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星河の覇皇

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第八十三部第三章 今だ目覚めずその四十四

「それが何かもな」
「わからないですね」
「その全ては」
「それがどういった兵器か」
「それが」
「わかったものではないからだ」
 それでというのだ。
「だからどうしてもだ」
「対応出来ないです」
「まして国境での戦闘は数日前です」
「ほんの五日前です」
「それではです」
「対策なぞ」
 五日、それだけの短い期間ならというのだ。
「出来る筈もありません」
「その兵器が何かも不明です」
「そうした状況ですから」
「それではです」
「何が出来るか」
「全く以てです」
「不明です」
「出来る筈もありません」
「そうだ、そして何も出来ない不安が」
 この感情がというのだ。
「今全軍を覆っているな」
「防衛ラインは敷きました。
「それは万全です」
「まさに蟻の一匹も入られません」
 そこまでのものだというのだ。
「あまりにも堅固です」
「オムダーマン軍を防げます」
「そうしたものですが」
「しかし」
 それでもとだ、周りは言うのだった。
「あの謎の攻撃については」
「若しまた来ればです」
「果たしてどうなるか」
「わかったものではありません」
「はっきり言えばな」
 艦長は実際にはっきり言った、彼にしてはティムール軍にとって思わしくないことなので言うことは不本意だがあえて言った。
「あの攻撃でだ」
「再びですね」
「国境の戦闘の時と同じく」
「敗れますね」
「そうなってしまいますね」
「そうなってだ」 
 そしてというのだ。
「我々はな」
「この防衛ラインでも敗れ」
「戦力を失ってしまう」
「左様ですね」
「再び」
「この防衛ラインで敗れ」
 そしてとだ、艦長はあえて話した。その言葉を続けた。
「多くの戦力を失うとな」
「その喪失する戦力の程度によりますが」
「それが大きいものならですね」
「その時はですね」
「我がティムール軍は」
「劣勢を決定的なものにしてしまう」
 その事態を招いてしまうというのだ。
「二度の戦いに敗れ戦力も多く失う」
「戦争の趨勢を決定してしまい」
「そこからの戦いは厳しいですね」
「我が軍にとってそうなってしまいますね」
「ここで敗れると」
「そうなってしまう、だからここで敵軍を防ぎ」 
 即ちオムダーマン軍をというのだ。
「そこから反撃に転じてだ」
「そうしてですね」
「今の状況を我が軍有利にする」
「そうしなければならないですね」
「この防衛ラインの戦いで」
「そうしないといけない、だが」
 それでもというのだ。 
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