ。ここで孔明と鳳統が出て来てだ。
 そのうえでだ。二人に話したのだった。
「桃香様を三姉妹の方々と一緒にです」
「歌って頂くことにしました」
「三姉妹の歌ってただでさえ凄い威力があるけれど」
 馬岱が言うのには根拠があった。伊達に黄巾の乱を起こした訳ではないのだ。
「そこに桃香様まで加わったら」
「そうです。歌の威力が倍になります」
「ただ戦場に出られるより効果があります」
 歌の力、それに注目してのことだったのだ。
「これならです。絶対にです」
「いけると思いました」
「そして実際に敵の動きが止まりましたし」
「こちらの士気も普通にやるよりあがりました」
 まさにだ。孔明達の読み通りだった。それでだった。
 だがここでだ。孔明と鳳統はこんなことも言った。
「ですが。それ故にです」
「彼等もこの舞台を狙って来ることが考えられます」
 敗因になるものは潰しておく、戦における鉄則だった。
 だから闇の勢力もだ。そうしてくることが考えられるというのだ。
「今こうして総攻撃で彼等の考える余裕、戦場全域を見る余裕を奪っていますが」
「ですが少しでも気付かれればです」
 ここに攻めて来ることもだ。考えられるというのだ。
 そしてだ。軍師二人はさらに話すのだった。
「司馬尉仲達ならそこにです」
「気付くことが考えられますので」
「そうよね。あいつ頭だけはいいから」
 馬岱はあえて嫌悪を込めて述べた。
「それも考えられるわよね」
「そうだな。しかも駒はある」
 魏延もここで言う。
「あの女には妹達もいる」
「ええ、司馬師と司馬昭がね」
「来るならだ」
 魏延はここで己の金棒を握った。馬岱もその槍を握る。
 そうしてだ。猛獲もここで言うのだった。
「何か気配を感じるにゃ」
「えっ、気配!?」
「ではまさか」
「何か物凄く嫌な気配を感じるにゃ」
 こう軍師二人に話すのだった。
「だからにゃ。ここは気をつけるべきにゃ」
「そうね。敵にとって私達の今の歌はかなり辛いから」
「桃香様だけじゃなくて袁術さん達もね」
 彼女達への襲撃もだ。考えられるというのだ。
 それでだ。余計にだった。
「それなら。舞台の警護を今まで以上に固めて」
「備えないと」
 こう話してだ。彼女達も敵に備えるのだった。後方にいながらだ。戦いは佳境になろうとしていた。そして後方でもだ。戦いとは無縁ではなかったのだ。


第百三十六話   完


                          2012・1・12 
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