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星河の覇皇

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第八十三部第三章 今だ目覚めずその五十一

「そうしましょう」
「そうですね、ではです」
「ワインは程々にして」
「そうしてですね」
「これからはじまる戦を見ますか」
「じっくりと」
「ワインは普通に飲めますが」 
 軍だけでなくエウロパ軍自体がそうだ、欧州が地球にあった頃からの感覚でワインにしてもビールにしてもジュースの様に飲んでいるのだ。だから今もワインを置いて観戦と共に飲むつつそれで話をしているのだ。
「ですが」
「過ぎるとよくないですね」
「では程々にして」
「そのうえで観戦をしましょう」
「我々の仕事を果たしましょう」
「そういえば連合は」
 ここでまた彼等の話をするのだった。
「軍務の間は飲まないとな」
「その様ですね、ワインもビールも」
「エウロパ戦役でもそうでしたし」
「水やジュースやお茶のみだとか」
「コーヒーも飲みますが」
 それでもというのだ。
「こうした時や会議の時も飲まない」
「実に味気ないですな」
「我々はいつも飲んでいますが」
「酒は飲み過ぎなければいいのです」
 それならというのだ。
「特に」
「左様ですね」
「会議の時も普通に飲んでいます」
「逆にお酒がないと」
 それならというのだ。
「会議も進まないです」
「むしろ」
「左様ですね」
「逆に会議の時に飲まず」 
 酒をというのだ。
「そのまま話していたヒトラーは」
「かなり異質だったそうですね」
「当時は煙草も普通でしたが彼はそちらもしませんでした」
「会議の場でそれは異様だったでしょうね」
 誰もがワインや煙草を口にする、だがその中でヒトラーだけがそうしたものを口にしないどころか前に置かない。それではというのだ。
「それどころか煙草は特に嫌いでしたね」
「官邸は禁煙でした」
 総統官邸の中はというのだ。
「非常に目立ったでしょうね」
「酒も煙草も口にしない」
「まあ我々も煙草を吸う者はいませんが」
 見ればその場にいる者は誰も煙草を吸わない、酒とそのあてがあるだけだ。
「当時は普通でしたしね」
「煙草を吸うことは」
「男、特に軍人は」
「煙草は軍人の嗜みの様なものでした」
「モルトケも吸っていました」
 葉巻を愛し無欲であったがとかく葉巻だけは凝っていたという。
「とかく煙草は当時は普通のもので」
「軍議になると皆吸いながら話したものです」
「ですがヒトラーは違った」
「彼は煙草を嫌っていました」
「そして酒も飲まず」
「そのうえで軍議に出ていたのですから」
 誰もがワインや煙草を口にしながら話すのにだ。
「かなり目立ったでしょうね」
「全くです」
「我々もワインは飲みますが」
「若しここにヒトラーがいれば」
 どうかとうのだ、尚エウロパではヒトラーは独裁者であるが優れた政治家であり評価すべき人物とされている。 
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